更年期少女
以前読んだ「孤虫症」を書いた著者の作品とは思えないくらい180度、毛色の違う作品です。
まず表紙と裏拍子には笑えます。これだけで読む意欲が湧きました。
内容はと言えば往年の人気少女漫画「青い瞳のジャンヌ」をこよなく愛する「青い六人会」の
それぞれの人物の家庭の事情あり殺人事件ありのてんこ盛りな作品です。
互いを怪しい名前で呼び合う中年女性の姿が脳内映像で現れ、その暴走ぶりにはかなり引いてしまいます。
殺人事件と言っても重い話にはなっておらずドタバタなコメディと言った風合いです。
軽く楽しめる1冊と言った感じです。
みんな邪魔 (幻冬舎文庫)
「更年期少女」の文庫版です。タイトル「更年期少女」のほうがよかったのになんで変えちゃったんでしょうね。
「更年期少女」ってネーミングは楳津かずおの「赤んぼう少女」のオマージュでしょうけど、それがまずかったのかな。
さて、内容のほうですが今回も女の見栄や嫉妬が炸裂して期待を裏切らない出来です。
途中、読むのが辛くなるような場面もありますが、この作者の文章には本当に嫌だ嫌だと思いながらも
ページをめくる手が止まらなくなるような中毒性があります。一応、ミステリーの形式は取ってますが、
それを云々というよりも中年女性のおぞましいまでの妬みや嫉みの描写を楽しむ作品です。
いやあ、強烈!
ハイパーフライングボウイ
このアーティストに出会った時、とにかく歌詞にひかれました。
単純に愛など恋など語らない、深いまっすぐなメッセージがとても良いです。
アーティストの方向性では「BUMP OF CHIKCEN」に通じる所があるように思えます。
歌詞の深さ、メロディの多様性ではBUMPには劣ると思いますが、それでもこのアーティストにしかない良さがあるのではないでしょうか。
このアルバムでは超飛行少年の全てはまだ知れないでしょうね。
これから更に進化し、良いアーティストになることを期待して星4つにさせて頂きます。
夢の乙女に永遠の誓いを (ラズベリーブックス)
ブリジャートンシリーズ最終話ということで発売前から期待していたが...
ヒーローは裕福な家の四男で、何不自由なく、あたたかくもお節介な家族に囲まれて育った。
兄弟姉妹が皆、愛のある結婚生活を送っているため自分にも運命の相手がいると信じているロマンチスト。
ヒロインはヒーローとは逆に現実的で愛を信じておらず、規律を重んじ几帳面。
ただし、真面目すぎるわけではなくユーモアも持ち合わせている。
グレゴリーとハーマイオニーがそれぞれの恋について同じ経過をたどっていて面白い。
前半のハウスパーティーの間はテンポ良く話が進み、面白かった。
ロンドンに戻ってからの中盤はちょっと中弛み気味。
グレゴリーがルーシーへの愛に気づく場面まで彼女を意識した上でのエピソードがほとんど無かったので、その辺は物足りない感じ。
ルーシーがグレゴリーへの想いを振り切って婚約者と結婚に臨むエピソードは、彼女の性格(規律が好きで自分の幸せより他人を優先する)を特徴づけるために必要だったのかもしれないが、グレゴリーに希望的誤解を抱かせたことは不誠実だし、彼や兄に相談もせず「自分さえ我慢すれば」といったルーシーの考えはひとりよがりに思えるし、自分から状況を打開しようと行動を起す勇気が無いことの言い訳のようでてイライラした。
しかも、ヒヤシンスに「あなたには分からないのよ!」といった言葉を投げつけているし。
ヒヤシンスだったら最後まであきらめないで状況を打開しようとしただろう。
グレゴリーにしても、前向きで、行動力のあるところは良いのだが、これまでのシリーズ中のヒーローに比べるといまひとつインパクトが弱く、あまり魅力を感じられなかった。
最終的にはハッピーエンドになったが、期待していただけに、シリーズ中唯一不満が残る内容だった。