終戦60年特別ドラマ 二十四の瞳 [DVD]
タイトルにも書いたのですが、旬君目当て観たのですが、自然に初めから涙、涙でした。
今、平和ボケしている日本人に観て欲しい、一本です(私も含めて)
もちろん小栗旬君も良かったです。ファンだからいうのではなく?!?
二十四の瞳 デジタルリマスター2007 [DVD]
生涯の間にもうすでに十数回は見ていると思う。そのたびにラストシーンで泣かされる映画。
郷愁を誘われるというか、もうすでに自分にはなくなってしまっているか、忘れかけていたものを呼び戻される作品の一つ。
高峰秀子演じる教師の、凛とした気高さ、優しさ、たくましさ、暖かさとどれをとっても、理想の「先生」。
モンスター・ペアレンツなどいない時代の、理想的な親と学校の関係。お互いに尊敬の念と信頼で結ばれていた時代が懐かしい。
瀬戸内海に浮かぶ小豆島のモノクロームの画面からもうかがえる自然の豊かさと美しさ。子供達の純朴な笑顔といたずら。子供達の笑顔が、みずみずしかった。物質にも金銭的にも恵まれていなかった時代の子供達の、なんて無垢なこと。今の日本が失ったものが、この映画の中にある。
貧困の差があっても、「イジメ」はない。家の事情で、小学校から先に進学できずに就職する少女・・・みんな思いやりがお互いにあった頃。
子供たちが成長し、同窓会で再会をするシーンの美しさ。再会するまでの間に、太平洋戦争によって、子供達にもさまざまな不幸があった。高峰秀子を取り囲み、昔の集合写真を見るシーン。思い出しては、涙腺が弱くなる。
若き田村高廣も成長した生徒役で出演。若き日の天本英世も、先生の夫役(ものすごくハンサムだった)。
二十四の瞳 デジタルリマスター 2007 [DVD]
この作品を「反戦映画」としてしか観られないようでは、その鑑賞者の感性はいかにも貧しすぎると思う。
(あまりにも有名な作品だから、物語のあらすじを辿るのはやめておこう。書くのがめんどくさいし。)
数年前にリメイクされた『二十四の瞳』(黒木瞳主演)については、観ていないし観る気もないから分からないが、木下恵介監督のこの『二十四の瞳』(高峰秀子主演)に関しては、「戦争反対がこの映画の趣旨です」と言ってしまうにはあまりに惜しのだ。なぜなら、確かに「戦争の悲しさ」がモチーフのひとつになっているとはいえ、あるいは「女性の自立」みたいなモチーフも見え隠れするとはいえ、そこにさほど強いアクセントが置かれているわけではないからである。
映画作品の魅力を上手く表現する力が私にはないので、手短に結論だけ言っておくと、木下映画が魅力的なのは、ひとつのテーマのごり押しになってしまうことを注意深く避けて、あくまで「時代」を描くことに徹しているからである。
これは木下監督のほかの作品にも言えることだ。「戦争なんか早く終わればいいのに」とか「命は大事にせなあかんよ」みたいな、監督の「思想」らしきセリフはいくつも出てくる。だがたいてい、しつこくならない程度のタイミングであっさり次の場面に切り替わってしまう。だから、ある種の人は期待を裏切られるだろうし、またある種の人は憤懣が高まる前に拍子抜けするだろう。
でもそれでいいのだ。「時代」という、一つか二つのテーマに還元することなどおよそ不可能な、広がりと深みを持った対象を木下は捉えている(捉えようとしている)のだから。
またあるいは、「テーマ性」を追求しすぎると「時代のリアリティ」を遠ざけてしまい、「時代のリアリティ」を追求しすぎると「テーマ性」を手放すことになって何の映画だったのかが分からなくなるという、矛盾・葛藤・逆説を引き受けていることが、木下映画の魅力だと言ってもいいかも知れない。そういう緊張に耐えられる監督は稀有である。
「戦争はいけないことだと思いました」みたいな野暮な感想しか持てなかった人は、6回ぐらい観なおすべきだと思う。
母のない子と子のない母と (小学館文庫―新撰クラシックス)
「二十四の瞳」の壺井栄さんの素晴らしい作品です。物語の舞台が私の生まれ育った郷土の環境に似ていることもあり、深い人間愛や愚かで痛ましい戦争について考えさせられるこの物語がより現実味をもって感じられました。多くの子供たち、そして大人たちに読んでほしい名作です。