カフカ式練習帳
この本に書かれた断片を読んでいると、ふいに全然関係ない自分の記憶が去来することが何度もあった。
想像するに、著書はふだん本を読まない人を読者として想定している。
ふだん本を読まない人はベストセラーのような一般に「面白い」と言われる本をつい選んでしまう。しかしその基準がつまらないからこそその人たちは本を読まなくなった。
そういう人は耳を澄ますところ、逆に集中せずに注意を漠然とさせておくところが違うのではないか。というか、この本の面白さに何日も浸った自分を考えるとそういうことなのではないかと思う。
本は最初のページから最後のページまで一気に(直線的に)読まないと気が済まない人のためだけにあるのでなく(これを拘束と感じないだろうか！)、あちこちのページを自由にめくりたい人のためにもある。小説の自由を体現する小説。
季節の記憶 (中公文庫)
世界は穏やかに流れる。
毎日自分のペースで生活しながら、世界のあれこれを考えたり、感じたり。
特に何かが始まるわけでも、終わるわけでもない物語です。
こういう“なにも起きない小説”があってもいいと思う。
確かに何も起きないけれど、読み終わった後には心に何かが芽生えているようなそんな感じ。
登場人物と一緒に感じたり、考えたりしているような気分になります。
魚は海の中で眠れるが鳥は空の中では眠れない
元々が「寝言戯言」のタイトルで連載されたエッセイなので、氏の逡巡や立ち止りに付き合う心の余裕がないと、すこしきついかもしれません。「立て板に水」式の筋立ての昨今の小説にはあまり馴染むことができず、読めない日は一日読んでも数頁といった、いわゆる「現代文学」の方に読書の楽しみを見出すほうなので、個人的にはとても楽しめました。
一億三千万人のための小説教室 (岩波新書 新赤版 (786))
いわゆるハウツーものとはちがいますが、
読み物として面白いでした。
NHK「ようこそ先輩」の中で、著者が小学６年生に教えた様子を元に、
本にした内容です。小学生が「文学とは何か？」考えて、
最後は小説を書くところまでいきます。
読者は小学生をとおして文学を考えるので、
こむずかしところはなく、とてもわかりやすい内容でした。
書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫)
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