グリーン・レクイエム/緑幻想 (創元SF文庫)
グリーンレクイエムを読んだのは中学1年の時でした。
主人公がヒロインと喫茶店でショパンの話をする場面が、とても大人っぽく思えてどきどきした覚えがあります。
しかし何故か当時の私の中でのBGMは、ショパンではなくオフコースのワインの匂いでした。
静かにピアニシモで始まるお話の導入部の雰囲気が非常に好きです。
3・11の未来――日本・SF・創造力
9・11以降、伊藤計劃という稀有な作家の存在によって日本SF小説も変わったが、では、3・11ではどうなのか、という関心を持って読んでみた。7月に亡くなった小松左京の巻頭のメッセージは良かったが...
その小松左京を始めとして、26名のSF作家、評論家たちの文章が、現実に起きた津波による災害、そしてその後今でも継続している原発の事故の実態をとらえきれなかった小説の想像力のなさのエクスキューズになっているような気がする。
もちろん、そうではないという反論もあるし、真摯な反省ものってはいるが、失礼な言葉で言えば浮世離れしている気がする。被災地の人々や復旧にあたった人たちには、そう思われても仕方がない。
でも、そもそも「SF」というジャンルにそこまで要求すべきなのか、という点も疑問。「浮世離れ」で何が悪いのかって開き直るつもりはないけど、現実は常に人間の想像力、創造力を上回るのではないか。そして、その現実を踏まえて、さらに創造していくという繰り返しなのでは。
この災害を経験したSF作家たちが、さらに優れたSF小説を生み出してくれることを一SF小説ファンとしては期待してやまない。
ひとめあなたに… (創元SF文庫)
震災後に思い出した作品の一つ。
高校生の頃読んだきり(四半世紀以上前!)なので、
本当は5つ星をつける権利はないのかも知れないけれど、
覚えていたこと自体に価値があるのかも…とも思う。
会いに行きたい人がいるって、幸せだね。
もいちどあなたにあいたいな
新井素子さんの小説は、初期の「星へ行く船」あたりから読み続けていましたが、最近縁遠くなってご無沙汰してました。
それが、たまたまこの本が出たことを知り早速購入しました。
新井素子さんのSFは、“いかにもSF”という感じのは多くなく(「チグリスとユーフラテス」あたりが数少ない“いかにもSF”かも)、日常に絡めたSFが多いですが、本作も日常にSF的なものを忍び込ませたといった趣の作品です。
そして読んでみた感想ですが・・・・いまいち食い足りない。
お得意の女性の心理描写は見事なもので、これぞ素子節という感じですが(いつものようにかなり誇張されてはいますが(笑))、陽湖の章の必要性とか、推理の過程が唐突だとか、いまいち得心が行かない部分が多く感じます。
う〜〜ん、次回作に期待・・・・でしょうか