淡谷のり子~ブルースの女王~
カラオケで他の人が雨のブルース、君忘れじのブルースを歌うのを聞き、その曲に惹かれ涙がこみあげてきました。作曲が服部良一や長津義司、作詞が藤浦洸など往年の優れた方々。即アルバムを購入聞き、歌は作詞・作曲と歌手の3人の芸術家の力がミックスして人の心をうつのだと痛切に感じました。淡谷のり子はブルースの女王といわれていますが、このアルバムを聞いて彼女の真髄は、シャンソンにあると認識しました。特にアデュー、暗い日曜日、愛の讃歌は圧巻。淡谷のり子はカンツォーネ、オペラなどの声量もある日本の生んだ第一級の歌手であることがよくわかります。その人がより万感の思いをこめて歌いこなすこのアルバムは永遠に残ってほしいと思います。遠かったシャンソンがより身近になりました。ちなみに私は59歳です。新人の歌手が排出され、本物の歌手が育たたないなかで、大人が聞きほれるアルバムです。CDプレーヤーが壊れ、合わせてこのCDも一部壊れたため、追加で2個も注文してしまいました。
徒花図鑑 齋藤芽生作品集
齋藤芽生さんは、東京芸術大学美術学部油画科常勤講師(女性初)という肩書を持つ画家です。今時、「女性初」という閉鎖的ともいえる「職場」があったことに驚きましたが、この作品集には良い意味で驚かされてばかりでした。
ある美術展で齋藤さんの作品と出会い、その風変わりで他に類をみない作風に惹かれました。偶然、彼女の最初の作品集と出会えたのは僥倖で、心おきなく彼女の描きたかった世界に没頭することができました。
あとがきに、作者のコメントがあり、本書の特徴を見事に言い表していましたので引用します。「『徒花図鑑』は、私が思いつくままに空想を働かせ、それら空想のものたちがこの世に存在するかのように図像で網羅した、架空の博物誌です。」とありました。
例えば23ページの「毛玉鶏頭」の筆者の説明では、「毛玉だらけの鶏頭。擦り切れたセーター姿の無精な女の家に咲く。」として表されていました。まさしく見たことのない鶏頭でした。豊かな発想と現代的な感覚、風刺や皮肉のスパイスも強烈で、それを具象化できる力量のある作家です。非凡さはページを繰るごとに感じますし、彼女の作品展を実際に見たいと思わせる魅力が伝わってきました。
本書のテーマです。花(徒花図鑑、徒花園、毒花図鑑)、窓(晒野団地入居案内、晒野団地四畳半詣)、旅(地霊に宿られた花輪、名もなき東京人のための花輪、瑣事鑑、密愛村)。
現代最高の美術評論家であり大原美術館館長の高階秀爾氏の「鮮烈な詩情の世界」は是非お読みください。齋藤さんの作品の特徴を見事に捉えた解説でした。
茨城大学教授の小泉晋弥氏の「齋藤芽生の花・窓・旅の行方」も実に参考になりました。審美眼をもつ批評家の鋭い視線が作品に注がれた瞬間、見えていないものが見えたようです。また帯の推薦が大竹伸朗氏、山下裕二氏ですので、それだけで本書の価値は計れると思います。
演歌の女王 DVD-BOX
不幸をギャグにしてるけど、たんなるコメディともいえなかった。バッド・エンドではないものの、望みが結実するようなハッピーエンドでもなく、物語は小さな喜びのなかで終わってしまいました。また、不幸なのは主人公だけではなく、登場人物のそれぞれが、人には見せない不幸を抱えもって生きていました。コメディ・タッチではあったけど、そこはかとない人生のさみしさや切なさに覆われているような、ひとことでは言い表せない作品。老いや死といった、ドラマでは解決し得ない問題がストーリーの正面に襲いかかり、その安定性が激しく動いていく終盤の部分などは、見ている側の感性も大きく揺さぶられた。
それでも、ラスト部分で少女時代のヒロインが、大人の自分に向かって「だいすきよ‥」と告げるシーンでは、涙を抑えられませんでした。
福田真由子ちゃんの起用には、『てるてるあした』や『白夜行』など他作品へのオマージュも感じられましたが、それらにもまして、この作品では、彼女の演技のセンスの鋭さが存分に発揮されています。
FAKIN' POP
I got interested in Hirai Ken in 2005 and bought his Uta Baka Best album. This is his first complete album since then and all of his great songs are included. With the exception of 君はす・て・き, most of the music on this CD is either as good or even better than his previous hits. Hirai Ken's songs are usually either slow and lovely ballads or exciting dance music. His lyrical voice never errors and I am always pleasantly surprised at how far he pushes himself to perform so excellently. My favorite pieces are Elegy, Canvas and of course, 君の好きなとこ and POP STAR. You can hear some of Stevie Wonder's influence in UPSET. Listen to the beat. If you like really good music with someone whose voice never falters buy or at least rent this CD! Then buy UTA BAKA!
1. POP STAR -GREAT!
2. 君はす・て・き-So-so
3. 君の好きなとこ-great lyrics and melody
4. キャンバス-Lovely melody, relaxing string accompaniment、sudden Melody 2 with triplets sounds different than the rest of the song but it lovely in and of itself
5. Pain- has an etheral otherworldly string accompaniment, relaxing
6. fake star-A nice nod to the 70's music, has a nice guitar riff and a catchy chorus. I don't recommend the video though.
7.UPSET-a short, Stevie Wonder inspired romp, fun!
8. 美しい人-a beautiful and simple melody. I just love Hirai Ken's voice
9. Elegy-Simply one of the best ballads for Hirai Ken in a while
10. Twenty!Twenty! Twenty! A nice dance beat piece that while great, is nowhere as fun as POP STAR.
11.Bye My Melody- A fun and catchy piece with a nice theme throughout the piece
12. いつか...- Another great ballad for the books, nice slow build to a sweet chorus
13.写真-A nice surprise at the end of the album, a quiet and almost private piece, like a lullaby. It invokes a person sitting before pictures of friends and loved ones all alone recounting memories of things past
“元祖コマソンの女王”楠トシエ大全
日本のテレビ史・CM史に偉大な足跡を残す楠トシエさん。世代によって「日曜娯楽版」、
「お笑い三人組」、「おはよう!こどもショー」のビンちゃん、そして、CMソング(かっぱ
の唄とか「ALWAYS三丁目の夕日」でも流れたケロリン青空晴れた空とか)と、違いはあるもの
の、みんなが知っているテレビ界のトップランナーだ(なんせNHK専属第1号タレントであ
る)。
その楠さんの作品を時代順に編成したCDが本盤。実は初CD(厳密に言うと「ビンちゃん
の四季」の方が一週間早いけど)で、1枚目はCMソング、2枚目はテレビソング・童謡・
歌謡曲と楠さんの膨大なお仕事から厳選して網羅された作品が並んでいる。1枚目は「あ、
聞いたことある!」の連続、2枚目は「え、この歌も楠さんが最初だったの?」が続き、飽き
させない。CMソングもいいが、2枚目の「おはよう!こどもショー」関連の曲がまとめて
復刻されたのはこれが初。更に楠さんのフェイバリットソング「雪のワルツ」(三木鶏郎作
品)も名曲だ。ライナーノーツも充実。納得の一枚だ。
現在も楠さんは元気いっぱい。イベントで当時の出来事を尋ねられると、話が泉のように
次々と出てきて、マイクを使うのを忘れるほど(でも、声が通るし、滑舌がはっきりしている
ので充分聞き取れた。だからこそコマソンの女王たりえたのだ)。小柄な体からは想像できな
いほどパワーがあふれている。まだまだ傘寿。これからもご活躍に、そして、CD第2弾に期
待したい。また、先述の「ビンちゃんの四季」も芸術祭賞を取った名アルバム。是非一緒に聞
いて欲しい。
さて、のこさん、フーコさん、ビンちゃんと続けば、次は藤本房子さんの番でしょう。男性も
ボニーさんやデュークさん、とみたいちろうさん、成田賢さんなど逸材がまだまだひかえてい
る。濱田さん、休めませんよ。次作よろしくお願いしますね。