50歳を超えても30代に見える生き方 「人生100年計画」の行程表 (講談社プラスアルファ新書)
短い時間で読める手軽な本ですが、なかなか面白いことが書かれていて、読み手の興味を引きます。
寿命は何によって決まるのかという点を、医学的に解説してくれています。
ガンは不摂生が引き起こす炎症や潰瘍を修復するために現れる「無限に分裂を繰り返す修復細胞」だそうです。テロメラーゼという複製酵素は、誕生後に働かなくなってしまうため、テロメアは細胞分裂とともに短縮され、限界が来たときに救世主のガンが現れるという理屈です。
・砂糖を食べると血糖値が急激に上がり、血管の内皮細胞を傷つけます。それを修復しようとかさぶたができて動脈硬化を起こすと言います。糖分を摂り続けると糖を脂肪に作り替えるインスリンに反応しなくなり、食べても太らない体になります。これが糖尿病だそうです。
・市販されている主なサプリメントの科学的データを徹底検証したところ、「ガンに効くサプリメントはない」「効くのは野菜や果物の皮だけ」ということが分かったという。
・心のアンチエイジングとは、「死を覚悟して生きる」こと。
・地球上のあらゆる生物の体は、口から肛門まで続く一つの管からできている。
・何を食べればいいか?−「人間の体と同じ組成の生き物を丸ごと食べる」。(それに続き、)イワシやアジ、サンマなどの小型の青魚やメゴチやハゼのような小魚、イカとかエビが紹介されている。骨ごと、腹ごと、頭ごと食べる。穀物は全粒で食べる。野菜は葉ごと、皮ごと、根っこごと食べる。皮は、防菌・防虫効果、創傷治療効果、抗酸化作用があるという。
・野菜と果物の決定的な違いは、野菜は「食べられたくない」、果物は「食べられたい」と思っている。そのため、野菜は蓚酸などがあるので生で食べてはいけない。
・豆はレクチンという毒があるのでしっかり煮なくてはいけない。
・痛風を防ぐにはプリン体が含まれる食べ物を摂らないこと。動物の卵と植物の種や芽が該当する。イクラ、カズノコ、タラコと卵の数が多くなればなるほどプリン体の数は増える。
・ゴボウ茶の作り方:皮つきのまま包丁でささがきに、新聞紙に広げて半日ほど天日干しに、フライパンで一〇分ほど油を使わずに乾煎りする、煙が出てくる寸前でやめ急須に入れお湯を注ぐ。
・「四足歩行」を心がけるようにすることで肩こりに悩まされることはなくなるはず。「床を拭く」ことを日課にするとよい。
・成長ホルモンはノンレム睡眠のときにしか分泌されません。具体的にいえば、それは「夜の一〇時から夜中の二時まで」の時間帯です。
・幸せホルモンであるセロトニンは、一日に分泌される量が決まっている。
「病院」がトヨタを超える日 医療は日本を救う輸出産業になる! (講談社プラスアルファ新書)
日本の医療ばかりか社会の閉塞感、低迷感を払拭し希望が持てる提案です。これを読んで元気になり、今後の方向性が見えてきます。
病気がみえる 〈vol.7〉 脳・神経 (Medical Disease:An Illustrated Reference)
日本の漫画文化が医学書に花開いた傑作です。イラストの豊富な医学書はアメリカ発の教科書の特徴でした。しかし、「病気がみえる」シリーズのイラストは単なる図ではありません。手塚治虫を源流とし茨木保先生をへて完成した、わかりやすい点で日本発医学漫画の傑作でしょう。文章による説明は的確です。監修者は、河村満先生(高次脳機能障害)、糸山泰人先生(脱髄疾患)、西澤正豊先生(脊髄小脳変性症)など各分野の第一人者が担当している点も素晴らしい。
本書と同様のコンセプトの「脳神経疾患ビジュアルブック」は、イラストは科学雑誌「ニュートン」を思わせるコンピューターグラフィックス風で、解説はNTT東日本関東病院の諸先生が中心的に執筆されています。「病気がみえる脳神経」は医療系の方なら職種を問わず役立ち、「脳神経疾患ビジュアルブック」は医師が知識を整理するのに向いていると思われます。
本書の特徴のひとつは、「症候と検査」が最後の方にあることです。通常のテキストでは総論として最初に出てくる部分です。この部分はイラスト、文字ともに小さくなり、一気に情報量が増えます。まずは疾患をしっかり学び、総論的事項はあとで読み返して知識を整理するという構成なのでしょう。多くの学習者が最初の脳神経総論ですっかり勉強が嫌になってしまうので、優れた編集です。また、この部分だけで神経疾患を学ぶ際の資料集として使える内容です。星5つの良書と存じます。