Complete a Capella Sessions
このグループのことを、最近までしらなかった自分が恥ずかしいと思うほど、素晴らしいアカペラを聴かせてくれるグループです。最初聴いたときは、マンハッタン・トランスファーかと思いました。
このCDの録音は、1971年と、1975年、そして1980年に行われています。当時としては、かなり珍しい、スタジオによる多重録音により仕上げられているため、録音によってしか、創ることができないため、彼らのライブは、一切行われていません。
アカペラという領域を確立したといってもいいグループでしょう。
収録曲目も、有名な曲ばかりで、とても親しみやすい作品です。
このグループに影響を受けて、山下達郎は、自分の声を多重録音する手法を多くのALBUMで取り入れるようになったとか。
いま、私は、このアルバムに出会えて、とても幸せな気持ちに満たされています。こんなステキな音楽があったのかと。しかも、私の生まれる前から、こんなに素晴らしい音楽を作っていた人たちがいた事に、感激しました。
全部で38曲も入った、豪華な作品です。
音楽、そして、人間の声のすばらしさを感じることができる、ステキなアルバムです。
クリスマス
30年ほど前、当時のレコード屋(そう、昔はレコード屋さんに音楽はあった。)でクリスマス関連ばかりを10枚ほど購入したときの一枚です。そのころは40年代後半から60年代ビートルズが登場するまでのニューオーリンズジャズを中心としたものを集めていたので、ほかにはナット・キング・コールやフランク・シナトラ、ローズマリー・クルーニー(ジョージ・クルーニーの伯母さん)のものなどを買っていました。当然、クリスマスキャロルもそちらのほうに関心が向いていましたので、シンガーズ・リミテッドのものは一度聞いただけで、その頃の私の趣味には合わず、お蔵入りになっていました。そして10年くらいしたあと、また取り出して聞く機会が偶然でき、そのときの彼らのハーモニーの鮮烈さに鳥肌が立ったのを覚えています。年をとるといろんなキャロルをあちこちで聞くので、彼らの選曲のすばらしさ、原曲のテイストを外さないハーモニー、テンポ・リズムの作り方に「なぜこれがわからなかったの」という後悔とその頃はまだAmazonなんてなかったので「よく買っといた、私は偉い」と自分をほめたことを思い出します。アルバムのトーンを敬虔なクリスマスキャロルで通し、最後にクリスマスソングのスタンダード、Have Yourself A Merry Little Christmasを持ってくる心憎い構成には本当に今でも涙がでます。
Christmas Singers Unlimited
みなさんと同じ、わたしも「クリスマスといえばこれ」のクチです。これしか、聴く気にならないのです。なぜなんだろう・・・わたしなりにいえば、次のような理由です。
『Christmas/Singers Unlimited』は、讃美歌の古典的歌唱と現代的なリズムやコードを融合しつつ、クールなんですね。
ほかのクリスマスCDにありがちな「過剰な意匠」がないんです。「過剰」をたとえていえば、堅すぎる聖歌、押しつけがましすぎるゴスペル、甘すぎるポップ、暑すぎるソウル、派手すぎるジャズ、きらびやかすぎるジャケット・デザイン、などでしょうか。
クリスマスには、みんな何か「過剰」になりがちなのかな?・・・でもそれは違う、と感じるのは、わたしだけでしょうか。
クリスマスには、アンリミテッドの、このひんやりした手触り、過剰さのない簡素な造作、それでいい。それが本来のクリスマスを思わせて、いいんですね。
本来の、といいましたが、それでいて旧弊な感じはなく、じゅうぶん現代的でもある。
本来的な簡素さ、清廉さ。それでいて現代的。その絶妙な、そう絶妙なポイントを、ここしかない、っていうポイントを、ついているんだと、おもいます。
・・・
以下は、ほとんど不要でしょうが、わたしの極私的な『Christmas/Singers Unlimited』愛聴の記録です。わたしの思い入れにも、皆さんと同じく歴史があるっていうことで。
70年代;子どもの頃、周囲の大人たちがこのアルバムを絶賛していたので、なんとなく認識はしていた。
80年代;20代の頃、ダビングだったか購入だったか記憶にないがカセットテープでこのアルバムを持っていて、彼女と「クリスマスはこれしかない!」と意気投合。その彼女と結婚し、以来我が家のクリスマスはいつもこれだけ。
90年代;30代の頃そのカセットテープを紛失し大ショック。以降クリスマス・シーズンに何を聞いていたか記憶にない。
2000年代;ど派手なクリスマスCDコーナーで、探しても探してもあの簡素な装丁のCDは見つからず、数年が過ぎて・・・ついにある年末、大手ショップで検索してもらったら、あった!即座に取り寄せてもらうよう注文。以来また、我が家のクリスマスはいつもこれだけ。
2010年代;最近になってもやはり、我が家のクリスマスはいつもこれだけ。