二十四の瞳 デジタルリマスター 2007 [DVD]
"将来の希望"が書けなくて、おいおい泣いた富士ちゃん。
大石先生は 外の廊下で富士ちゃんから そのわけを聞き、慰めます。
でも 何もしてあげることができない大石先生、、、
「その代わり 泣きたい時は、いつでも 先生のところへいらっしゃい」
「先生も一緒に泣いてあげる」
「ねっ」
”共に泣いてくれる人がいれば、人間 孤独でなくなる”
あなたには、一緒に飲み食いしたり、騒いだりする人はいても、
あなたの悲しみを自分の悲しみとして泣いてくれる人がいますか?
そして何よりも、
あなた自身が人の悲しみや苦しみを共感できる人間ですか?
そんなことも問われてるような作品。
二十四の瞳 (新潮文庫)
子どもは天使だ。
そう断言するのはいささか安直だろうか。
ひねくれた子どももいる。
攻撃的な子どももいる。
感情を表に出せない子どももいる。
だからこそ大人である教師には、子どもに寄り添って、
子どもの目線にあわせる努力が必要になる。
「二十四の瞳」の大石先生は、自然とそれができた。
だから様々な境遇に生まれ育った子どもたち一人一人と、
心を交わすことができたのだ。
十二人、二十四の瞳のレンズは、色もつかず濁りもしていない。
清らかな透明な瞳で、先生を、そして自分のこれからを、見つめている。
これから教師を目指す人、とくに小学校で働きたい人にとって、バイブルとなりうる作品。
終戦60年特別ドラマ 二十四の瞳 [DVD]
黒木瞳も良かったし、子役も、演技とは思えないような
素朴な台詞および表情でよかった。でも、やっぱり、
蒼井優さんの演技に触れないわけにはいきません。
ほんの1シーンの登場ですが、これ以上にない切なさ
が伝わってきて、涙なしでは見られません。このシーン
だけでも見る価値はありますよ!
二十四の瞳 (角川文庫)
この本を最初に読んだのは小学4年生のとき。戦争や貧困、女性差別への拙い憤りを感想文に書いた記憶がある。しかし、当時はわからないことが多すぎたし、物語の展開にもついてゆけなかった。特に行方不明のままで終わる富士子の運命についてなど具体的なイメージを持つには幼すぎた。今回、再読するために購入した。
一般的に、この小説に対しては、教師と生徒の絆、生徒たちの純真さ、村の素朴な風景といったものが語られることが多いが、この小説の主眼は、一教師ができるのは、心を痛め、一緒に泣くことだけだという限界の重さだ。
怪我をした大石先生を子どもたちが迎えに行き、写真を撮るという名場面はあまりにも有名だが、あのような幸せはあっという間に過ぎてしまう。結末までに5人の男子のうち3人が戦死し、一人は盲目となる。女子はといえば、遊郭に売られたと思われる旧家の娘富士子、小学校を中退してうどん屋で奉公し、生んだ子どもを実家に預けて大阪で働く松江、そして、最も優秀であったのに女学校はおろか高等小学校にも進めず、奉公先で胸を病んで実家の物置で亡くなったコトエと、貧困や戦争といった運命に翻弄される。そして、夫を亡くしたとはいえ大家の夫人であるミサコはそのような同級生たちに対する優越感を示すようになる。
大石先生は、心を痛めるが、運命に翻弄されていく教え子たちの人生をどうすることもできない。彼ら彼女らの、幼い幸せな日の記憶にしかなれないのか。大石先生が何かを言おうとしてやめる場面が何か所もある。
教師を目指す人や現に教職についておられる人には特におすすめしたい。教師の可能性と限界について考えさせられる場面が非常に多い。
母のない子と子のない母と (小学館文庫―新撰クラシックス)
「二十四の瞳」の壺井栄さんの素晴らしい作品です。物語の舞台が私の生まれ育った郷土の環境に似ていることもあり、深い人間愛や愚かで痛ましい戦争について考えさせられるこの物語がより現実味をもって感じられました。多くの子供たち、そして大人たちに読んでほしい名作です。