フランク・ザッパ・ライブ〈スーパーロック [VHS]
2-3曲だが、フランク・ザッパのギター演奏が見られる。プログレっぽいフレーズだ。彼がこんなにすばらしいギタリストだとは知らなかった。バンドのメンバーは歌唱力、演奏ともに抜群。それにユーモアがあってとても器用な者達だ。ライブ・パフォーマンスは完璧でミスひとつない。ブルースでもなく、ロックン・ロールでもないザッパの独特な世界が展開される。だが、ベスト10に入る類の音楽とは程遠いものばかり。曲の難度が高くしかもメロディアスでない。ホモ、ゲイ、セックス、オカマ、共和党批判・・・と歌詞の内容が放送できないようなものばかり。天才ザッパを理解することは難しいが、そんなことは考えずにとにかく一度見てみたら良いと思う。彼の音楽が好きになれるかどうかは保証できないがレベルの高いパーフェクトなライブ演奏が楽しめる。(字幕スーパー付き)
Hot Rats
今回再発されたFrank ZappaのリマスターCD群は、ご存知のように、全体にアナログLP時代の音を再現する方向で調整がなされています。
「LP時代に近い音を聞きたい!」とか「あっちの音のほうが好きだった!」という層にはたまらないリマスターと言えるでしょう。
(ビートルズのモノラル・リマスターCDの大成功&大好評を受けての措置かもしれませんね。ハマりすぎて、全作品をコンプリートしている人が少なくないであろうザッパファンに、もう一度CDを買わせるには、一番良い、求められていた方向性のリマスターかもしれません。ザッパが亡き後、勝手な方向でのリマスターをしても反感を買いそうですし)
私は「Hot Rats」(The Gumbo Variationsが、元の長さに戻り、従来のマスターに比べて4分ほど「短く」なっています。演奏前の喋りやイントロ部分はもちろん、LP同様にありません)、「Fillmore East- June 1971」(従来のマスターではカットされていた、LPでしか聞けなかったWillie the Pimp Twoが復活! OneとTwoの間は、LPと同じくファイドアウト、フェイドインでつながっています。Twoでのザッパのギターもワイルドかつフリーキーに暴れていて超かっこいいので、おすすめです。まぁ、2分弱しか無いのですが)、楽曲の収録時間が微妙に異なるという噂だったWeasels Ripped My Flesh、Just Another Band from L.Aの4枚をまずは購入し、聞いてみました。
結果、全体の傾向としては、キラキラした音のクッキリ感が減じ(例えば、シンバルの音やタンバリンのジングルの音、ピアノやマリンバの音などが少し低めになり、目立たなくなっています)、その分、ぶんぶんうなる低音が強く打ち出される、温かみのある(悪く言えば、ほんの少しコモった感じの)音になっていると感じました。
良く言えば、音が太くなって、聞き手を殴ってくる感じが強まった、と言う感じで、パワフルさを感じはしますが、従来のマスターの“多彩な楽器が入り乱れていながらもクッキリと聞こえるキラキラ感”は若干減じられているので、どちらも好き好き、一長一短といえるでしょう。
とはいえ、全作品買い換えるほどの印象の違いがあるか、と言われれば、そこまでの差は無い気もします。う〜ん、でも、やっぱり「LPではこう聞こえていたのか」「若き日のザッパは、こういう音でLPを世に出していたのか」というのは、LP世代にも、その後の世代にも興味あるところでしょうね。自分も、おいおい、改めて新リマスターで全作品揃えてしまうのかもしれません(古いCDの中には、読み取りにくくなっているものも出てきているそうですので)。
今後は、マイク・ケネリーがリマスター版を聞くことをおすすめしているという、上原ひろみ氏もイチオシの名盤「ワカ・ジャワカ」、FlambayやSpider Of DestinyやTime Is MoneyがLP時代同様のボーカルなしに戻った「スリープ・ダート」(まぁ、それらのボーカル無し版はすべて「ラザー」で聞けるのですが)あたりを優先的に買おうかと思っております。
少しずつZappaの新リマスターCDを買い揃えていき、印象の違いを感じたり、感じなかったりできる、というのは幸福なことです。リマスター発売に感謝したいです(かつて、LPを買い揃えたくても、廃盤ばかりで、飢餓感を感じていた世代としましては、なおさらです。あちこちめぐって、廃盤のLPを探して買い集めていた者からすると、「ああ、あのときLPを入手していたら、こう聞こえたのか」というのはやはり感慨深いです。まぁ、Old MasterでLP自体はあとである程度、揃ったわけですが)
【国内版】イヴニング・ウィズ・フランク・ザッパ デューリング・ウィッチ・ザ・トーチャー・ネヴァー・ストップス [DVD]
その昔Does Humor belong in Music ? をLDで観て、その驚異的な演奏とユーモアとメッセージ性を含んだ歌詞の深さにザッパの虜になってしまった。その後(数は少ないが)出される映像シリーズに常にがっかりさせられるのが、歌詞の訳詞がついていないこと。この度のヤマハから出されたこの作品も(ヤマハという事で期待していただけに)残念ながら訳詞がない。英語が堪能な方なら問題なく100%ザッパを楽しめるのでしょうが、訳詞に頼る私にはせっかくの最強のライブも楽しみが半減といっても言い過ぎではないでしょう。それぐらいザッパの歌詞は作品上重要だと思うのです。今後だされるものにあっては(純粋に演奏画像を楽しむなら方にはDVDではON/OFFで歌詞を出したり消したりできるので)どうか訳詞を付けていただきたい。それが国内盤の最大の良い点なのではないでしょうか?映像だけなら安い海外盤ですみます。★の点はザッパの問題ではなくリリースされる会社に対しての減点で本来なら★5つのザッパの最強演奏です。
ザ・リアル・フランク・ザッパ・ブック
フランク・ザッパの本で唯一欲しかったのがこの本。
この人は、雑誌インタビューを除けば、ここ日本では、本人監修の本はこれくらいでは・・・。
勿論、彼の音楽について語っている本や雑誌なんかは、たくさんあるが、やはり、第三者より、本人が語り、書いた本がいちばんだと思う。
この本、前半は大変楽しく読めた。
中盤あたりから、だんだん(?)と思う箇所が増えてきて、後半になると何を言っているのかさっぱり分からなかった。
政治的な発言がかなり目立ち、正直当時のアメリカの政情に詳しくない僕からすれば、興味もない話題をひたすら読まされているようで、かなりキツイ気持ちを味わった。
前半の面白さが続けば、文句なしの星5ツものだが、いくらなんでも後半はありえない位、僕には難解だった。
しかし、これは、ファンを自認する人間なら所有しておいた方が良いのは事実。
でも、値段が高いかな・・・、アルバム2枚分の金額ですからね。
ある程度ザッパのアルバムを買ってからの方が良いかもしれません。
フランク・ザッパ/キャプテン・ビーフハート・ディスク・ガイド
紹介されている全てのアルバムのカバーがカラーで、大変シンプルな構成。
生前発売された作品は基本1ページで、著者のこれは!という作品は2ページで紹介されている。
以下の2ページの作品の選択に不満はない。
「Freak Out!」,「Uncle Meat」,「Hot Rats」,「200Motels」,「The Grand Wazoo」,「Over-Nite Sensation」,「One Size Fits All」,「Zappa In New York」,「Sheik Yerbouti」,「Shut Up'n Play Yer Guitar」,「Them Or Us」,「You Can't Do That On Stage Anymore Vol.1」,「Ahead Of Their Time」,「The Yellow Shark」,「Lather」。
他に、ビーフハートが「Trout Mask Replica」,「Shiny Beast(Bat Chain Puller)」。
所謂ロックファンと呼ばれる人たちでもザッパ聴いた事無い人は、たくさんいるだろう。
試しにどれか一枚聴いて欲しいね。デカイ音でさ!
この本は、多分日本で初めてのザッパのディスク・ガイド本であり、個人的には待望という言葉が相応しい本であった。まず発売されたこと自体に、私は拍手するね。
また175ページから238ページにわたって、プロデュース作や関連レーベル作、関連ミュージシャンのアルバム等が紹介されているのだが、これがとっても個人的に大助かり。
確かにザッパがメジャーに見える程、どマイナー(日本で?)な作品が多い・・・、しかーしだ、これが実に味わい深く興味深い作品群であるし、個性溢れるミュージシャンが多数紹介されているのだ。
著者のこれはちょっとという表現はある。でも言い出したらきりないし。
私が敬愛するミュージシャン、フランク・ザッパのディスク・ガイド本の存在がまず快挙なんだ。
ディランやマイルスと並ぶレコード・コレクターズ増刊ディスク・ガイド本シリーズで、これで定価2,000円って、かなり安いと思うね、私は。
所謂ザッパ・フリーク連中?とやらから、ザッパを解放したいという試みも感じられる。
良いね!おすすめ。