太平洋戦記 2
当ゲームの目玉は「キャンペーン・シナリオ」(太平洋戦争の開戦から終戦まで)です。たいへん時間がかかるゲームですが、しっかり創り込まれているソフトです。エディター機能があるため、初心者から超上級者まで楽しめます。このゲームの最大の特徴は、「講和」という形で「政治」を取り入れた点です。これまで同種のゲームは、「敵根拠地を○○箇所以上占領」など単純なルールで勝敗が決まりましたが、本ゲームは連合国各国との講和条件がその後の戦略を大きく左右します。
発売から大分時間が経ちましたが、永く付き合えるゲームです。安くなった今なら、戦略SLGを喰わず嫌いの方にお勧めです。
日露戦争、資金調達の戦い: 高橋是清と欧米バンカーたち (新潮選書)
新潮選書でかくも分厚い本を見た記憶がない。しかし、いたずらに大部なだけでなく、実に読み応えのある一冊だと思う。
昨年までNHKで3年にわたり放映されたドラマ「坂の上の雲」は多くの方がご覧になったことだろう。本書の主人公である高橋是清もドラマに登場(西田敏行演じる)していたが、小村寿太郎(竹中直人)含め必ずしも十分には描かれていなかったように思う。本書では実に濃密に描かれている。渡英し資金調達に苦悩する高橋是清の姿が、目に浮かぶような錯覚にすら陥る。おそらく大変な調査研究によって本書は書かれたと思うが、著者のそのご努力に感謝すると共に、敬意を表したいと思う。
身も蓋もない話だが、お金が無ければ戦争はもちろんなにもできない。その当たり前のことを、本書は教えてくれる。
あとがきで著者は、当時と現下の財政悪化との類似性を指摘しているが、借りたものは返さねばならないという当たり前のことがいかなることを意味するかというごく基本的なことを直視しない現状は、当時より始末の悪い事態を招来するのかも知れないのだろう。
坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)
初めに断っておくが、本書は小説である。
断っておかねば史学の研究者が明治史を一般向けに解説した学問書と勘違いしそうなほど、本書では歴史に関して掘り下げた考察がなされている。
現に本書を恰も研究論文であるかのように史学の見地から批判する記事を幾度か目にした。
が、本書は完全なフィクションではないにせよ創作の範囲を出ない。
創作物である本書を学問の立場から批判するのはいささか酷のように思える。
それはさて置き、本書は主に日露戦争に焦点をあてつつ近代日本の生い立ちを描いた作品だ。
元々台詞の少ない司馬先生の作品のなかでも特に台詞が少なく、考察部分が多くを占める。
従って文章を読むのが苦手な者には少々読みづらい作品ではあるかもしれない。
しかし明治という、それまでの日本を土台にしつつそれまでと全く違う、本邦が初めて国家として体系を為した時代を、またそこに生きた人々を、迫力を以って語ってくれる。
戦争の記述に関しても戦闘描写が本意ではないと述べつつ、緻密な筆致で表現されていて読んでいて手に取るように状況が想像できる。
一部の登場人物をあからさまに悪者に仕立てているという指摘もあるにはある。
しかしよしんばそれが事実だとしても、その悪者は悪者で確立した人柄がきちんと描かれており、現実感は損なわれるどころかむしろ増している観がある。
近代日本史について深く考察しつつ、現実的な物語を身震いするほどの迫力で伝えてくる秀作だと思う。
映像で綴る20世紀の記録DVD10巻セット
おおまかな流れは、時間軸に沿って有名な事件や出来事がピックアップされ、
それについての実写フィルムを使用しながらタイトルごとに4分から6分程度の解説が繰り返されます。
それが1巻あたり10タイトルほどあり、詳しさよりも網羅性が重視されていました。
誰もが知っている悲惨な出来事をなぜ起こってどうなったのか、
また、歴史の教科書には載っていないような歴史的な発明や出来事についても触れられています。
日本語音声解説でわかりやすく、予想外に面白いので一気に全巻見きってしましました。
私は値段があまりにも安いので期待せずに購入しましたが、良い意味で裏切られました。
もちろん本家「映像の世紀」には及びませんが、十分に見る価値のある作品だと思います。
私の感覚ですが10巻で10000円払ったとしても満足していたでしょう。
このクオリティでいったいどうやって定価4980円に抑えたのかが不思議なくらいです。
とにかくオススメです。
読むだけですっきりわかる日本史 (宝島社文庫)
歴史は苦手なので、自分のために日本史を再確認しようと思い買いました。
まだ明治維新のあたりまでですが、頭の中が整理されていくのを感じます。単に史実だけでなく人物の思いなんかも補足しながら解説されかつ時代の繋がりを読者にわかってもらおうという著者の思いが伝わります。学校で学んだときはそれぞれの出来事を単独で暗記してただけでしたがこの本を読んで点が結ばれ線になっていく感じがします。
先の方のレビューにもありましたが重要事項が太字になってるのが(参考書的ではあるが)メリハリがきいて、これも読みやすい工夫だと思います。たまに取り出して何度も読み直したいと感じてます。
また、これをきっかけに気になる時代の本を読みたくもなってきてます。日本史を見渡すための羅針盤にもいいと思います。