7月4日に生まれて (集英社文庫)
ってGLAY※が歌ってたけど、なんかそんな気分。冒頭の十数ページは圧巻。残酷な短文、リアル描写がグサグサと、い痛ぇ〜よ。知らんかった。「弾が貫通した」って兵士が知るのは、太もも裏側から流血した瞬間なんだ。
どんな気分なんだろ。死体を目の前に「泣き出したかったけど、もう出てこなかった」気分って。平和が当り前の日本人には、想像を絶するシーンの連続で。でも残酷一辺倒だけでなく。ニクソンに詰め寄る反戦家の一面や、セピア色の思い出との対比もあり、ラストは切な過ぎる。
けして反戦活動が腰抜けだとは思わない。過去の自分を否定してなお主張し続けたコビックこそ勇者だ。
PS●62年7月3日生まれのトムクルーズの熱演は、『フォレストガンプ』など後の戦争映画にも影響を与えた
●日本人と愛国心→『五分後の世界』村上
●ごめんタクロー、自分の言葉でレビュれんかった。宣伝しとくね。
※97年ベスト盤♪『REVIEW 〜BEST OF GLAY〜』収録
7月4日に生まれて スペシャル・エディション [DVD]
戦争帰還兵の苦悩を正面から描いた作品としての価値はいまでも高い、
本作中盤以降、戦地から帰還後、トム・クルーズ演じる主人公は自身の苦悩を周囲のものすべてにぶつけ軋轢と衝突を繰り返す、 悲惨なエンディングになるのかと思いきやハッピーエンドで終わるという娯楽映画のフォーマットに上手に収めた手腕はやはりオリバー・ストーンならではでしょう、 だからトム・クルーズの映画というよりもやはりオリバー・ストーンの映画といったほうが当たっていると思う、 しかしその後プロデュースにも進出するトム・クルーズが見せる独特のえぐみのようなものはこの映画に主演することで学習したようにも思うのだが、
迷うことのなかった50年代から出征を経て混乱の70年代まで各時代の雰囲気描写も見事です、2時間長の長さを活かして各エピソードも十分消化された演出です、 脇役ではやはり両親二人が味のある演技を見せる(二人とも80年代に多くの出演数がある名脇役)、 トム・サイズモア、リリ・テイラーほか本作後に活躍する俳優達の若い顔が画面の端々に確認できるのも楽しいかも、
なんか変だなと思うのがなぜベトナムで戦われる戦争にアメリカが参戦したのか、いったい敵は何なのかについての描写が弱い点でしょう、劇中せりふとして何度も繰り返されるようにベトナム戦争とは神を否定する無神論者たちである共産党(北ベトナム)を殲滅するために神に祝福された国であるアメリカ合衆国が参戦したという単純な理屈なのです、
敵は具体的であるにもかかわらず「遠い国の戦争」に参加して「無駄に血を流している」という合衆国内の共産党同調者たちの扇動によって厭戦気分がたぶんに盛り立てられた結果、時代の気分そのものがもういいやという状況になってしまったのが映画の終盤時代のアメリカになります、 シラキュース大学で学生たちを扇動する男などアメリカ国内で活動する共産主義者なのです、 この辺の事情については映画「フロスト×ニクソン」でケヴィン・ベーコン演じる政府の当事者の台詞が理解を助けるでしょう、 当時のアメリカ国内をはじめとする世界的なベトナム戦争反対運動とは各国の共産党党員ならびに共産党同調者たちによってたくみに扇動されたものであったことが歴史的事実です、その視点を外して今現在においてもベトナム戦争はアメリカの犯した悪行だと語りたがるタイプの人物は歴史を知らないのか(つまり無知な愚者)、もしくはその事実を隠蔽したい共産党員・同調者と断定して間違いありません、
オリバー・ストーンがどこまでの自覚をもって脚本化したのか不明だが、劇の進行を順に追えば、敵である北ベトナムはなにも非難されるべきではなく、ベトナム戦争とは共和党が主導した悪い戦争(だから主人公たちが共和党大会にデモで殴りこむ)、逆に民主党大会で主人公が演説することをラスト・シーンとすることで民主党は正義なのだと民主党の大宣伝映画になってしまっている、 トム・クルーズがそうなのかは知らないがオリバー・ストーンが根っからの民主党支持者なのは有名らしいので主張は一貫しているともいえるが、
敵である北ベトナムよりも傷痍軍人を食い物にするメキシコ人達を悪辣に描いているのも変な演出でしょう(砂漠で置き去りにされた二人を助けるメキシコ人を登場させることで帳尻を合わせたともいえるが)、
主人公が自分たちが攻撃してしまったのかと悩むベトナム人家庭のシーン、 そうとも言えるしそうでないとも言えるという曖昧な描写に意図的にしたのだとおもう、 ベトナム戦争を語る場合、対ゲリラ戦の複雑さを考慮する必要があるからだ(つまり軍服を着た軍人同士だけが戦っているわけではない)、「ランボー1」終幕近くにランボー自身の「子供が爆弾を持ってきた」ので同僚が子供もろとも爆死したという独白が実話であること(共産党軍の強烈な人命軽視傾向)を思い出すべきでしょう、
誰にも自身の苦悩をぶつけられなかった五体満足で帰還したエリート軍人ランボーは彼の怒りをそのまま直接に暴力に訴えたことになります、
7月4日に生まれて
数々のフィルムスコアを手掛け、今や映画音楽の代名詞的存在…大御所中の大御所と云えばこの人の名前が先ず浮かぶであろう、J・ウィリアムズ氏の名作スコアです。サントラなので、他の楽曲(劇中に使用されるポピュラーソング等)も当然含まれるんですが、やはり中心は、この人の切なくも美しいスコアでしょう。この辺りの彼のスコアから顕著に顕れる特徴として、ソリストを前面にフューチュアしてのスコアが増えてきます…あの美しいトランペットの旋律を奏でるは、元ボストン響の名手ティム・モリソン氏です(JFK《ジェフ・藤川・久保田とちゃいまっせ!!》やプライベート・ライアンのスコアのソリストもティム氏が担当してます)。トランペットといえば、派手派手なイメージが先行しがちですが、吹く人が吹くとこんなに繊細な音色を奏でることが出来るんですねぇ…トランペット好きな人も、そうでない人も、一度聴いてみてください。きっと心にダイレクトに響くこと請け合いです。こういうのって、コンポーザーとパフォーマーとの間に、ガッチリ意思疎通がなされてないと出来ない仕事ですよね?“その他”と一括りにしたポピュラー系統の楽曲も名の知れた曲ばかりなので、飽きないと思います。特に(これはカヴァーですが)♪“It's a hard lain comeing fall.(邦題;激しい雨が降る)”は、劇中の時代背景を如実に浮き彫りにすると同時に、映画にこめられた“反戦”のメッセージを上手く伝えるに効果覿面であったと云えるのではないでしょうか。ともあれ、全編丸ごと美味しい1枚です。
コレクション
数々映画音楽を書いたジョン・ウィリアムズのボストン・ポップス・オーケストラ19代常任指揮者時代(1980-1995)にソニークラシカルでレコーディングした音源を集めたベスト・アルバム盤。
収録曲もさまざま収録されていて便利なベスト・アルバム盤です。まずジョン・ウィリアムズの自作映画音楽とオリンピックファンファーレ。自作曲以外はブロードウェイミュージカル曲を集めた「ゴッタ・ダンス―ジェローム・ロビンスを讃えて」やアメリカの大クラシック作曲家ガーシュウィンの「ストライク・アップ・ザ・バンド」。アメリカのジャズピアニスト、作曲家のデューク・エリントンの「スイングしなけりゃ意味ないね」と「ソフィスティケーテッド・レディ」とかフランク・シナトラの「いそしぎ」。名指揮者としても知られる作曲家レナード・バーンスタインの「キャンディード」などが豪華なオーケストレーションと演奏で収録されています。中でもウィリアムズの自作曲ですが「E.T.~地上の冒険」は演奏が難しい曲とされているらしいですがボストン・ポップスの演奏は安心して聴けるすばらしい演奏でした。全トラックすばらしい演奏と適切な選曲で良いアルバムでした。ですので星五つです。
7月4日に生まれて [DVD]
89年の公開当時、映画館で見ました。まだ小学生だったけど、それでも心に残ってる秀作。
愛国心に燃える青年が、周囲の応援の元、ベトナム戦争へと赴く。…が、そこで彼は重傷を負い、車椅子生活へ。しかも、味方を一人、誤って殺してしまう…。
更に。帰国してみると、米国内はうって変わって反戦モードに。性的不能になった事もあり、主人公は荒れてゆく……。
最終的に彼は立ち直るので、ラストは爽やかだが。でも基本的には見てて辛いですね。
“戦争のその後”を描いてるという意味で、『キャタピラー』に通じます。