大学受験のための小説講義 (ちくま新書)
小説を読むとは何ぞや?ということからセンター試験の過去問に使え、
応用すれば国公立2次までも太刀打ちできる受験小説の読み方等が著述されている。
シンプルながら、これ一冊で軽くセンター試験の小説対策はいいんじゃないでしょうか。
評論文は比較的読める人が多いのでそれよりの読める人が少ない小説で差をつけましょう。
これでセンター試験小説、国公立2次の小説はバッチシです。
佐野洋子〈追悼総特集〉100万回だってよみがえる (文藝別冊)
保育所に通う子のために「100万回生きたねこ」を読んであげたとき佐野洋子さんのことをはじめて知りました。絵本というけど、長編小説よりすごい!。こんなにもうまく人に心に届くように書けるのかと驚きました。
それ以来注意してみていると世間では「100万回生きたねこ」は大人でも男女を問わず読まれてきたことがわかりました。この本にでも出ていますが、184万部も売れたらしいです。
この文藝別冊・追悼総特集号は佐野さんがどういう人だったかを非常に詳しくおしえてくれます。元夫である谷川俊太郎と息子さんの広瀬弦さんの対談があったり、佐野さんが好きだった山田詠美さんとの対談も再録されています。
佐野洋子さんを思い出したい人、どういう人だったかを知りたい人は残らず手にとってみて欲しい。
THE BADDEST~Only for lovers in the mood
発売日の今日、何件かお店を回ってやっと手にいれました。『久保田利伸&山田詠美』ってことでこれは買うしかないなーと。
今聴きながら書いてるんですが、彼の音がムードを盛り上げ、彼女の文字がムードを深める、って感じかな。
このふたりの世界観は素敵ですよ。ぜひ聴いて、読んでみて下さい。
学問 (新潮文庫)
山田詠美氏の小説は本当に久しぶりに読んだ。恐らく10数年ぶりだとおもう。1985年のデビュー作『ベッドタイムアイズ』を始めとする河出からの本はほとんど読んでいたし、『熱帯安楽椅子』や『ハーレムワールド』も出版早々に買い求めたし、『色彩の息子』という短編集は著者の類まれな言葉へのセンスと文章力が活かされた日本文学の過去の名短編(例えば『小僧の神様』や『刺青』)に拮抗する絶品だと思う。ただ、山田氏の才能のタイプはやはり長くても150ページ位の中編か短編の輝きにあると思う。確か文学界に連載されていた『トラッシュ』(だったかな?)を読んだ時にあの中編にある鋭利な感受性と洗練がまったく無くなっていた事に唖然とした記憶がある。
そしてこの本書だが、巧い事は巧い。おそらく長編の文体に関しても相当努力したのだろう成果が、しっかりとした小説を作り上げる事に成功している。だが、他の長編純文学作家と比較すると、一気読みするほど面白いか、と言われると「・・・・・。」というのが個人的所感だ。登場人物の名前の付け方も山田氏のセンスが光りユニークだ。各々のエピソードもユーモアに溢れ才気がある。だが、如何せんストーリ・テリングという点ではやはり弱い。
やはり著者の才能は短編か150ページ位までの中編に中核があるのではないか。
『Atoz』や『風味優雅』など評判のよい短編集は未読なのでそちらを楽しみにしたい。
シュガー&スパイス 風味絶佳 [DVD]
つくづく思うのは、山田詠美作品の映画化の難しさ。
小説を読んで「素晴らしい」と思うのと、「だから、映画化したい」というのとは、全く別の次元の話(本当に言うまでもない話ではあるが)。
映画化するのなら、もっと思い切って、全く別物としてつくるべきで、「山田詠美作品、素晴らしい、素晴らしい」と思いながらつくるべきではなかったのではないかと思う。
こう言ったら何だが、どうしても、単なる古くさい、嘘っぽいシチュエーションの中で、イモっぽい兄ちゃんが、洗練された手の届かない女の子に横恋慕しただけ、のように見えてしかたがない。
柳楽優弥は、悪くはない。
自転車で転倒するシーンなどは、さすがだと思った。
しかし、総じて見た時に、決してよくもない。
やはり、キャスティングに無理があったのではないか。
もっと柳楽優弥のよさの生きる相手役がありえたのではないだろうか。
あれでは、どうしても柳楽優弥が鈍臭いだけの男の子に見えてしまう。
たとえば宮崎あおいだったら、また違っていたのではないか。
山田詠美のファンとしても、柳楽優弥のファンとしても、残念な作品になってしまった。