60’s TVヒッツ・コレクション
いきなり1、2と快調にスタートし、そのまま(ジャケ買いを誘う、「キイハンター」野際陽子お姉さまの)4へとつながればよかったのだが、3であえなく失速。その後も一応、エレキは鳴ってるけど、どうも“いい湯かげん”、みたいなナンバーが目立つ、ちょっと微妙なコンピレーション。オレがいいと思ったのは、全体の半分くらいだろうか。「懐かしさ」と、「お宝指数」(?)と、個々の楽曲そのものの出来との間で、うまいことバランスがとれてない感じ。
とはいっても、西郷輝彦「ママとおふくろさん」の作詞は、そのドラマ「ママとおふくろ」に主演してた大女優・淡島千景なのか…、とか(近年は映画『GOING WEST 西へ…』、『シベリア超特急2』での快演が印象的)、「はみだし刑事」の同僚でもある平泉征(現在は成)が怪唱する幻の名盤「夜を抱きしめたい」の「俺が魔女なら~ホウキに乗って~」ってのは一体どうよ? とか、チェック・ポイントはさまざまあるわけで、それぞれの楽しみ方で聴いてみるのが吉、なのかもしれないが。
今日び、ノスタルジーを飯のタネにしようとする人や企業は増える一方だが、それだけ玉石混合となりやすく(安易に続々作られる、懐かしアニメキャラの登場CMにはウンザリ……)、厳しさも増しているわけであり、テイチク=クロニクルの皆さんには、なお一層の奮起を望みたいところだ。
なお、「ケロヨンのうた」は、世界初のケロヨンコンピCD『ケロヨン・ソングブック』とは別テイク(当時、各社ごと別音源で発売しており、ここにはテイチク版を収録)。
ロッテ歌のアルバム ポニーキャニオン編
玉置宏の名調子のナレーションでお馴染みの「ロッテ歌のアルバム」からポニーキャニオン編の音盤です。 「こまっちゃうな」や「ミニミニデート」とは曲調のすっかり変わった山本リンダの新曲「どうにもとまらない」や「狙いうち」、昭和元禄の世相を反映して登場したピーターの「夜と朝のあいだに」など個性的な魅力に満ちた秀作が収められています。朝丘雪路の「雨がやんだら」お別れなのネ、とか、あべ静江の「みずいろの手紙」や「コーヒーショップで」、にしきのあきらの「空に太陽がある限り」、また西野バレエ団からは金井克子の「他人の関係」が、艶歌界からは中条きよしの「うそ」なんていう唄が収録されています。けっこう「粒より」のアルバムですよネ。
エッセンシャル・ベスト 金井克子
金井克子のベストは以前ミニベストが出ていただけなので、やっとまともなベスト(15曲入り)が出ると聞いて、「これでソニー時代のシングルが全部CDで聴ける」と大喜びしていました。大ヒット「他人の関係」スマッシュヒット「人間模様」「波止場エレジー」くらいしか一般には、知られていませんが、他にも沢山良い曲があります。特に「他人」以前は、試行錯誤の時代で、実に様々な曲調にチャレンジし、その都度歌唱法も変えている(今陽子、ちあき、辺見風等)聴き応えのある作品ばかり。しかし、今回のベストには、それらの優れた曲が大幅にカットされ、半分近くがどういうわけかB面曲で埋められています。一体何故?果たしてB面曲を聴きたい人がどれくらいいるのでしょう。それ以前に完全なベストが出ている他の歌手なら話は、別ですが。唯一の救いは、「他人」の前曲「エロスの朝」が収録されていること。これは、凄い曲ですよー。超シュールな詞に、ど派手なアレンジ、「ウオンチュー、アーッ」とシャウトするぶっ飛んだ克子さんの歌唱。同時期の南沙織「純潔」と並ぶ元祖歌謡ロックの大傑作。必聴です。ソニーさん、これで終わりでなく、絶対に完全ベスト(できれば2枚組で)を出してください。