古代エジプトうんちく図鑑
この本は凄い!おすすめです。
1.エジプト神話がわかる
極めて矛盾に満ちたエジプト神話。その概要が分かります。エジプトの歴史編と照らし合わせて読めばより興味深く理解することができます。
2.エジプト旅行記が読める
日本人の常識が全く通用しないエジプト。ずる賢くも生き生きと生きるエジプト人にどう対応して、どう交渉すれば良いか失敗例も含めて詳しく書かれています。せっかくエジプトに行くのだからただ漠然と見るのではなく、知識を得て計画をたてて見るのが正解でしょう。それでもその計画をいとも簡単に裏切ってくれるエジプトの姿。ある意味腹立たしくもあり、滑稽でもあるのですが非常に参考になります。
3.エジプト発掘人列伝が読める
エジプトを愛した人たち。その情熱と成果…そして罪。彼らがいったい何を発掘したのか、エジプト歴史編と合わせて読むと、その感動は2倍にも3倍になります。そして、無くなってしまった物、散逸してしまった物への虚しさも…。
4.エジプトの歴史がわかる
単にエジプトの歴史なら多くの書籍がありますが、遺跡のイラストや人物のイラスト・台詞とともに見るとその理解の度合いは段違いです。多分小さな間違いもあるのでしょう。だが、そんな細かいコトはこの本には関係ありません。愛にあふれています!
これらが全て「味があるイラストや文章」で手書きで書かれているのです。イラストだけでなく、エジプト物の写真集・雑誌記事やネットのお世話になるとより理解できる部分もありますが、それにしても凄い。平凡なエジプト物の本を見るよりより深い部分を理解できるし、それが有機的に繋がっていって「そうだったのか」と新たな理解に繋がることもしばしばでした。
とにかく。この本はお薦めです!
注意:この本はいわゆる「トンデモ」さんに手厳しいです。超古代史・オカルト関連からエジプトに興味を持った人は耳が痛い話も書かれています。参考文献にもそれらへの批判本から引用されたりしています。(良い本なんだけどね)
ピラミッド関連の学説についても、新しい学説や最近分かったことなどが載っていて、非常に参考になりました。
古代エジプト入門 (岩波ジュニア新書)
ジュニア文庫って、中高生向けってことですか?
と、とんでもない!
いえ、本気でエジプト学をやろうというのなら、このくらい「中高生の入門」レベルかもしれませんが、
ちょっと好き、興味ある、軽く好奇心を満たす、程度の内容ではありません。
ティーンの棚にあったので、つい甘く見て後悔。同時に、出会いに感謝!
古代エジプトの、文明の起こりとその要因から始まり、
初期王朝時代の政治体制、古王国時代への移り変わりと、ピラミッドなど宗教建造物の特徴、そして第一中間期への移行とその原因、そこから生まれた価値観。
中王国時代の成立、その特色。歴史の流れ、文化の発達、第二中間期の混乱の中で育まれた新しい文化、その発展、そして輝かしい新王国時代の、諸王の活躍、遠征の様子など――。
プトレマイオス期の終わり、つまり、「古代エジプト文明」の終焉といえる部分までを、時間の流れに沿って、丁寧に説明してあります。
言葉は分かりやすく、一方的ではないが、いま定説とされるものを基本に、時に異論も紹介しながら丁寧に解説されています。そのため、余計なものもなく、心地よく学ぶことができます。
そう、書いてある事は確かに、基本なんです。
が、基本を、古代エジプトの歴史をはじめから通して、偏りなく、堅実に紹介してくれる本は、そんなに多くありません。
読んで、説明不足とは感じませんが、さらに深く知りたいという衝動に駆られる方も少なくないはず。それだけ、全体の様子がしっかりと、しかし魅力いっぱいに書かれています。
著者は最近、多くの良質な古代エジプト関連の本を翻訳されており、
どれも堅実で、無駄なく、学ぶのに最適と感じます。
「おわりに」に著者の挙げられている参考図書については、
本屋か図書館で見つけることができ、日本語で古代エジプトを学ぶための、基本を教える、または深く掘り下げてくれるようなものばかりで、
とても親切に感じました。
ピラミッドが好きな方も、歴史が好きな方も、新王国時代の王が、諸外国との関係に、文化の変化、価値観の変化……どれに興味がある方にも、お勧めできます。
流れを描き、それぞれの理由や意義を考えさせる、素晴らしい一冊です。