原発はなぜ日本にふさわしくないのか
大学で環境学を学んでいた竹田さんが、震災に伴う原発事故から「なぜ原発はふさわしくないのか」を語る一冊です。
震災からわずか2ヶ月ほどで書かれた本ですが、東北の人達の行動を追いながら今尚解決しない原発の事故処理や原発の運用における問題点を分かりやすく解説してくれます。データの比較などでは専門用語が並びますが、文体がライトなので中学生くらいなら読めるのではないでしょうか。
まず表紙に惹かれたのですが、静岡県から撮影された写真を使用していると思われます。静岡県といえば先日浜岡原発が総理の命令で停止されましたが、運用を再開するか否かで自治体ともめている地域でもあります。原発の膨大なリスクを知った上で運用再開するのか?本書にはそんなメッセージが込められているような気がしてなりません。
国内では路上生活者を原発運用に充て、国外では貧民や立場の弱い民族をウラン採掘に充てている。1万年以上における廃棄物の管理方法を解決しない上に、一部の人間を犠牲に。残酷すぎる運用方法にショックを受け、これを報道しない国とマスコミにただ悲しさを覚えました。放射性物質を発見したキュリー夫人を例にあげ、放射能に蝕まれながら「神の領域に手を出した罰だ」と言いながら亡くなった話には胸が詰まりました。
事故自体は不幸なことだったけれども、これをきっかけに脱原発に舵を取れると前向きに締めています。推進派・反対派、多様な考えがあってもいいけれど、原発のリスクをしっかり知らなければならないと感じました。