こどものための読み聞かせ えほんであそぼう 3 (三びきのこぶた/おおかみと七ひきのこやぎ/ありときりぎりす)
親戚の子供(3才)へのプレゼントに購入。正直なところ、もし、自分に子供がいたらDSなんかより絵本で十分と思っていたのですが、こんなに夢中になってくれるとは思いませんでした。
はじめは、音読をききながら、話しかけてあげたり。はやく次のページを見たがります。
慣れてくると、自分でタッチペンで画面のいろんなところをタッチして、音がしたり絵が動いたりすると大喜び。自分に子供がいないこともあり、子供とのつきあいは苦手なほうなのですが、ただの知育ソフトというよりは、親子(または大人と子供)の立派なコミュニケーションツールとして機能しているようです。
こういう、ゲームとはちょっとちがう、あたたかいソフトがふえるといいな、と思いました。
きりぎりす (新潮文庫)
なかでも、
夫婦愛を優しく深く見つめた『皮膚と心』は大・大・大好き!
『ぷつッと、ひとつ小豆粒に似た吹き出物が・・・』
という冒頭の1行目から、いきなりズルリと作品世界に引きずりこまれる。
夫と吹き出物が治った妻が並んで通りを歩くラストでは、
夫婦のユーモラスな会話にフフフと笑いながら、
胸にジーンと熱いものがこみ上げて、
ワッと泣き出してしまいたいような気持ちになった。
1作品、1作品、大切に読みたい名短編揃い。
太宰治の人間描写の素晴らしさを改めて実感した1冊。
嘘ばっか 新釈・世界おとぎ話 (講談社文庫)
おとぎ話の再解釈と言ったら、皮肉っぽいものやウイットの効いたものを思うかもしれない。けれどもこの作品集は、佐野洋子独特のからっとした文章で、ふしぎな叙情性に満ちた世界を創り出している。
たとえば、「ありときりぎりす」。しゃにむに働くありの父親を「おやじは大したもんだ」といいながらも、息子は、ほそい、胸をかき乱すような音を出したきりぎりすとその音楽のことを、きりぎりすが死んだ後も忘れることが出来ない。
あるいは「養老の滝」。脳卒中で倒れた父親に酒を運ぶ息子のことを「そうしたらはやくやっかい払いが出来る。うまくやるもんだ」と、隣の息子はののしる。同じく寝たきりの親を持つ二人の息子の、ふたつの選択とは。
善悪はっきり割り切れているはずのおとぎ話の世界で、!決して割り切れるものではない人間性を、しかも大上段に振りかぶることなく描き出している。
未来いそっぷ (新潮文庫)
初めて本書を手にしたのは中学生のときです。
20年以上たちましたが、いまでも時々読み返しています。
星さんファンの中でも特に評価の高い「ある夜の物語」
が収録されています。クリスマスイブの夜におきた心やさしい物語です。
わずか12ページで、これだけ泣ける作品を私はほかに知りません。
ほかに、中学生当時衝撃だった作品として、「少年と両親」「やさしい人柄」
ついニヤリとしてしまう「新しがりや」「健康な犬」「価値検査鬼」
ミステリー的なものでは「ある商品」「利口なオウム」
などが好きな作品です。