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新世界より(下) (講談社文庫)
多くの人々が巨大な力を持つ世界の物語。
冗長な気もしたが、面白かった。
続編があれば読みたい。
生物の解説が多い理由はどうしてなのかと思った。
リアリティをだすため?
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黒い家 スペシャル・エディション [DVD]
森田芳光監督版の黒い家が,その後の「模倣犯」同様、原作の良さを一ミリも生かせていない最低の出来だったので
本作もどうかと心配しながら見ましたが、これはなかなか良い出来でした。
貴志祐介の原作のいいところはある程度残しつつ手を加えているので,原作を読んだ人もそうでない人も
どちらも楽しめます。
また、主演のファン・ジョンミン の演技が非常に見事でした。特典で付いていたインタビューの中で
「自分の出た作品を何十年後かに酒でも飲みながら観たときに,『ああこの時は愚直に一生懸命頑張っていい演技が出来た』
と思えるか『小手先の薄っぺらい演技で観客の目をごまかそうとしただけだった』と苦い記憶として思い出すのかが問題だ。
この映画の演技は前者の方で,良い演技が出来たと思い出せるだろう」
という意味のことを言っていたが、気が弱く弟の自殺のトラウマに囚われる保険会社員を本当に好演していた。
しかし『小手先の薄っぺらい演技で観客の目をごまかそうとしただけ』というのはまるで森田監督の黒い家での演出のしかたを
語っているようでもあり、苦笑する他はありません。
ただ、この映画で難を言えば殺人鬼役の女優が華奢で美人過ぎることでしょうか。もっと恰幅が良くて不細工なおばさんにしていれば
真実味が増してさらに怖さ百倍だったでしょう。
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天使の囀り (角川ホラー文庫)
いやいや、貴志さんはすごいですね。これも再読ですが、ちっとも古くならない。
怖いといえば怖いけど、性質上怖さの中身は書けない。
なので薦めるのにも難しくて「とにかく読んで」しかないんですけど、
ストーリーテリングのうまさは、ほんと超一流ですよね、貴志さん。
メールがまとめて示される冒頭から、ちょっとずつちょっとずつ謎が小出しにされて、
本編に入ると謎が徐々に大きくなり、それが恐怖に変わっていくけど、謎解きも平行して
行われていくし、むしろこの謎解きの過程が充実しているので、「角川ホラー文庫」には
入っているものの、メインの性質はやっぱりミステリじゃないかと思うくらいです。
どうしても受け付けない人はいるでしょうが(とにかく怖いものがいやだとか、きもいのも
絶対だめとか)、ホラーはちょっと苦手と言うくらいの方であれば、怖いもの見たさを
兼ねて手を出してみてください。
楽しめ……(いや、語弊がありますね)…
いや、あえて。いろんな楽しさがありますから。
楽しめます!!!
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青の炎 (角川文庫)
私はもともと、罪を犯した側が主人公となる物語が好きなのですが、
その中でもこの話は非常に読み応えがあったように思います。
主人公の櫛森秀一は、何でもこなせる優等生。
母と妹と3人で幸せな生活を送るも、
母が以前結婚していた曽根という男が突然現れ、
家に居座り、我が物顔で傍若無人な態度をとります。
警察も法律も助けてはくれない状況で、
いつ終わるとも分からないこの悪夢のような現状に絶望した櫛森少年は、
完全犯罪を決行することで家族を助けようと思い立ちます。。
最初から最後まで息を抜けない展開で、
終盤などの警察とのやり取りはかなり緊張します。
福原紀子とのラブストーリーも良い息抜きになっていると感じます。
貴志祐介さんの作品は初めて読んだのですが、
読みやすいし心理描写もうまい。他の作品も読んでみようと思いました。
ぜひ読んでみてください!!
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新世界より(上) (講談社文庫)
厚い本が2冊なので、いつ読むか考えるうちに
全ての貴志作品を読んでしまいました。
ファンタジーには興味が無いので、正直躊躇してましたが
もう読むものないし。
ということで購入。
結果、良い意味で裏切られました。
SFだーのー ファンタジーだーのー(笑 なんて馬鹿にしてた
食わず嫌いな自分のバカバカ。
こうしたものは作家が作る世界なので、
内容を理解するには説明が必要です。
説明が長くなれば白けるし、作中の人物が
わざとらしく会話で伝えれば冷めます。
でも恐れてあやふやに記すのでは
読者によって理解が変わり、人によっては
「意味わかんない」となってしまう。
でもこの作品にはそうした興ざめするものが全くないです。
「呪力」なんて文字を見て「そんなの出ちゃうかーー」と先々の内容を
不安に思いましたが、杞憂に終わりました。
この厚さですが、意味無く長い文章はありません。
だから読み飛ばしてもいっか、と思う事はないです。しっかり読めます。
そして読み終わった後、もう一度要所を見返したいと思った時
どこら辺か大体分かってしまう程、頭に入っているような本です。
私のようにファンタジーをつい馬鹿にしてしまう人も
是非読んでみてください。
きっと貴志作品をもっと読みたくなると思います。お勧めな本です。