寸止め海峡(仮題)~松本人志ライブ~ [VHS]
まるでアングラ劇のようなエログロナンセンスが展開していく傑作ライブ。
女性ファンの場違いな黄色い声援がなんとも萎えさせてくれるが、それがポピュラリティの演出に一役買っている気もする。
そう思う事で納得したい。
「赤い車の男」は、おそらく作った本人にさえ全貌が把握できていないはず。
「ゆ・え・に!」何度も観る価値のある作品だと思う。
これだけ冴えた職人技を見せた人が、何故映画業に関しては一向に良い仕事がこなせないのか?
マボロシの鳥
想像していたよりもかなり良い内容だったと思います(少なくとも中学生の作文うんぬんでないということは、最初の数ページで分かりました)。
ただ、二つだけどうしても納得いかなかった箇所が。
一つは表題作「マボロシの鳥」に出てくる「言葉でいったいどれだけのことが伝わるのか」というところ。
それは太田さんが、普段からメディアで口にしていることでもあります。
わたしは小説という媒体を使って太田さんがそのことにどう向き合うのかを、楽しみにもしていました。しかし、じっさい今小説では「言葉」を使ってそのことを表現していただけでした。
それでは、この小説は言葉を使った最高峰の物でしょうか? わたしの個人的な感想では、世の中にはもっと感動でき、考えさせられる小説はたくさんあると思います。今の太田さんよりも、言葉を使ってより多くのことを他人に伝えている人が実際にいるということです。
そして二つめ。それは「人類諸君!」という短編です。
ヴォネガット風のSFを、講談調に著しているのですが、正直ギャグが笑えないのです。
もしかしたら、素人には分からない意図でわざとなのかもしれません。
マボロシの鳥のメタ的な部分も、語り口は談志さんのエッセイぽいのですが、なぜか笑えないのです。
談志さんのエッセイはふしぶしにユーモアがちりばめられて、読んでいる最中はニヤニヤしっぱなしです。もちろん小説とエッセイは違うのでしょうが、芸人太田光である以上、もうちょっと笑いにもこだわって欲しかったなとも思います。おそらく、談志さんよりも太田さんの方が読書量は多いと思いますが、文章でも談志さんが面白いのは何故なのでしょう?
太田さんは小説を書くなら、それを現実経験の差ということにはしないでもらいたいです。小説は生まれてからずっとベッドの上で生活せざるおえない人でも、その人の精神だけは宇宙の裏側まで飛ばす力があると思うので。戦争を体験しないと本当の戦争が分からない、は文学で克服できるんだという気概を、太田さんの次回作に期待しています(できれば固有名詞をぼかさない長編で)。
最後に良かったところも。
やはり、本が好きだと言うところ。ただのパスティーシュや、知識のひけらかしではなく、こういう本が好きなんだというのが伝わってきたので、この本をきっかけに元になったであろう本を手に取る人が増えるんじゃないでしょうか。本から本に繋がっていくという、本好きになるきっかけとして最高のことが表現されていたのだと思います。
ダウンタウン vs ナイナイ最強考察
興味深い本です。俺は、松本人志が、昔からずっと好きな松ちゃん信者です。ナイナイとの比較とか、今でこそ話せるようなネタなど、おもしろいです。ナイナイも好きなので、この本をかいました。ちなみに、最強考察シリーズは、ワンピースとかも買ってしまいました。
〈ダウンタウン・松本人志の流〉頭頭 [VHS]
内容については詳しく書けないが、お笑いビデオとしては異質である。これを見ると松本人志の核の部分、「客を裏切る発想」が痛烈に現れている。当時松本人志がビデオを撮影するとなった時に周りからの相当な期待があったのだと思う。どれだけ笑わせてくれるのかどれだけ面白いものを作ってくれるのかと。それを一番上手く裏切ったのが(面白くないということではない)この作品である。最後の解説は正直要らないと思ったが、あれがなければ苦情が殺到していたことだろう。当時こんなものを発売する若手芸人がいたら注目せざるを得ない。松本人志のキャパシティの広さを感じられる一本。