莫山つれづれ (新潮文庫)
虚飾や、しがらみに振り回されることのない、穏やかな境地にはなかなか至れないだけに、莫山さんの大ファンです。以前から、新聞やTV等で伺ったお話もありましたが、本となっていつでも手元に置き開けるのが嬉しいですね。これから何度も読み返したいと思っています。
莫山つれづれ
莫山流書家。105冊目の本。軽妙洒脱の人。文も書もその人となりを表している。
誰のことを好んで素材にするか、象徴的にその人の特徴がわかるのではあるまいか。
湖国(近江)を思った芭蕉の最期(義仲寺に芭蕉の墓がある)
何を書いても洒脱な良寛(不思議な禅者の手紙)
尾崎放哉のけむりの句碑(はるの山のうしろからけむりが出だした)
山頭火はあてのない漂泊の果てに(蚊帳の中の私にまで月の明るく)
痛烈な禅僧一休の遺げ(須弥南畔 誰カ我ガ禅ヲ会スル 虚堂來也 半銭ニ直ラズ)
江戸の禅僧仙崖の描いた寒山拾得(寒山「お経みるけど意味は知らん」拾得「箒持っても塵は掃かん」)
その他、どの文章を見ても超俗的で、すがすがしい。