LIVE AT OPEN THEATRE EAST 1993 & CONCERT 96 [DVD]
まさかキースジャレットのスタンダーズがよみうりランドでライブを演るとは・・・
もちろん前年まではJTがスポンサーについたイベント「ライブ アンダー ザ スカイ」がこの時期に行われていたその場所だ。
何故かライブアンダーは前年で打ち止めとなり、この年はマイルスへのトリビュートとしてキースのトリオが登場する。タバコ嫌いのキース故か、JTのスポンサードはなくなり、会場は禁煙となった。雨が降ろうが何であろうが、私には禁煙がとてもうれしかった。(それでも吸うヤツがいたが、それは中毒という病気だから大目にみよう)
・・・降り続く雨。雨具を着て会場に入った私が目にしたのはステージ上に張られた透明なテントだ。神経質で有名なキースだが、こういう困難な状況は誰のせいでもない。となれば底力を発揮するのもキースである。指がすべるのか、キースは頻繁に滑り止めパウダーを指に塗している。汗ではなくて指がぬれているというのは、実は弾き易かったりもするが、小さい手をフルに使うキースは、より完璧を目指してぬかりはない。
真正オーディオメーカー パイオニア入魂の宙吊りスピーカーはきれいな音を聴かせてくれている。三人の演奏は静かに熱を帯び、延々25分を越えたsolarに三人の執念を見た。素晴らしかった。帰路、「ハイヴィジョン収録の今日のレーザーディスクの予約を受け付けます」との商魂たくましい掛け声が聞こえた。
楽しいイベント ライブアンダーとはまるで違う、貴重な体験をした夏の日。今思うと、あれは夢だったのだろうか?
東京ソロ 1984/87 [DVD]
他の方のレビューにあるとおり、パッケージの扱いにくさ、字が小さいことからくる読みにくさは、商品としてマイナスポイントでしょう。
しかし、キース・ジャレットのふたつのピアノ・ソロ・コンサート(1984年1月25日、東京・五反田の簡易保険ホールのライヴと、1987年4月14日、東京・サントリー・ホールのライヴ)を映像で見ることができる喜び、スリリングな楽しみは、やはり得がたいものがあります。
私は今回はじめて、この2枚組DVDによってキース・ジャレットの演奏する姿に接しましたが、演奏中、興が乗った時のキースに「創造の神が舞い降りる」雰囲気が感じられて、わくわくしました。とりわけ、『Last Solo』と題された1枚目のトラック4「東京’84 アンコール」の演奏が素晴らしく、まっさらなキャンバスに音楽を書きつけていくキースの恍惚とした姿に、身震いするほどの感動を覚えました。
14の小品、メロディーをちりばめた2枚目の『Solo Tribute』も見どころが多く、堪能させられましたね。音楽の色んな引き出しを持っていて、それを自在に出し入れし、使い分けることのできるキースの才能にふれることができて。このなかでは特に、マイルス・デイヴィス作曲の「ソーラー」、ラス・フリーマン(?)の「ザ・ウインド」の演奏がよかった。
収録されたふたつのライヴ演奏ともCD化されておらず、映像のみの発売となっているようです。商品パッケージは扱いづらく、見づらく、問題ありですが、キース・ジャレットのピアノ・ソロがお好きな方でそのライヴ公演に接したことのない私のような聴き手にとって、これは十分魅力的な映像であり、買った甲斐がありました。
アート・オブ・インプロヴィゼーション ~キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー [DVD]
日独英共同制作の、『ついに出た』キース ジャレットのドキュメンタリー。
断片を寄せ集めてつくったドキュメンタリーなので、音楽的、映画的なストーリー性は無く、バラバラに綴った、ニュース映像を見ているような感じ。
もっと、ストーリーとして仕上げて欲しかったです。
そういう点では、成功とは言いがたい出来。。
チャールズ ロイドからマイルス、アメリカン4、ヨーロピアン4、スタンダーズ、、と、映像資料満載。 見たかった、知らなかった映像のひとつひとつに大興奮しながら見てしまいました。
特に、ヨーロピアン4が見たかったのだけれど、ガルバレクが若い! (あたりまえか)
だから、「資料集」としては、持っておきたい1枚なのですが、見る機会は、
2005年10月5日に出た、「TOKYO SOLO 2002」のほうがずっと、多くなりそうです。
実は、ずっと、この人の
「Inner Views」 という本を、本人の生声、朗読で出してほしいと思っているのだが、
彼の音楽についての思いが、『動画で』見られたことが、何よりもの感激だった。
冒頭部分で、improvisationの深さについて、『サラッ』と触れるのだけれど、そこを、もっと深く追求して欲しかった。
おまけヴィデオクリップ、もの凄く楽しみにしていたのに、プロモーター鯉沼氏のインタビューだった。 これは、いりません。
これがなければ星4つ。
The Melody At Night, With You
前編を通して、美しいメロディーとハーモニーが紡ぎ続ける、キース・ジャレットとしても珍しい作品。「ケルン」などの音楽的に大きな抑揚が無くても、全身で音を感じたくなります。私の場合、雨の日や気分が落ち着かない夜などによく聴きます。音楽は良いですね。ワインで本物を味わいたい場合、ある程度高価な品が必要ですが、CDは、熟成された技術で丁寧に作られた作品が手軽に入手できますから・・・。
マイ・ソング
キザなコピー風になぞらえれば、そんな感じでしょうか。
北欧の空に清らかな音の粒子がオーロラのように舞っている。俗塵にまみれながらも、世界がしばし聖化されるような、そんな妄想が許されるような、得がたいサウンドの快楽をこのアルバムは教えてくれました。
およそ20年前、大事なLPを人に進呈して以来、再度このアルバムを手にしました。鮮やかに時空が回帰するという、中高年ならではの楽しみの一つです。