皇帝*ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 [DVD]
演奏は当然素晴らしい。映像的には、バーンスタインの指揮ぶりに特徴があり、面白い。また、珍しくツィマーマンがオーバーアクションで魅せている。ツィマーマンの安定した鍵盤さばきに注目。
ピアノ協奏曲第1番・第2番 [DVD]
1番が特にお薦めでして、ピアノの出だしの音色は比類なく美しいです。ブラームスのピアノ協奏曲はオケが目立ちすぎたり、重厚すぎる演奏も多いですが、この演奏はピアノとオケのバランスが絶妙で、端正で美しいです。ツィマーマンの髭のない若い頃の姿も必見です。
ショパン:バラード集&スケルツォ集
1985年のショパン・コンクールにおいて、審査員たちが(演奏者の名を知らない状態で)過去5年間に録音された主なショパン録音の中から、「もっとも優秀」と選んだのが本録音。もちろんショパン・コンクールの審査員という「コンクール評価者」が、プロフェッショナルな録音活動の作品まで評価することに異議は挟めるけれど、それでも一つの権威によって刻印を刻まれた録音ではある。
一聴して、「意外」に感じるのは、かなり個性的な演奏だという点である。コンクールの審査員の評定点として、やはりショパンの「理解」とともに「忠誠」のような概念があるような想像があるけれど、この録音ではむしろショパンの作品を興味津々に分解するカツァリスの喜悦のようなものが感じられ、それが面白く感じられるからだ。
より特徴が明確なのが、「スケルツォ」。スケルツォはショパンの楽曲の中でも、きわめて律儀な三角形の構造を有しており、そのため「繰り返しのフレーズ」が耳に残るわけだが、カツァリスは聴き手の耳にのこっている「前回のフレーズ」を、次の提示においてあえて違った角度で提案することにより、新鮮な味を加える。そのため、「分解」のイメージが聴いていて残る面があるが、面白いことは面白い。特徴的な、時として「そこまで・・・」と思うほどのアクセントや濃淡、ペダリングは、ホロヴィッツをも思わせる。
ただ、もちろん本盤が他のショパン録音とくらべて優れているかどうかという比較は、実際「優れている」という価値が多様すぎて(そこがクラシック音楽の素晴らしいところですね)、一概に言えるものではないので、できるだけ多くの録音を聴くのが(もちろんお財布との相談事項ですが・・)やはり理想でしょう・・・。
バーンスタイン・コンダクツ・バーンスタイン [DVD]
今年は「没後20年」に当たります。
若いころ大ファンで何度もコンサートに行きました。(CとかD席しか買えませんでしたが)
懐かしい映像がうれしいです。「バーンスタインは不滅」です。
若い人にも聞いていただきたいです。
ショパン:ピアノ協奏曲第1番・第2番
ショパンコンクールの入賞者は、たいていが協奏曲を録音している。理由としては、それがコンクール本選の課題曲だということも挙げられるが、それ以上に、この2曲が非常な難曲だからだということが挙げられるだろう。つまり、ピアニストにとってはある種の試金石になっているのだ。
そんなショパンの協奏曲には、当然名演と呼ばれるものも多い。たとえば、アルゲリッチ、ポリーニなど歴代のショパンコンクールの優勝者や、ツェルニー・ステファンスカ、ルービンシュタインなど、往年の大家にも名演がある。
しかし、どれを聞いても感じられることだが、やはりオーケストラの部分が物足りない。それどころか、ピアニストが繊細な弾き方をしていても、オーケストラだけがドイツ軍よろしく行進するような伴奏をつけているようなものもある。
ところが、このCDにはそんな物足りなさや不自然さがまったく感じられない。オーケストラは“伴奏”ではなく“旋律”を奏で、ピアノとオーケストラの音が互いを主張しつつも完全に融合している。もちろん、弾き振りにありがちなタイミングの大きなずれもない。類稀な名演ということができるだろう。
もちろん、人によってはこの演奏を甘ったるく感じて、他の演奏家のほうがいいという人もいるかもしれない。しかし、ピアノだけが目立っているのでは、それこそ協奏曲ではなく、“競奏曲”になってしまう。
真の“協奏曲”を追及した演奏、一聴してみる価値はあると思う。