サイモン&ガーファンクルのすべて
私が中学生になって洋楽に目覚めた頃、S&Gはビートルズと同じように解散していました。しかし、レコード会社があの手この手で曲を組み合わせたLPを売っており、私もそのうちの1枚(2枚組みだったかもしれない)を買って夢中で何度もターン・テーブルにのせました。ビートルズとともに英語の歌詞の素晴しさに気づかせてくれたのもS&Gが最初です。今でもサウンド・オブ・サイレンスは歌詞カードを見ずに歌えますし、香草の名前を覚えたのもスカボロー・フェアが初めてでした。その後、S&Gとは縁遠い音楽を聴くようになりましたが、S&Gは私にとっての洋楽初体験の一つ。ここにS&Gの主要曲がほとんど揃った作品を入手することができ、嬉しさと懐かしさで一杯です。アートの天使の声、それに負けないポールの声とギター、2人の声が組み合わさったときの震えがくるような美しさ。そして歌詞の秀逸さ。S&Gの格別優れた曲(私はボクサーが一番好きですが)を選りすぐった本作は、中年の人にも、アメリカ60年代の良心を探求し始めた人にもお薦めの作品です。
Born at the Right Time [VHS] [Import]
ポール・サイモンの自伝的映像作品。アート・ガーファンクルも登場。二人のコンビからソロへ、その後の挫折、そしてグレイスランドのコンサートへと続く。最後の南アでのコンサートとその後の映像は、ポール・サイモンの人柄をうかがわせ、また当時のアパルトヘイトの中で彼がとった行動の重さを教えてくれて感動的。このビデオと「アフリカンコンサート」を合わせて見ると、大きな流れが見えてきて、二つの作品の重なりから、南アの差別撤廃にポールの音楽が重大な働きをしたことがわかってくる。映像はあまりきれいとはいえないが、それでも十分に見ごたえがある。私はこれをもう10回くらい見ました。
オールド・フレンズ:ライヴ・オン・ステージ [DVD]
素晴らしいコンサートでした。二人は小学校からの友人であり、タイトル通りの「オールド・フレンズ」なわけですが、そんな二人の間にどのような葛藤があったのか。真実は彼らだけにしかわからないことだと思う。時が流れて、二人が同じステージにたっている。オープニングの「オールド・フレンズ」で目頭があつくなってしまった。その後も懐かしい名曲が続きS&Gはビートルズと並ぶ20世紀のカリスマであることを実感しました。コンサートの中での二人の会話も非常に興味深かった。彼らの熱狂的なファンというわけでは無い私ですが、心に響くDVDとなりました。「セントラルパークコンサート」も持っているのですが、こちらの方が数段素晴らしいです。バックミュージシャンとポールのギターも素晴らしかった。二人とも年をとりましたが味わい深さがなんともいえません。自分もできることなら、いい年のとりかたをしたいものです。
Best of Simon & Garfunkel
サウンド・オブ・サイレンスの詩の訳を読んだとき、かなりの衝撃を受けた。60年代ポップスのエヴァーグリーン的なヒット曲が、実はこんなにもヘヴィな歌だったのか、と。
「幻影がやわらかく忍び込んでくる。そいつは僕が眠っているうちに、僕の脳味噌の中にその種を植え付けていってしまったらしい。」「裸電球の下で僕は見た、1000人、いや、もっと多くの人々を。人々はしゃべることなく語り、耳を傾けることなく聞き、決して分かちあえない声で歌を書いていた。そして、静寂の音を邪魔しようとする勇気あるものは誰もいない。」「僕が君に教えたかも知れない僕の言葉を聴いてほしい もしかしたら君に届くかも知れない僕の手をとってほしい けど、僕の言葉は雨粒のようにただ静かに、静寂の壁にこだましている」「そのサインにはこう書かれている。“預言者の言葉は地下鉄の壁や下水道の穴に書かれている”、と 静寂の音の中で囁いていた・・・」
聴き触りほどにヤワじゃない、孤独の縁にいるものだけが作れる美しさに満ちた歌たち。
Live 1969 (Snyr) (Dig)
最高でした。これは聴けるとは思ってもみなかった世界遺産アルバム「明日にかける橋」発売当時のライブ音源を集めたもの。上手い、巧い、旨い、当時としては最上のギターテクニックとハーモニーを備え合わせていた最強のコンビだ。アート・ガーファンクル!!もう言うことなし。明日にかける橋をこんなシンプルな演奏で歌い上げる姿勢は宗教的な崇高さを感じる。続くサウンド・オブ・サイレンスも涙ものでした。
僕は当時中学1年生でしたが、熱狂的なファンが廻りにいて上手にコピーした演奏を聴かせてくれましたが、彼らも聴いているかなぁ。時は流れたなぁと思わず黄昏てしまった・・・。