遠雷 (河出文庫 132A)
日本が高度経済成長の波にのまれていく過程で、農家が土地を売り、家族という枠組みが崩壊していく悲劇を描いた傑作。日本人がどうしようもなく歪んでいく姿が見事に描写されている。現在は逆に帰農の流れが起こりつつあるので、この流れを是非とも作品にしてほしい。
山のいのち (えほんはともだち―立松和平・心と感動の絵本)
誰でも一度は経験したことがあるような、動物との関わり。あまり好きな動物ではなくても、その命を絶たなければならない場面に遭遇したとき、子ども心にやり場のない気持ちを感じたことはありませんか?そんなほろ苦い思い出に触れる絵本です。絵もとても素敵です。
氷のゆりかご 知床 立松和平が行く流氷と森の小宇宙 [DVD]
2月にテレビで放送していた番組のDVD版。7月に世界自然遺産に
登録されたニュースがあって改めて見直してみましたが、知床の自然
のすごさに改めて驚きました。でもおそらく知床に行ってもこんな光
景は絶対みれないんだろうな、と思います。解説には1年半以上かけて
撮影されたと書いてありますが、確かに時間をかけた厚みが感じられ
ます。
世界遺産登録のニュースの中で、さまざまな知床の映像が流れました
が、ここまで執拗に?野生動物を捉えた映像はありませんでした。立
松和平さんという案内役は、好き嫌いがあるかもしれませんが、あま
り前面に押し出されることなく、うまく言葉を添えているという感じ
です。海外の自然系ドキュメンタリー(ディスカバリーチャンネルや
BBCのネイチャーワールド)がお好きな方は、お好きなタイプなの
ではないでしょうか?
DANCING古事記(紙ジャケット仕様)
40年以上前でしょうか。京都のレコード店で見つけ貧乏学生だった僕ですが直ぐに買いました。プレス数がとても少ない貴重品とは最近まで知りませんでした。山下洋輔の凄まじいタッチのピアノは素晴らしいものです。激しい音ですがこれを聞きながら気持ちよく眠ったものです。数年前にはCDも手に入って喜んでいます。あの時代、京都でもバリケードは京大、立命大で築かれてありました。「しあん くれーる」「ダウン ビート」など、数多くのジャズ喫茶も健在で、とても活気があった京都でした。あちこちの店に立ち寄り何時間も粘ったものでした。
道元禅師〈中〉 (新潮文庫)
幼いころのいいなずけ貴族の娘との心の通いあい
京都から越前へ移る背景となる娘
正法現蔵を読み解いた立松和平 渾身の傑作
道元禅師の生まれから渡宋、帰国、永平寺建立へ
現代社会の「複雑さにまどわされている人々」に
ただただ坐りなさい・との行動=こころ
上・中・下三巻の雄大な世界を立松和平は
正法眼蔵ほか読み込んできれいに描いてます。
付き人「右門でございます」の語りが飽きさせない