バグダッド・カフェ [VHS]
ネガをデジタル処理した物をパーシー・アドロン監督が再トリミング、色調の再調整をしたと言う本当の意味でのニュー・ディレクターズ・カット版のBD。
オープニングタイトルが"BAGDAD CAFE"ではなく、原題の"OUT OF ROSENHEIM"になっているのが、監督の想いを表現していて良い。
多くの映画ファンを魅了した良質なストーリーテリングには今更説明は不要であろう。未見の方は騙されたと思って、一度本作に触れてみていただきたい。
決して美しいとは言えないはずの肉感たっぷりのドイツ女性ヤスミンが奥ゆかしくも不思議な魅力を次々と放ち、あなたをこの作品世界に引き込むに違いない。
笑顔で観る事もあれば、涙で観る事もあるだろう。観る物のその時々の感性の微妙な変化によって受ける印象も異なるのではなかろうか。
繊細で柔和な優しさが豊かなポテンシャルを持って内在している、そんな映画だ。
映像コーデックはMPEG4 AVCであり、全体的に繊細で上質な画像が提供されている。鮮やかになった色調も良い。場面によってフィルムライクな粒子感たっぷりの画質が目立つのだが、ともすれば忘れそうになってしまう「このカフェ砂漠の中にあるんだ」という事実を思い出させる装置として上手に機能していると思う。PQ 4/5。
音声コーデックはLPCM2.0ch。ノイズの無いクリアーな音に作品の奥行きが深まる。特に、この鮮明なサウンドで聴ける、名曲「コーリング・ユー」は最高。ジワジワと感動を広げることに貢献するに違いない。SQ 4/5。
これから何度鑑賞する事になるのだろうか。そんなことを思わせるBDだ。
DVDから買い直す価値は十分にあるだろうし、初めての方もBDの方がより繊細に作品世界に触れる事ができるだろう。
因みに、おまけで付属する"rosenheim"のステッカー(ポットに貼ってあったもの)が何やら嬉しかったりする。
バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 Blu-ray
素晴らしいソフトを手に入れた。
劇場で見て、ざらついた映像と奇妙に鮮やかな色彩、そこにぴったりとはまるcalling you…そのすべてに圧倒され、今回のBDでの発売を心待ちにしていたのだが、期待通り、いやある意味期待を上回るものだった。
早速BDプレイヤーに入れると、遠くからcalling youが…。いきなりのこだわりに脱帽。
そして、映像の美しさにため息。ざらつきは劇場で見た時より若干きつく感じたが、モニターをシアターモードに調整するとイイ感じに。
とにかく、パッケージ自体がひとつの小宇宙のように成立していて、宝物を手に入れた気分。作り手の愛にも共感を覚える。
オマケのあのステッカーは、うちのコーヒーメーカーにでも貼ろうかな。
バグダッド・カフェ 完全版 [DVD]
やっと、本当の意味で「完全版」に出会えました。
私は絶版になった前回発売の日本版「完全版」と、アメリカから取り寄せたアメリカ版「完全版」を持っていますが、本当の意味で完全なのはこの製品です。
前回発売のものは・・・
チャプター分けがしてなかった
4:3サイズの採用により、画面をカットしてあった
・・・と不満もあったのですが、この製品は、ちゃんとシーン毎にチャプター分けしてあり、16:9ビスタサイズの採用により、画面をカットすることなく収録されています。
また、音声はドルビー・デジタル対応になってます。
それにプラスして、予告編、ポスター画像、スライドショー、インタビューなどおまけもたくさん。
前回発売されたものを持っている方でも、十分楽しめる内容です。
もちろん内容は、他の方が書かれているように、ハートフルな気持ちのいい映画です。
ちなみに、アメリカ版の内容はこの製品に近いですが、字幕がフランス語とスペイン語だったのが不満でした(せめて英語を入れてほしかった)
バグダッド・カフェ 完全版 [DVD]
いろんな事に疲れ現実逃避をしたい時、見たくなる映画です。登場人物は、日々の生活から落ちこぼれていく男たちとそれでも前向きに何とか生きていく女たち。女が図太いのは、万国共通なのでしょうか?
主題歌の「コーリング・ユー」が聞こえてくると、乾いた風が砂漠の黄色い砂とともに体のなかをすり抜けていく様な気になります。「私は、あなたを呼んでいるの!」これが、疲れきった生活から脱却する呪文かもしれません。
派手なアクションも美しい恋愛もありませんが、なにかにつけ何度も見返す映画です。
バグダッド・カフェ~完全版~ [VHS]
とにかく絵になる美しい映像と
とにかく肌に響く美しい音楽とを併せ
じわじわ心に染む温かな人間模様を編み上げ
とにかくお洒落にパッケージングした作品
*****
オシャレ系の人、クリエイティブ系の人、ミニシアター好きの人々に、
絶大な人気を誇るミニシアターの金字塔的な作品。
乾いた砂漠に佇むうらぶれたカフェ。
これまたカサカサに乾いた女主人。
そこにやってきた太っちょドイツ人おばさん。
砂漠に落とされた一滴の変化は、
いつしかオアシスとなり、人々を潤してゆく。
ストーリーは、正直、大したことないです。
王道のヒューマンドラマ。
でも。
小説でもなく、漫画でもなく、舞台でもなく、テレビドラマでもなく、
映画っていうものが存在し続けるのは、こういう作品があるからだ、
と思わせてくれるような作品。
美しいような、不細工なような、
アーティスティックなような、リアリズムのような、
なだらかなような、継ぎ接ぎのような、
意味深長のような、無駄なような、
ノスタルジックなような、モダンなような、
巧みなような、素朴なような、
結局まるっと一回りしてやっぱり、素晴らしく美しい映像。
コミカルなストーリー運びなのに、
なぜかしっくりきてしまうcalling youの伸びやかな旋律。
今時の邦画界に溢れる、原作が素晴らしいから映像化、という
言わばストーリーが上等であることを保険として作られる映画と比べて、
ワンカットずつに込められた世界観の肉厚さが圧倒的に違う。
これは映画じゃなきゃできないわ、という説得力が凄い。
でも、あたしにはちょっとオシャレ過ぎた。
もうちょっとキナ臭くて泥臭い方が肌に合う。
だから、みんな仲良くなってめでたしめでたし、という空気のなかで
昔からそのコミュニティに馴染んで居た女の子が
「仲が良すぎるのよ」と出ていってしまうシーンは、
この作品の中ですごく貴重な異臭を放っていて、好き。
Can you hear me?