螢火ノ宿 ─ 居眠り磐音江戸双紙 16 (双葉文庫)
シリーズ第16作。
本作は白鶴の落籍のエピソード。生涯ひとりのものにはならないと
決めたはずの白鶴が、なぜ落籍に応じたのか?どこか釈然としない
気持ちで読み進めたが、白鶴の最後の一言がその答えであったのか?
だから山形なのか?前田屋を選んだいまひとつの理由だったのか?
そんな想いはさておき、本編の磐音の活躍はまさに己を捨てての
直向さ。奈緒への想いの深さとけじめのつけ方を著した一篇だ。
鯖雲ノ城 ─ 居眠り磐音江戸双紙 21 (双葉文庫)
テレビでは、2009/08/08で居眠り磐音シリーズ3が終わったのだが、その最終回での舞台となるのがこの巻だ。
関前藩に帰り、両親におこんを紹介するのだ。話はちょっと違っているが。
これからの展開を進めるための、状況の準備編というか、起点となる巻だ。
この先のシリーズを読む人には欠かせない。
(ぼくはこの先の巻を読んでいるので、それがよく分かる)
文鳥・夢十夜 (新潮文庫)
「文鳥」がお気に入りなのです。とにかく、出てくる文鳥が可愛くて。そして素っ気無いながらも文鳥の世話をしだす主人公も好きですね。結局は不注意で死なせてしまうのですけど、「ちち」「ちよちよ」とか鳴く文鳥の様子にノックアウトでした。
読みやすい文章なのですよ。文豪が書いた昔の作品って、えてして難しい言い回しが多用されていたりするのですが、少なくとも「文鳥」はそんなことありませんでした。
他に、「夢十夜」の「第一夜」も好きです。未だに完全に理解できたわけではないのですが、死に臨み、「百年待っていてください」と乞う女と、待つことを当たり前のように受け入れた主人公が、印象深いです。
スーパーダッシュ&ゴー!
集英社の新雑誌で、スーパダッシュ文庫のライトノベルのコミカライズがメインです。
ベン・トーやパパのいうことを聞きなさいやカンピオーネなどの人気作が漫画で読めます。
付録のCDですがベン・トーとオワ・ランデのドラマCD二本立てです。
ベントーはそれぞれ12,3分程のドラマが二本と10分程度のキャスト座談会です。
ドラマの内容は佐藤の親父(若本規夫さん)が烏田高校にやってくる話と白梅梅さまがHP同好会の部室にやってくる話です。
この脚本は原作者のアサウラ先生が執筆されたようです、また音響監督は明田川仁さんです。
オワ・ランデは16分程度のドラマが二本です。
オワ・ランデのキャストは以下の通りです。
佐品直純:水原薫、ロセリアーニ:柚木涼香、桐河ひめみ:内田真礼
三鳥居奈津子:中原麻衣、渡辺先生:小野涼子
女子生徒:葉山いくみ、柚原有里、小幡記子
男子生徒:坂巻亮祐、潮卓也、松岡禎丞
その他ベン・トーの原作者アサウラ先生がSEGAの本社を訪問する特集記事などもあります。
商人道「江戸しぐさ」の知恵袋 (講談社プラスアルファ新書)
これは「江戸しぐさ語り部の会」の主催者であり、江戸しぐさの普及者である越川氏の著作です。
江戸時代の江戸の商人たちの間で育まれ、口承で綿々と伝えられてきた「江戸しぐさ」。
それは「商人しぐさ」であり「繁盛しぐさ」でした。
単なるマナーや作法ではなく、「くせ」にまで昇華した考え方であり生き方だったようです。
その「江戸しぐさ」は明治政府が設立した段階で、商人たちの緻密なネットワークを恐れた政府が徹底的な粛清をおこない、壊滅してしまったそうです。
それを故芝三光師に押しかけ弟子入りした著者が長い時間をかけて聞き出し、考え、整理したのが、この「江戸しぐさ」です。
狭い道路ですれ違う時の「肩引き」、雨の日に傘を反対側に傾ける「傘かしげ」、バスや電車の中で席をつめる時の「こぶし腰浮かせ」などのしぐさは今も残っている「粋」なしぐさです。
不意の訪問は相手の時間を浪費するとして「時泥棒は弁済不能の十両の罪」と言われたり、往来で足を踏まれた時には踏んだほうだけでなく踏まれたほうも「うっかりしていましてすみません」とい言ったりしたそうです。
仏様の前では身分の上下はないという発想に基づいた「共生」の考え方がそのベースになっています。
「粋」とは「生き生きと生きて意気を示す」ことを意味する、と著者は述べます。
前向きの江戸っ子の姿勢を現代のわたしたちも学びたいものだとつくづく思いました。