ショパン:12の練習曲 作品10/作品25
20年前ならショパンのエチュードの全曲盤といえば、まずもってこのポリーニの演奏とアシュケナージの演奏が双璧と言われていたと思う。難曲中の難曲だし、エチュードという性格上、昔の大家は、たとえばホロヴィッツなどのように自分の好みに合った曲だけを演奏・録音していたから、全曲録音というのはあまり多くなかった。今でも、アルゲリッチは全曲録音をしていない。
アシュケナージの演奏も、アシュケナージらしい美しい音と深い情感をたたえた演奏で、そのいくつかは特に素晴らしいものだと思う。幸運にも最初に聴いたポリーニの演奏でこの曲が大好きになった私は、この曲のCDを見つけてはさまざまな演奏を聴いてきたが、未だこの二人の演奏を超えるものを知らない。
そして、私はアシュケナージに大いなる敬意を払いながらも、ポリーニのこの演奏の神がかり的な完璧さ--確か最初に買ったLPの帯に「これ以上何をもとめますか?」と書かれていた--に畏怖に近い気持ちを抱いている。ポリーニ本人といえど、再びこれに匹敵する演奏・録音をすることは難しいのではないか。それくらい奇跡的な唯一無二の演奏だと思う。
ピアノ協奏曲第3番ハ短調 作品37 [DVD]
高いが、DVD2枚組みでボリュームたっぷりである。ベームの指揮姿はなかなかかっこいい。無骨だ。
ブラームスのピアノ協奏曲第2番はこのDVDではじめて聴いたが、第1番のほうがよほど良いと思う。アバドの指揮や、ポリーニのピアノがわるいのだろうか?
「皇帝」は曲のきらびやかさを損ねず悪くないと思った。
111 Years of Deutsche Grammophon/Various (Coll)
グラモフォンの本気を感じるボックスセットだ!
レビューがたくさんあるので
内容については今更、言うまでもなく
文句なく素晴らしいセットだ!
このセットの自分なりの楽しみ方を紹介する。
私の聴き方は、1枚目から順番に聴いている。
心から素晴らしい!と思うCDも多数あるが
興味がどうしてもわかないCDもある。
そんな時は、本、ネット、アマゾンのCDレビューを読んで
作曲者、演奏者、CDのエピソードなどを調べて
その後に改めて聴くと
CDの魅力を再発見できる。
そして、CDの感想を文章にする。
そうする事で、1枚づつのCDの内容を
確実に、自身のモノにできる。
その事で、クラシックの知識が驚く程に広くなった。
さらに、このセットの一流の演奏を毎日聴いていると
クラシック音楽はもちろんの事
他のジャンルの演奏の良さも、自然と解るようになっていた!
クラシックで言うと
同じ曲で、他の演奏者での違いが
はっきりとわかる感覚が自然と身に付いた。
さらに、他ジャンルのジャズの名盤と言われるCDを久しぶりに聴いたら
なるほど!たしかに名盤だ!と解るようになった。
以前、芸術は一流のモノを鑑賞しなさい、と言われたが
その事の大切さ、感動、喜びが
自分の感性の発達に結びつく事を体感できる
非常に優れたボックスセットだ!
ピアノ協奏曲第19番へ長調 [DVD]
76年のベーム指揮VPOでピアノがポリーニよるモーツアルトピアノ協奏曲の19番と23番。もちろん、ムジクフェラインザールでの録画。ただし、ライブではなく専用の録画セッションで撮影したようだ。
ベームは最晩年の頃だと思うが、衰えを微塵も感じさせない指揮ぶり。まだまだ若々しい風貌(当たり前だが)のポリーニが、マエストロの棒の動きをやや神経質な目つきで気にしながらの演奏が、どことなく微笑ましい。ベームはもちろんポリーニなどどこふく風の、唯我独尊わが道を行く王道演奏だ。
モーツアルトのピアノ協奏曲23番の画像ということでは、最後のヴィルトーゾことホロビッツとジュリーニ指揮によるものも有名だが、ホロビッツのものより幾分遅めのテンポをとっており、ポリーニとVPOの美しい響きをゆったりと聞かせてくれる。