港町ヨコハマ 異人館の秘密
夕暮れに染まる港町横浜・・・大震災直前の明治38年頃の繁華街には、和洋様々な服装の人々が行き交う・・・丁寧に書かれたイラストの表紙が素晴らしいです。
始まりは・・・女学生が人力車に客を乗せて横浜の豪 華ホテルにやってくる。かぐわしい香水に惹かれて見上げると・・・2階のベランダからドレスを着た女性が身を投げようとしていた!インド人のドアマンの制 止を振り、ロビーを駆け抜けた女学生は、さらに2階目指して駆け上がり!・・・と、冒頭からすぐに引き込まれました。ホテルのイケメンシェフ、女学校の白人女教師、混血の美人女学生、お金持ちのオジサマ、オバサマ・・・と登場人物も多才で楽しめます。
中々上手いな〜!(笑)
全 体にテンポが良いのですが、躾けに厳しいお嬢様学校の様子や、女学生たちの日常は丁寧に描かれており、主人公や友人の間のやりとりや、「事件」を巡る関係 者の描き方も女性作家らしいもので好感が持てます。ただ、お話の核心部分、「事件の真相」の部分に関してはかなり複雑な事情になってい て、叙情的な結末を目指した結果と思われますが、正直言ってちょっともたれる面もあるかな?
文明開花の横浜らしい活 気とエキゾチックでお洒落な雰囲気も上手く表現されており、若い女の子が主人公の、ソフトタッチのミステリーと言えますね。
サンダカン八番娼館 望郷 [DVD]
これまでで一番泣かされた日本映画です。他の方が書かれているように田中絹代のすばらしさは言うに及ばずですが、私は高橋洋子の表情があまりにも切なくて泣きました。初めて客を取らされたとき、帰国しても居場所がないと悟ったとき・・。ラストも切なすぎます。
さらば箱舟 [DVD]
許可を得ないで勝手にノーベル文学賞受賞作品「百年の孤独」を映画化してしまい、世界中の顰蹙を買ってしまいましたが、そんな批判をものともしない寺山ワールド。
確かにモチーフは「百年の孤独」ですが原作とは全く違うものと考えていいと思います。
とにかく彼が描く独特の世界観、映像美、構成力、音楽の効果、は凡人の想像をはるかに超えています。それ故難解な作品ともいえます。
感性で楽しむ映画といえるでしょう。
小川真由美の妖艶さ、山崎努の狂気、そして高橋ひとみの美少女ぶりは必見です。
天使はブルースを歌う―横浜アウトサイド・ストーリー
カップスがらみで、60年代の横浜の無国籍都市としてのカッコよさを取り上げた文章を良く見かける。たしかにカップスのスリルは映画的なカッコよさがある。しかし、終戦後から、アメリカの実質的な植民地としての日本の防波堤として機能した港町の姿をきちんと語ったものは(少なくともカップス関連の文献としては)これだけである。英米の白人ブルースとも、大阪のブルースとも違うオリジナルなハマのブルースが誕生したドキュメントが、カップスとの関わりを交えながら語られている。