レッド・オクトーバーを追え (上) (文春文庫 (275‐51))
映画化もされたトム・クランシーの大ベストセラー。ソ連がない今読んでも小説の新鮮さは変わらない。映画では上映時間の都合でカットされたシーンが小説には沢山ある。この頃の主人公ジャック・ライアンが一番好きだなあ。情熱的で危険を承知で勇敢な行動に出る。アメリカ人の理想像なのだろうか。ソ連とアメリカの駆け引きはとても緊迫感があり、映画以上に詳細に描かれている。とくに何気ない背景までの描写の奥深さには感動する。リアリティを追求した現在のミリタリー小説の基礎を確立した名作である。
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これまでに何度もくりかえして鑑賞した作品であるが、そのたびに完全にひきこまれてしまう。正に映画史を代表する戦争映画の傑作といえるだろう。
この作品の成功を受けて、ハリソン・フォードとベン・アフレクを主役に合計3つの「続編」が制作されたが、内容的には、この作品のあしもとにも及ばないものであった。
それでは、この作品を真に傑出したものにしているのは何なのだろうか?
それは、ひとことでいえば、この作品が、優れた知性と技術をそなえた複数の登場人物が緻密に絡み合う群像劇であるということだろう。
そこには、ハリウッド映画にありがちな万能のヒーローはひとりとして登場しない。そこにいるのは、混乱のただなかにおいて、自己の技術と知能を発揮して、懸命に状況に対処しようとする等身大の偉大なひとびとだけである。
正にそれゆえに作品は、現実性と複雑性を維持することができるのである。そして、それこそがトム・クランシーの原作に息づいていた精神であると思うのである。
それにしても、登場する俳優たちが魅力的であることに感嘆する。抑制された演技のあらゆる瞬間に知性が息づいており、それがひとつひとつの所作にあらわれている。また、ジョン・マクティアナンの抑制された演出、そして、ヤン・デ・ボンの陰影感ある撮影は、いずれも第一級のものである。そして、何よりも特筆すべきは、バズル・ポールドゥリスによる奇跡にようにすばらしい音楽であろう。それは、この非常に知的な物語に熱く荒びた魂を息づかせることに成功している。これは、ハリウッドの映画音楽史にのこる真に傑出した作品である。
20年程もまえに制作された作品であるが、先日、あらためて鑑賞しなおしてみて、いささかも古臭さを感じさせるところがないことに感心した。むしろ、今日の娯楽大作と比較して、実に丁寧に作り込まれていることに、そして、その内容が大人向けのものであることが印象的である。個人的には、この20年程のあいだに、ハリウッドの映画というものが、何か根本的な意味において幼稚なものに変質してしまったことをあらためて告げられたようで、悲しくなってしまった。
偉大な映画だと思う。
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ソビエトの最新鋭原潜レッド・オクトーバーの亡命を巡る米ソのスリリング
な駆け引きを描いた作品。
原作は東西冷戦作家、トム・クランシー。
監督は「ダイハード」「プレデター」のジョン・マクティアナン。
キャストは、
ハマり役過ぎるショーン・コネリー、アレック・ボールドウィンをメインに
スコット・グレン、サム・ニール、J.E.ジョーンズと脇もなかなかシブい。
原潜をキーアイテムに抑揚を付けテンポ良く展開するストーリー。
直接のコンタクトなしに互いの気持ちを探り合う二人の男。
ナカトミビルを舞台に刑事と警官を描いた「ダイ・ハード」と似た構図だが
人気作家の筆に観客を引き込む術に長けた監督が絡むとここまで面白いのだ。
映像クオリティは、徹底的に手直しされた作品に比べると時代を感じてしまう。
がDVDよりは遥かに良い。艦内の光と影のコントラストがより鮮明になった。
もっと驚いたのは音響だ。TrueHDゆえ期待していなかったのだが、
重みと臨場感を増した荘厳なテーマ曲が作品の格調の高さを押し上げているし、
ソナー、警報あるいは魚雷の水切音のシャープさは緊迫感をより引き立てる。
この頃までのハリウッド映画は、非日常を味あわせてくれるまさに娯楽だった。
それを自宅で、しかもこんなクオリティで堪能できる時代になった。
至福としか言いようがない。
グレイト・ファンタジー・アドヴェンチャー
CDの曲名&映画タイトルをみると、「知っているものもあれば知らないものもある」と言う感じ。
けれども、いざプレイヤーにセットして聞いてみると「あ!これこれ!!」と言う感じで聞き覚えのある曲がほとんどだった。実際に映画のタイトルを知らないのにその音楽が聞き覚えがあると言う感じは驚きの一言。
聞く価値はあるし、特殊効果音がセットされている数少ないCDでもある。
それによってステレオスピーカーだけでも、5.1chのような3Dサラウンドが堪能できると言うわけだ。実際聞き比べるとジュラシックパークのTレックスのうなり声は圧巻だった!(BGM等々に使えそう)
まとめると「聞き覚えのある」「特殊効果すご!」という感じを味わえるよいCDだといえる。
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私がこの原作を読んだのは今から10年以上前。トム クランシーがこのデビュー作を書くのに7年かかった話は有名。
小説を読んでから映画を見ると失望する人も多いとか。それは小説を読んで出来た自分の頭の中のイメージと映画が異なるからでしょうか。でも大抵の人にはこの映画はおすすめ。なぜ大抵の人か、それは原作がなかなか難解だから。潜水艦の中のソナーのセットなど小説読んでいても想像しようが無い物を見せてくれるのは「新鮮」。