Mezzanine
イングランド西部に位置する港町ブリストルは、17~18世紀を中心にアフリカから奴隷が多く運ばれてきた歴史があり、結果人種が混在するハイブリッドなカルチャーを形成することとなりました。
その影響を受けたのは音楽も然りで、ロックやポップにダブやアフリカ音楽をミックスする音楽の融合が自然に行われることとなりました。
つまり以降のトリップ・ホップやドラムン・ベースが生まれる土壌が既に形成されていたわけです。
事実この街はTHE POP GROUPという、ポストパンクを代表するバンドを生んでいます。
そして以降の、ブリストル出身の代表格がポーティスヘッドやトリッキー、そして彼等ということになります。
マッシュルーム・3D・ダディGの三人で作られたこのサードアルバムは彼等に世界的名声を与えることとなった、万人必聴の名盤です。
ダブ・ニューウェイブ・ヒップホップの三位一体が織り成す世界観は、その重低音と神々しい美しさのコントラストから絶対的な孤高性を誇っています。
また、アルバム毎に女性ゲストヴォーカルを迎えることで有名な彼等ですが、このアルバムで起用されたのはコクトー・ツインズのエリザベス・フレイザー。
その透明感ある声が、このアルバムのドラマツルギーを一層高めています。
鬱屈としつつも美しい世界観に惹かれる方には何よりも聴いていただきたい作品です。
Street Halo / Kindred [解説付・国内盤] (BRC320)
2007年に歴史的名盤『Untrue』をリリースし、現在の音楽界に高い影響力を持つロンドンのダブステップ・アーティスト、Burial。
世界的な評価に反して、何故か日本での知名度が極端に低かったこともあってか、
本作は昨年ダウンロードと12''で発表された『Street Halo EP』と、新作『Kindred EP』をあわせたなんと日本限定盤。
『Street Halo EP』については、すでに昨年発売された物なので簡単にレビュー。
表題曲「Street Halo」。ビートは今までとかなり違ってハウス、テクノ寄り。
Burial特有の奇怪な2ステップも無いので好みは分かれそうですが、後半の切羽詰まったようなボーカル、執拗な4ビートは他の曲と比べてかなりドープでトリッピー。
2曲目「NYC」はこれまたBurialらしからぬかなりおとなしい2ステップUKガラージュで、音も過度にシンプル。ほとんどダークアンビエントに近い。
3曲目「Stolen Dog」は、個人的にこのEPの中で一番好きな曲。
にごったようなドラムマシーン、簡素なシンセライン、そしてメロディアスでノスタルジックなピッチシフトボーカルが綺麗。
正直、『Untrue』からしばらく新作を出さなかったので「Burialもネタ切れかな?」と勝手に勘ぐっていたのですが杞憂だったようです。
そして(このレビューを書いた時には)まだビニール盤が発売されていないにも関わらず、早くも海外メディアにおいて2012年を代表する音楽作品としての評価を確立しつつあるのが、新作『Kindred EP』。
まず表題曲「Kindred」。
叩き付けるような2ステップビートと、切り貼りされたピッチシフトボーカルなど、何ともBurialらしい曲。
ピッチシフトボーカルの切り貼りは『5 Years of Hyperdub』に収録された「Fostercare」でも見られた手法だけど、今までになくパワフルで印象的。
尺も11分半と、Burialの作品の中では後述の「Ashtray Wasp」に次いで二番目の長さ。
あまりメロディが意識されていないという点では1stアルバムに近いけど、技術やアイデアは確実に進化している。
でもってダークホースなのが、暗く奇妙な高揚感が特徴的な2曲目「Loner」。
尺も他2曲と比べると短いし、『Street Halo EP』同様、2曲目は大人しめかな?と思いきや、これが相当なくせ者。
簡素な4ビート、暗いバックサウンドや効果音を切り裂くかの如くひたすら繰り返されるシンセのアルペジオ、その陰で時折姿を見せる消え入りそうなボーカルに終始圧倒された。
意表をつかれるいうか珍妙というか、とにかく面白い曲。Burialがこんな展開の曲を作るとは予想外。
もしかしたら彼の作品の中で一番変わった曲かも…。
3曲目「Ashtray Wasp」も簡素な4ビート。
こちらもピッチシフトボーカルよりもシンセのループに重点が置かれているようです。
メインのメロディーを引き立てる為、単発的にソウルフルなピッチシフトボーカルが流れ去って行く。
「Loner」を聞いた後だとさすがにシンセのアルペジオに驚きはしませんでしたが、こちらは尺が12分近くもあるだけあって音、構成ともにかなり重厚で、特に中盤の疾走感と高揚感は今作の中でも際立っている。
所々『Untrue』の「Shell Of Light」など、過去作で用いられた音が流れるのも良い。
しかし最後の数分間はかなり曲の雰囲気が異なっていて、
「Fostercare」のようないびつに切り貼りされた女性のピッチシフトボーカルと、Burialにしては珍しいピアノのようなバックサウンドが印象的。(このパートはPodcastだかラジオだかで先行発表されて話題になっていましたね)
どちらかというと聞きやすさを重視していた『Street Halo EP』には多少の物足りなさを感じたのに対し、「Loner」、「Ashtray Wasp」の中盤を初めとして『Kindred EP』は総じてかなりインパクトが大きかった。
暗い、暗いバックサウンドの陰で、美しくソウルフルなボーカルが走り抜けていく。Burialにしか作れないであろう独特の音世界は、溜め息が出るほど荘厳で綺麗。
振り返ってみると、昨年はJames Blake、Balam Acab、Katy B、Clams Casino、SBTRKT(あるいはここにNicolas Jaarを加えても良いのでしょうか)等々、素晴らしいアーティストが良作を次々と生み出し、ダブステップが大きく注目された年でした。
しかし、昨年限定的に発売された、BurialとFour Tet、RadioheadのThom Yorkeとのコラボ作『Ego / Mirror』、Massive Attackとのコラボ12''『Four Walls / Paradise Circus』、
そして本作『Street Halo EP』『Kindred EP』を聞いても、やはりBurialはポストダブステップ勢の追随を全く許していないようです。
『Untrue』からかれこれ5年もたちましたが、未だにBurialがダブステップシーンの頂点に立っている、ということは疑いようが無いでしょう。
特に1stの無機質さと2ndのノスタルジックな雰囲気を併せ持ち、かつ新しい一面を見せてくれた『Kindred EP』は素晴らしい。
アルバムの発売が待てないファンはもちろん、まだBurialを聞いたことがないという人も是非。
LIVE FOREVER [DVD]
ん~・・・「虚しいなぁ」という感じしか受けませんでした。
政治と結びつけてまで語るようなものではない気がしましたね。
ビートルズのアンソロジーや24アワーパーティピープルの様に
渾然一体となってる感じのムーブメントではなかったのだなと自分は
感じました。
他の方も書かれてますが、見終わった後はため息つきたくなります。
タイトルとは裏腹に、ある時代が死んでいく様を記録した映画。
それでも良い音楽はこれからも残っていきますが。