いちご同盟 (集英社文庫)
私はこの本を中3の時、兄の薦めで読んだのですが、この時受けた衝撃を今でも忘れられません。ラストの父の話の所を読んでいると、突然視界がぼやけて文字が読めなくなったのです、何が起こったのか分からないくらい涙が滴り落ちていたのです・・まさか自分が本でここまで泣くとは思いもしなかったのです。 私はそれまで小説をほとんど読んだことなく、本に多少偏見を持っていたのですが、この本を読んで180度考えが変わりました。本は人の心を豊かにし、本を読んでいる間はその本の主人公になり、普段体験できない事も読んでいる間実現可能なのです。 私は本当にこの本が気に入り高校に行っても、友人に薦めたのですが、 『今では共感できない。中学生の時読みたかった・・』と言われたのを今でも覚えています。 私はすごくショックでした。 その時、本は読む時期が凄く大切であると実感しました。 ですから、今中学生の皆様、どうか15歳までにできれば読んでいただけば幸いでございます。 それ以上の歳になっても楽しめますが、特に中3の時読めば、一生大切にしたい本になると思います
書く前に読もう超明解文学史 ワセダ大学小説教室 (ワセダ大学シリーズ) (集英社文庫)
近代・現代の日本文学史について書かれた本です。特に第二次世界大戦後の現代文学に重点がおかれており、主要な作家を網羅しています。現在活躍している作家が、どのような「世代」に属し、どのような作品を書いているかが簡潔明解に解説されています。
大学での講義がベースになっているため、わかりやすくかつ読んで面白い構成になっており、初学者のための現代文学史解説書としても役立つでしょうし、これから現代日本文学を読んでみようという人の読書ガイドとしても好適だと思います。
実存と構造 (集英社新書)
本書のプロローグの冒頭に「この本は実存主義や構造主義の解説書ではない.また,文学作品についての評論や批評,あるいは入門書の類でもない.」と書かれていますが,本書は実存主義や構造主義のバリバリの解説書であり,文学作品の評論でもあります.
難しい言葉や概念をほとんど使わず,丁寧にわかりやすく実存主義と構造主義の解説がなされています.
なので,初心者でも読了するのにさほど困難を感じないでしょう.
特に,構造主義的内容を含む,大江健三郎と中上健次の小説を,結構な頁数を割いて詳しく論じているので,その手の批評を読みたい方にはお薦めです.
ただし,同著者による「深くておいしい小説の書き方」(集英社文庫)に書かれている内容と本書の内容に似通った部分が多くて(それでも,内容が完全に一緒というわけではなく,修正されてはいるのですが),「深くて・・・」を読んだことがある方には,若干デジャブ感を与えかねないと思います.
しかし,本書の方がライトに書かれているので,実存主義と構造主義とはなんぞや,ということを入門的にお手軽に学びたい方にはお薦めかもしれません.