PHOTOGRAPHIC VIDEO MUSIC Vol.5 KUMANO ーリセットの地ー
世界遺産「熊野」。那智の滝を中心に熊野三山で囲まれたこのエリアを訪れ、まず目を引くのは、デザイン性を感じさせる完璧なまでの自然の造形だ。高さ133メートルの那智の滝は、水の落下角度、岩肌上のストリーム・ラインとその速度、どれをとっても、これ以上ない完成度で、調和をしながら尋常ではないレベルのマイナスイオンを、付近一帯、広いエリアに放出している。滝をご神体とする熊野那智大社からは、勝浦の海が見渡せるが、夏至と冬至には、その山の傾斜の合間に見える海面のほぼ中心から日が昇るという。 有史以前の古代から、自然信仰の場所として知られるこの場所で、人々はこれまでに、何を見てきたのか。神の存在をどのように感じ、それにどう近づいてきたのか。「よみがえりの地」として、数千年もの間、人々を引き寄せ続ける熊野には、「何か」がある。それは、何者かの意思を感じさせるような自然に対峙し、それによってリセットされる「新しい自分」に出会うための旅のことなのかもしれない。 撮影は鋭い感性で世界を旅するフォトグラファー在本彌生。毎年、3月から5月の3ヶ月間以外の立ち入りが一切禁止されている神域に、特別の許可を得て、11月の晩秋シーズンに入域。見事なエメラルドグリーンの色彩を放つ扇型の滝壺に降り注ぐ「二の滝」を撮影。そして、さらにその奥、「三の滝」では、太陽の光と水しぶきの完全なる調和により、1秒たりとも途切れずにその場にかかり続ける「奇跡の虹」をとらえることにも成功した。音楽は、前作に続き、ベルリン在住の女性アーティスト平野みどりによるソロプロジェクト「MimiCof」の楽曲をフィーチャー。「よみがえりの地」熊野を代表して、「熊野那智大社 宮司」「青渡岸寺 副住職」「紀州語り部 大久保彰氏」による特別インタビューも収録した ...
庄野真代 飛んでイスタンブール
いつか忘れていった こんなジタンの空箱ひねりすてるだけで あきらめきれるひとそうよみんなと同じただのものめずらしさであの日しゃれたグラス目の前にすべらせてくれただけおいでイスタンブールうらまないのがルールだから愛したことも ひと踊り風の藻屑飛んでイスタンブール 光る砂漠でロール夜だけのパラダイス胸にかすかにしみた 低い電話のさよならかすり傷のひとつ 残せもしないひとそしてしょうこりもなくすぐに痛みもぼやけて今日は今日の顔で描きあきためぐり逢い描いてるおいでイスタンブール人の気持はシュールだから出あったことも 蜃気楼真昼の夢好きよイスタンブール どうせフェアリー・テール夜だけのパラダイス飛んでイスタンブール 光る砂漠でロール夜だけのパラダイス