ぶらんこ乗り (新潮文庫)
いなくなってしまった弟の思い出を、一人の少女が振り返る、
という形で、哀しい予感を感じさせながら、物語が進んでいきます。
前半は、淡々とした感じなのですが、
後半は、色々な出来事が起きて、ありゃありゃ、って思っている内に、
どんどんお話に引き込まれてしまうと思います。
ちょっぴり哀しいけど、暖かくて、優しくて、不思議な作品。
読んで良かったと思わせられる一冊です。
ある一日
以前、『みずうみ』でひどく感動したのを思い出す。
3つの物語がパラレルで走るんだけど、実は全部つながっている。
最後の物語は、いしいしんじと園子さんの悲しいエピソードで
途中から胸が痛くなるんだけど、ラストの1ページがすごく素敵な終わっていて大好きな作品だ。
そして、まさにその続きが今作。
いしいしんじの「ごはん日記」でもよくわかるけど、
園子さんの偉大さが良くわかる。
本当に、同じ赤ちゃんを持つ母として心から尊敬します。
ピアノ
お気に入りのアルバムが一つ増えた。バンドに所属しているアーティストのソロアルバムは、自分のバンドで使えなかった『捨て曲』の集まりであることが多く、あまり期待していなかったのだが、原田郁子のソロアルバム『ピアノ』は、優しいヴォーカルと繊細で美しいピアノのメロディーが心地良い、よくできた作品だ。これだけ魅力的な曲を書けるなら、クラムボンはいつ解散しても1人でやっていける。むしろ、曲にバラつきがあるクラムボンよりも、スマートで聴きやすいくらいだ。『たのしそうかなしそう』と『教会』は、出会えてよかった曲。
難を言えば、全体的に音がこもっているので、もう少し高音寄りに整えてほしかった。このアルバムを聞く時だけ、わざわざコンポのイコライザーを操作しています。
トリツカレ男 (新潮文庫)
ベタベタ甘いんじゃなくて、優しい香りがほんのり流れてくるような、ロマンティックな恋物語だと思いました。
一風変わった語り口で綴られる、トリツカレ男の懸命な恋。
柔らかくって暖かくって、あっという間に読んでしまいました。
読後感の非常に爽やかな物語です。