フェルメール&エッシャー
久石譲が「フェルメール光の王国展」に書き下ろした作品です。
あるテーマにインスパイア(触発)され、作曲したアルバムとしては、
アメリカの作家スコット・フィッツジェラルドを取り上げた
久石にとって、一番大切な作品とする、1991年作「My Lost City」
以来のものです。
アルバム一曲目「Sence of the Light」冒頭のピアノの響きを聴いた時、
私は、草原を行く風を連想しました。
このアルバムを通して感じることは、ピアノを始めとした楽器が奏でる
一音一音に、とても透明感があり、また、和音の効果を有効に考え、
作られている作品と思い入りました。
久石譲の代表作である「Piano Stories」のように、叙情的なメロディーは、
この作品には登場しません。
ただ、この作品で奏でられる透明な音の連なりに身を置く快感は、
何物より替え難いものがあります。
「ジムノベティ第一番」で知られているサティを好んでいるリスナーには、
きっとこの作品も気にいって頂けると思います。
是非、多くの方たちに届いて欲しい作品です。
1000Pジグソーパズル 真珠の耳飾りの少女(フェルメール)
単純にこの絵が好きで買いました。外枠を組んだ後人物に取り掛かりましたが、これが意外に難しい。
目にする分には至高の名作ですが、これがパズルのピースになると超難物です。上着の部分だと思っていたら
顔の影だったり、顔ピースだと思ったらターバンだった、なんて事がしょっちゅうでした。
この間に、ネットで「難しいパズルの取り組み方」のようなものを探したんですが、結局最後に頼れるのは
「根気」のようでした。そんなことで一念発起し、残った部分は総当たり(つまり片っ端から嵌めてみる)で
ひたすら黒いピースを片付けました。今この少女は無事寝室の壁に陣取り毎朝私に微笑んでくれています。
・・キモい感想はともかく、これからこの作品に取り組む方の為に作業手順(注意点?)を提示したいと
思います。あまり要領のいいものではありませんが、参考になれば幸いです。
1.外枠:これは特に問題ないと思います。
2.人物:青ターバン→顔→襟→服 をおすすめします。似たような色が多いので、これはこの部分だとあまり
決めてかからないほうがいいです
3.背景:黒いピースばかりです。まず変形ピース(凸ばかり等特徴的なやつ)だけ集め、合いそうな所に
当てはめていく。とはいえ一気に変形ピースばかり片付きません。ある程度片付いたら一旦休止して
心身ともに充実している時に残りを総当たりで片付ける。
最後に余談ですが、最近ではピースの裏にマークが印刷されているものがあるようです。
(上段●、中段▲、下段■という具合です)これがこの作品にもあったらなあ、とつくづく思います。
ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。
Art 1 誰も知らない「名画の見方」 (小学館101ビジュアル新書)
「誰も知らない」というタイトルを見て、出版社の売らんがための思わせぶりたっぷりな題名だと鼻白む思いがしたのですが、よくよく見れば著者は高階秀爾先生。高階先生といえば、私が今から30年近く前に西洋絵画に関心をもってその歴史や鑑賞法を独習しようと思い立った時に、その著作『名画を見る眼 (岩波新書)』 を手にして以来、勝手に導き手として尊敬申し上げてきた人物です。
今回の小学館101ビジュアル新書は豊富な絵画写真が掲載されていて、美しい作品の数々にうっとりするほどです。
全部で8つに章立てし、各章で画家を3人ずつ取り上げています。各3人は活躍した時代がバラバラ。しかしその3人の画家の間に「誰も知らない」共通項をくくって見せてくれるのです。
例えば第6章「枠を越えた美の探究者」ではアングルとムンクとミレイを取り上げます。
新古典主義の代表格アングル、個人的な感情を表現したムンク、そしてラファエル前派のミレイと、それぞれ美術史の中で定位置が決まっている3人に、高階先生はレッテルを越えた別の要素を見ることを説くのです。
アングルには多分にロマン主義的要素が見受けられること。
ムンクの作品には個人の情念を越えて、世紀末的不安といえる時代概念が見られること。
そして旧態依然のアカデミーに反旗を翻したはずのミレイがやがてアカデミーの長としてイギリス伝統絵画の担い手に変貌していったこと。
ことほど左様に、高階先生は世間一般で“こうだ”とされている名画鑑賞法からもっと自分を解放することを本書で唱えます。
「他人の評価に基づく代表作だけを見ても、その画家の一面を知ったにすぎない。なによりもまず自分の目で作品を見て、『自分にとっての代表作』を見つけるつもりで鑑賞してみてはいかがだろう。」(72頁)
自由闊達な絵画鑑賞法を推奨する高階先生の言葉に勇気づけられる一冊です。