桔梗庵の花盗人と貴族 (SHYノベルス)
<あらすじ>「俺の口を封じておきたいのなら、代償はおまえ自身にしよう」芦名子爵家の嗣子・胤人(つぐと)と資産家の息子である千葉重貴は、最初から互いに反感を抱いていた。胤人は重貴が自分を見るときの侮辱的な視線と態度に。重貴はいつも取り澄ました胤人の貴族然とした態度に。だが、友人の悪戯により胤人がそうとは知らぬままいかがわしい店に入った日、背徳と官能に縛られたふたりの新たな関係が始まる。縺れ合う体と心。辱めを受けながらも、胤人はいつしか快楽を求めるようになり・・・!? <感想>遠野春日先生の貴族シリーズ第7弾です。今回のお話は全体的にしっとりと大人な恋のお話です。受けは世間知らずなうえにとーっても意地っ張り!攻めはそんな受けが気に入らず虐め倒してしまうんです・・でもだんだんと受けを知っていくうちに気になってきてしまって・・そして受けはたまに優しく接してくる攻めに戸惑いを感じつつ・・ふたりのすれ違いがとてもせつなくていい感じです。最後にもっとラブラブなシーンがあったらなぁ・・という訳で星4つです。お勧めの一冊です。
FLESH & BLOOD〈5〉 (キャラ文庫)
5巻では海斗が投獄されてしまい、かなりはらはらしました。
このシリーズ全てに通じることですが、時代考察がはっきりされており、世界史を勉強したくなりますよー!
本当に面白かったです。早く続き読みたいな。
乙女の美術史 日本編
「乙女の日本史」からこのシリーズはすべて読んでいますが、
このシリーズ最大の特徴は、するどい男女論にあると思います。
たとえば、カバーの絵のモデルにもなっている
「見返り美人」は
「若い女性といえば『むっちりとしたモノ』という
伝統的な質感表現の外には出ようとしてない」とズバリ。
女性向けの「萌え絵」が日本に誕生したのは、
「つららみたいに透きとおるかのように細い」
鈴木春信の浮世絵から……という指摘は納得です。
女流画家の上村松園が、男性画家に「男をそそる女の絵を描け」と
言われて「私のような野暮な者は、殿方のお気に召すような
女の絵は描けません」ときっぱりこたえるところもスッとします。
私がいちばんおどろいたのは、『智恵子抄』で
聖夫婦として有名な高村光太郎・智恵子夫妻を
「『智恵子抄』ではなく『光太郎ショー』とでも呼ぶべきものじゃないか。
すべてはプロデューサー・光太郎の見栄とエゴによって作られた
偽物のドラマじゃないのか」
という部分です。昔、テレビドラマで感動したことのある私でも
ハッとさせられる視点で分析されています。
帯に推薦文を寄せている萩尾望都さんの『ポーの一族』はじめ、
『モテキ』『海月姫』など最近の漫画の恋愛観についても
するどい指摘があります。
芸術家のことはもちろん、現代の男女の見方が変わる
恋愛本としてもすぐれたシリーズだと思います。
写楽を「現代のゲイの男性に似ている」と書かれていますが、
この本の作者についても同じように感じるのですが、いかがでしょうか…。