ブームとバブル―世界経済のなかのアメリカ (こぶしフォーラム)
洋書は2003年に出版されています。その時点において、1990年代前半のアメリカの好景気と後半のバブル経済について分析しています。これら期間に対して、1)1970年頃からの経済の変遷について確認、2)世界経済が抱える重大問題として、製造業の過剰生産力の存在、3)アメリカ経済を考える上では世界経済の理解が必要不可欠、といった事柄を軸に分析しています。豊富なデータが紹介されていることが本書の良い所ですが、それらの内、僅かなものを選んで、好況と不況を説明しており、単純過ぎるという印象も持ちました。また、本書は1970年以降の経済史のようでもあり、アメリカ経済の特異性が詳しく分かります(政治力を背景とした優位な経済的立場の形成や、不況時の過剰資本解消の素早さなど)。アメリカ経済の特徴を理解し、将来を推測するのに役立つと思います。
世界経済がわかるリーダーの英語(CD付) (ダボス会議)
今年も1月に開催され、渡辺謙さんのスピーチも話題になった「世界経済フォーラム年次総会」(通称『ダボス会議』)。
これは民間の組織ですが、毎年世界各国の政府・中央銀行の要人を含む多くのビッグネームが出席します。
今年も、ドイツのメルケル・英国のキャメロン両首相、米国のガイトナー財務長官、
民間からはルノー・日産のゴーンCEO、フェイスブックのサンドバーグCOOなどが顔を揃えました。
ここでの話題を英語で吸収できたら、たいていの時事的な話題には英語でもついて行けるようになります。
そんな魅力的なコンテンツが本当に収録されているのが、この本とCDです。
たとえばユーロという通貨に関する制度。たとえば新興国の経済成長。
こうしたテーマについての予備知識として、わかりやすい説明があります。これで
「内容についていけない」というハードルをまず外すことができます。
また、renewable energy(再生可能エネルギー)など、英語のキーワードがピックアップされていたり、
柴ちゃんならではのかみくだいたQ&A、さらにパート毎にまとめられた英語の経済用語にはすべて
短い例文がつくという親切さで、コンテンツの質を落とさずに多くの人に読める内容になっています。
(なお短い例文というのは、繰り返し読んで口に出す練習がしやすいという点でとても重要です)
英語でビジネスに携わる方へ。
仕事の話だけでは身のあるビジネス関係は築けません。
留学したい学生さんたちへ。
教科と遊びの話だけのためにわざわざ外国に行くのですか?
自分が生きている世界について、英語を通じて知り、
考えるための質の高い材料がここに詰まっています。
ダボス会議で聞く 世界がわかる英語(CD付)
ダボス会議シリーズは毎回コンセプトが違っていて面白いですが、今回は世界情勢を知るうえで重要な時事問題を理解することに重点が置かれています。特に経済については、現役国際金融マンならではの鋭い視点が随所に出てきますが、一般英語学習者にもわかりやすく丁寧に解説されています。
もちろん、時事英語もしっかり学ぶことができます。キーワードの解説を読んでいくうちに自然に英語の語彙が増えていくのも有難いです。また、スピーカーの顔ぶれも多彩で、世界の英語(World Englishes)の旅が体験できます。
筆者は、物事を先進国のみならず新興国や途上国の目線で考えてみることが必要、と説いていますが、本書についても、上から目線ではなく、英語学習者の立場を十分に意識した作りとなっています。
単なる時事英語学習教材という次元を超え、英語学習法、外国人とのコミュニケーションの心得などについても様々なヒントを与えてくれる好著だと思います。