バートン・フィンク [DVD]
脚本執筆の為劇作家である主人公(J・タートゥーロ)が宿泊した安ホテルで体験する奇妙な出来事の数々を描いた異色サスペンス91年製作物。
薄暗く暑く息苦しく隣の部屋から変な物音や笑い声が聞こえ、更に壁紙がベロン、ベロンに剥がれている奇怪で不気味な一室で一向に脚本は進まず、頭が掻き乱されていく主人公の心理状態が見物である。隣室の風変りな大男(J・グットマン)と出遭い意気投合し語り合うようになる訳だが...。
壁紙の浸食が止まらず、正体不明の大男の謎的奇妙な行動や妄想と悪夢、現実と幻覚、幻聴が交錯していく精神崩壊の世界を表現するかの如く独特の演出効果で展開されていく物語は不安感を増幅させ圧迫感を高め精神的な打撃を煽り強烈な心理作用を生み出す、と言った感じでコーエンの手腕が冴え渡る。
気前が良く滑稽だが、何処か暴力的な影と得体の知れぬ不気味さを秘めた大男を怪演するJ・グットマンが適役中の適役、主人公を演じるJ・タートゥーロに至っては「イレイザーヘッド」(76)を彷彿させる不条理の思考力を次々と炸裂させ、歪んだ現実逃避感覚を見せてくれる、異様な面白さである。
見る人によって受け取り方が異なるラスト・シーンも個人的には満足である。因みに中身を見せない箱の描写は「セブン」(95)に影響を与えているのだろうか、ちょっと気に掛かる。(笑)
バートン・フィンク [DVD]
恐怖とユーモア、幻想と狂気が映像詩の領域にまで高められている。
「ミラーズ・クロッシング」と並ぶコーエン兄弟の傑作。
ジョン・グッドマンの不気味極まりない、素晴らしい演技が見もの。
バートン・フィンク(字幕スーパー版) [VHS]
シナリオ作家が迷宮に迷い込む物語なんて誰も読まない。
それはフェイクだよね
この作品に作られた世界は騙し絵
そして自慰
しかしホテル舞台のホラー映画として見れば面白いです。
いや、一番でしょう。
あのホテルには行きたくない。