与謝蕪村 (新潮日本美術文庫)
カラーページが多く、とても充実した内容です。与謝蕪村のこうした美術作品の書籍は高額なものが多いのですが、この本は低価格で内容も満足のいくものです。与謝蕪村初心者にはおすすめです。
芭蕉俳句集 (岩波文庫)
本書は芭蕉の作と明らかに認められる発句を制作年次順に配列している。927句最終句は「病中吟」三句ではなく、年次不詳等も含め、「別ればや笠手に提て夏羽織」
参考として存疑の部576句、その中には金比羅裏参道の芭蕉句碑「花の陰硯にかはる丸瓦」も含まれている。誤伝と明らかにされている発句も初句の五十音順で付け加えている。「おくのほそ道」で曾良の句としている「かさねとは八重撫子の名成べし」もここ誤伝の部208句に入れている。芭蕉の代作と説が多く、その可能性が強いと言われているので、存疑の部に入れるのがいいのかもしれない。
芭蕉発句集編纂には二つの場合が考えられる。一つは門人たちが芭蕉追慕の意をもって遺詠を蒐集しようとする場合、他は蕉風の亀鑑として作句上の粉本とする場合である。また、鑑賞を目的として編まれる場合は、注釈書の形をとっている。その間に存疑・誤伝が混入するのは避けがたい。本書はそれをさび分けようとする芭蕉俳句(発句)集成の貴重なテキストである。
蕪村 (岩波新書)
蕪村のお墓を京都で見て、芭蕉への憧憬を蕪村伯が書かれた奥の細道写本で見ました。
そのお寺、金福寺の美しく静かだったこと・・・
蕪村伯の絵を銀閣寺でも拝見しました。むしょうに蕪村伯に憧れ初めて買った1冊目です。
またこの本をもって金福寺にいってみたいです
蕪村俳句集 (岩波文庫)
出会いは二十年以上も前に遡る著書であるが、今なお時々愛読する。ふっと蕪村に会いたくなる時、懐かしい俳句の一つや二つを読みたくなる時、落ち込んで慰めが欲しい時などが再読の機会となる。郷愁性、青春性、牧歌的、叙情的、叙景的等いろいろ蕪村俳句の特徴を挙げることができる。蕪村の俳句は、概して「明るい」、「懐かしい」、「精神的に軽くしてくれる」、「慰められる」という印象がある。丁度クラシックにおけるモーツァルトの曲と似た位置付けであろうか。蕪村俳句を読む時は、モーツァルトの曲を聴き精神的に高揚されるのと同じような状況を生み出すと言えないだろうか。
なお、嘗て知人に名著として薦められ、読んだ「郷愁の詩人 与謝蕪村」(萩原朔太郎著)は、蕪村俳句を理解する上で至極参考になる優れた解説書と思う。薄い文庫本であるので、是非にお薦めしたい。
また、蕪村は高名な画家でもあり、俳句に通じた素晴らしい絵がある。俳句の嗜好は年代に応じて変化するが、今また拾い読みしてみれば、以下のような蕪村俳句が好みとして挙げられる。
さしぬきを足でぬぐ夜や朧月
月に聞て蛙ながむる田面かな
にほひある衣も畳まず春の暮
洗足の盥も漏りてゆく春や
春惜しむ宿やあふみの置炬燵
腹あしき僧こぼし行施米哉
初汐に追われてのぼる小魚哉
淋し身に杖わすれたり秋の暮
かなしさや釣の糸吹くあきの風
うづみ火や終には煮る鍋のもの
古池に草履沈みてみぞれ哉
郷愁の詩人 与謝蕪村 (岩波文庫)
今時、萩原朔太郎という作家の本を読んでいる若者はどれくらいいるのだろうか・・・。
かくいう私も、20年くらい朔太郎を読んでいない有様であった。与謝蕪村について書かれた
この本は、朔太郎らしいリリシズムにみちた俳句の解説がほとんどである。読んでいるうちに、私は蕪村の俳句の世界に引きずり込まれていくようだった。蕪村は、ほとんど読んだことがない私であるが、蕪村初心者でも、わりととっつきやすい本だったと思う。昔ののどかな日本の風景のなかにいるような気分になる一冊であった。