トラウマ映画館
町山智浩に依るトラウマ映画とは何か?それは、もちろん、過激で煽情的な映像表現と言ったヴィジュアル的な面を誇張した作品を指す訳ではない。
ここで、町山が感じたトラウマや恐怖は、大衆が熱狂する対象と情報操作の紙一重の危うさ、反社会的な人格障害、残虐な人種差別等々、つまり、人間の持つ根源的な悪意、醜さ、倒錯、狂気、自意識過剰、絶望、不安等が剥き出しになっている部分だ。
登場する映画たちは、ケン・ラッセルの「肉体の悪魔」やイエジー・スコリモフスキーの「早春」の様に、カルト作として、既に映画ファンの間では神話性を帯びているモノもあるが、文字通りヴィデオにすらなっていない日本未公開作も多い。
本国でも概ね不評なのが、これらのテーマが、時に多くの人々にとって感情を逆なでし、と同時にその本質を露わに描いている事から、嫌悪感と忌避を以て封印されてしまっているからだ。
全25作、物語の筋道が語られ、オチやラストにも言及されている。ストーリーを明かすのはある意味禁じ手なんだろうが、今日では観る事が難しい無名の作品が多いし、登場人物たちのセリフを効果的に入れながらの町山の語り口が、まるで映画を見ているように上手いので、グッと惹き込まれる。
また、トラウマの要因が、同時に、アメリカの社会的病根に起因するものが多いので、優れたアメリカ社会学論にもなっている。
読んでいて懐かしく思えたのが、紹介されている映画たちのタイトル名のドギツさ(笑)。町山少年がトラウマに陥った殆どの作品は10代、即ち70年代に出逢ったものだが、当時は、日本未公開作のみならず、劇場公開作に於いても、テレビの洋画劇場でオンエア時には、局側が長いサブタイトルを付ける事が流行りであった。小林信彦が、そのセンスのなさとオリジナルへの冒涜ぶりを慨嘆していたのを思い出す。
フランク・ペリー、アンソニー・パーキンス、チューズディ・ウェルドら、これらの映画に関わった映画人たちのその後の数奇な運命を思いながら、あとがきで慎ましやかに捧げられている町山の母親への献辞に、自身の出自、環境、体験も内包させながらの激烈な映画評に、これらの映画たちへの“思い”の深さを知る。
「愛すれど心さびしく」で締めくくられている本書、トラウマ映画館との煽情的タイトルに隠されたある種の悲しみを感じながら、心ある映画ファンは必読すべし。
さむくないかい [DVD]
根本敬の初監督にして、最後の作品か???
漫画と同じく、エログロと真理を追究しております。
2枚目は音のコラージュで、当然韓国も出てきます。
真のサイケデリックですね。
映画の方は当然、濃いすぎる出演陣。
あの佐川君も出演して、これまた危ないところを演じてます?(演技というか。。。ですが)
とりあえず一人で見てから、理解者を探してください。