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毒草師 白蛇の洗礼 (朝日文庫) 毒草師、御名形史紋を謎解き役に据えた第二弾。
したがって、殺人が毒がらみになるのは必然的な成り行きですが、今回は茶道が舞台、茶席で次々人が毒死してゆきます。
茶道の殺人事件としては、この著者の『麿の酩酊事件簿・花に酔』の中に見事にトリッキーな謎解きがあります。それを期待して、今度はどんな趣向が、と読み進めました。

しかし本作の殺人事件の謎解きは、後半のQEDシリーズと同じように、動機、トリックともにそれほど納得のゆくものではありませんでした。
多くの人物が無造作に死んでゆきますし、しかもとちゅうでちらと予想がついたのですが、非常に有名なアメリカの作家の古典的な怪奇短編(多くのアンソロジーに入っています)と同じオチになっています。裏千家という、茶道の中でも細かな作法の多い流派が舞台なので『麿』以上のアクロバティックな謎解きもありうるのでは、と思ったのですが、その点はちょっと残念です。

 よってミステリの部分はあまりお勧めできませんが、歴史の謎の部分はやはりぐいぐいと読ませます。茶道とカトリックの典礼の類似は前から指摘されているとはいえ、千利休が宣教師の影響を受けただけではなく、実際にキリシタンであったかどうか。禅もふくめ茶道の精神史にかかわる大きな問題です。
 それに関して、今回も無表情の御名形が堂に入った推理を展開してくれます。読み終えてもっとも心に残るのは、やはりこの高田節でしょうか。

 QEDシリーズの後半では、桑原タタルの歴史の謎ときと、現代の殺人事件が分離してしまい、物語が二極化してきていました。続くこのシリーズではその二極化を解消するべく、狂言まわし的なジャーナリスト、素朴な西田青年を事件の解明役に投げこむことで、二つを接合し、全体を有機的なドラマにまとめあげようとしています。
 前著に引き続き、西田青年は事件渦中の美女にほれこみ、そのうち毒に詳しい隣家の御名形を頼る、という形で三つの部分がつながります。

 第三作が近々出るそうですが、毒草師を探偵にする以上、どうしても読者の挑戦できるような謎ではなく、御名形の天下り的な解説にならざるをえない部分はあるのでしょうね。次作もミステリ部分よりも、やっぱり、それと遠く連鎖するような歴史の謎を心待ちにしたいと思います。それと、登場すると、ほっと肩の力が抜ける好青年、西田君もいい味を出しているので、彼の次なる恋愛(?)にも期待します。

そんなもんだよ、しょうがない 高田文夫プロデュース。高田文夫絡みって楽しいものが多いですね。

しかし、このCDに入っている歌はイマイチで、メインは「昭和のいるこいる35周年記念の漫才を全編完全収録(2000年11月12日 鈴本園芸場)」(24分38秒)です。

何だ,結局ボクは、漫才が聞きたかっただけなのだ。
そんなもんだ、そんなもんだ、しょうがない、しょうがない。


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