畏るべき昭和天皇 (新潮文庫)
タイトル通り、昭和天皇の経歴や生涯を連綿と綴るわけでなく
二・二六事件での断固とした天皇陛下のお気持ちや
大戦前、後での御聖断など、周囲の政治家や官僚の考えや常識を
超越した昭和天皇の畏るべき存在感に着目した本です。
即位後、周りが神と持ち上げる中、冷静に人間天皇に根差した
視点を失わなかった昭和天皇の御心境を丹念に綴った物語です。
宇宙戦艦ヤマト 2199 (1) [Blu-ray]
まず最初に不満点というか違和感を覚えた部分について
書いてしまうと、やはり沖田艦長の声と、チャラ男化した
島大介のキャラの2点が気になりました。沖田艦長に関しては、
オリジナルの声優があまりに偉大だっただけに仕方ない部分が
あると思うけど、『ヤマト』の登場人物の中でも屈指の硬派で
あった島クンが、このようなナンパな優男になってしまったこと
はちょっと悲しい(ちなみに、乗組員が艦長を呼ぶ場合の
「かんちょう」のイントネーションが、オリジナルの「かん↑ちょう↓」
から「かんちょう→」というよりリアルな帝国海軍っぽいものに差し
替えれれている点も注目。マニアック!)。
が、上記以外のあらゆる点に感動しました。『ヤマト』世代の人間としては、
オリジナルのBGMや効果音を極力活かしながら、絵作りに関しては
最新の技術と解釈を恐れることなく導入している点に心震えましたし、また、
「大人になってオリジナルを観た時に感じる設定・プロットの不合理さ」
を非常に巧みに自然なものに変更している点がすごいと思いました。観れば
わかると思うので具体的に書きませんが、思わず膝を叩く絶妙さ。あのパーツは
こういう意味だと解釈すれば・・・なるほど筋が通る!! とか。こういうのを
一つひとつ考えだすには相当時間がかかったと思います。すごいよ。
これはよくある懐古ファンをターゲットにしたお安いリメイクとは明らかに
異なる、おそらくはオリジナルの『ヤマト』に衝撃を受けてアニメ業界に
携わることになたであろう才人たちが、魂と執念、時々怨念を込めて作っている
作品なんだと思います。私は今まで、いろんな意味で怖くて観られなかったのですが、
時間の無駄だったかも。2巻以降がすごく楽しみです。
北一輝論 (講談社学術文庫)
革命は左翼、ナショナリズムは右翼と対立軸を引き易いが北一輝は線引きなどしない、天皇を利用し社会主義革命を執行しようとする。ロマンに酔い恋慕し放浪し革命家の道に、、、。評伝として松本健一著評伝北一輝があるが全5冊はちょっと高いと言う方に。三島由紀夫がなぜ226事件の将校を肯定し昭和天皇に失望したか考察するためにもお薦めします。
必要のない人 BOX [DVD]
1998年に12回連続で放映されたNHKドラマ。
これぞホームドラマ!という展開は、安心して観ていられる。
内館牧子の脚本で繰り広げられる人間劇、人情話に悪人は一人も出てこない。
内輪のどたばた騒動が毎回繰り広げられ、次回はどうなるのだろうかと思わせる。
物語に刺激は少ないが無駄もなく、全く期待を裏切らない展開。
最後は何となく予測できた結末で終わり、予定調和といえばその通りなのだが、
vol.1から観始めると途中でやめられない不思議な中毒性がある。
脚本の出来と共に、芸達者な出演者たちの演技力と丁寧な製作再度の勝利だろう。
銀次郎という名の蕎麦屋が本当に銀座にあるような、そんな気にさせるだけの説得力。
この愛すべきファミリーのその後が世界のどこかに実在するするような、
それを見てみたいという、何だか不思議な寂しさを持ってエンディングを迎えた。
これってハマッタってことですね。
ついでながら、南野陽子のかわいさを再発見できました。
海岸線の歴史
加藤周一は、日本人はアイデンティティがあり過ぎると言っていたが、本書はもしもニッポン人とは何かと問われたときに、今後有力な根拠となるものを提示したオリジナリティ溢れる思考の産物だと思う。
梅棹忠夫、川勝平太(個人的には川勝の理論は肯んじえないが)に続く、グランドセオリー足りうるのではなかろうか? あと付け加えるなら、鹿島茂の“ドーダ”理論かな。
本書の中身に就いてもあれこれ言いたくはあるが、それを書くと本サイトは乗っけてくれないことが大半なので、読者の皆さん是非本書に当たられたし。