マンガ学入門
「この本はマンガ文化に関心をもつ者、これからマンガを研究しようとする人のための
ガイドブックである。卒業論文であるいは他の機会に、マンガ文化に知的にアプローチ
したい、その歴史と現状を再度考え直してみたい、そうした興味関心の手助けになればと
企画された。……読者は本書を通じて、マンガ研究の核心にふれ広範な情報と出会える
はずである。マンガの歴史、アプローチの方法、またマンガ家や作品にまつわる基本的な
知識を、最先端知見のもとに得ることができるにちがいない」。
確かに、現代におけるマンガ事情のカタログとしては優れた一冊なのかもしれない。
けれども、もし仮にこれを「学」と呼ぶに値する領域における「最先端知見」であると
言うのならば、その不毛を印象として抱かずにはいられない。
本文内で、編者の竹内氏が「過去の文献の蓄積に何を付け加えるのかという自覚が
研究者に必要とされるはずだが、……充分とは言えない状態にある。先行研究を参考に
しない、引用しない、あるいは読みもしない」と苦言を呈しているが、つまるところ、
まともな卒論の水準にすら達していない、と告白しているようなもの。
そもそも「マンガ学」という領域をわざわざ設けなければいけない話なのか、との疑問を
感じてしまう点もある。もちろん夏目氏や伊藤氏がやっているようなマンガ表現論などは
マンガ固有の文法、文体の話であって、然るべきフィールドが要求されるのは当然の話
なのだけれども、歴史コンテクストとの絡みやジェンダー論、作家論なんて、既存の
枠組みで事足りているわけで、各々のジャンルにおいて手あかに塗れ切った知識を
「マンガ学」とのフレームの下でさも「最先端知見」であるかのように振りかざされても
ただただ失笑を誘われるのみ。私が愛読し、本書でも度々引用されている米沢氏の仕事に
しても、いわゆるニューアカの匂いの強いサブカル批評の典型様式としか思えないし。
マンガ史的に重要な作家についての記載も、ウィキやファンサイトの方がよほど充実
しているし、「情報コラム」なるコーナーにしても大半は拙い。いくら各々の記事の末尾に
参考文献を記載しているとは言っても、「ガイドブック」たろうとするのならば、一定の
クオリティを満たしたものと認められる推薦図書のリストくらいつけてもいいような
気もしてならない。
それでもまあ、一冊でマンガというジャンルにおける基礎知識を得ようと望むのならば、
それなりに適したテキストなのかな、とは思う。
マンガはなぜ面白いのか―その表現と文法 (NHKライブラリー (66))
1996年にNHK『人間大学』で包装された内容を中心に、早稲田、成城短大で行った講演・講義が収録されている。
漫画を描線やオノマトペ、コマの構成から語った点が面白い。従来の漫画論は内容中心のものがほとんどで、形式や表現方法に踏み込むことは少なかった。そこを取り上げたことに本書の価値がある。
描線やコマ割りからは、戦後から現代に至る進化の道筋がきっきりと読みとることが出来る。見せられて即座にうなづける説得力も素晴らしい。
もちろん、もう10年以上前の本であるし、物足りない部分や違和感を覚える箇所も少なくない。それでも、漫画研究の里程標として重要な図書であることは間違いないだろう。
これを読むことで、普段の漫画の読み方も変わってくるはずだ。
BSマンガ夜話 攻殻機動隊 -士郎正宗- [DVD]
あの番組がDVDになってるとは思わなかった。
出演者がいしかわじゅん、夏目房之介、岡田斗司夫と思い入れの強そうなメンバーが揃ってて激論になってました。特に岡田さん。
ちなみに今回はゲストがいません。
攻殻の初級講座とか中級講座とか番組中にやっててそれが良かった。
今まで気づかなかったところがあったことにこれを見て気づかせてくれましたので。
あとはデビューする前の士郎正宗の裏話みたいなこととかいろいろ興味深い話がでます。
でも、金額に見合う内容かどうかはちょっと悩むところです。
BSマンガ夜話 童夢 -大友克洋- [DVD]
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