Reise Reise
空間的広がりを感じさせるオーケストラと、確固としたメタルの足踏み、それに男たちの掛け声……1曲目の「Reise,Reise」を聞いた瞬間、手には槍を握り締め、果てしない荒野を往く狩猟民族の大移動を思い浮かべました。(いえ、ドイツ語分かんないので、あくまで勝手なイメージです…汗)
いつもは暗く、激しく、異様で、かつ硬質なラムシュタインですが、それらに加えて今回は大陸的広さを持っているのが特徴です。
ダライ・ラマの歌あり、アメリカに対する皮肉の歌あり、さらにはロシア語の女性ボーカルとデュエットもしています。
薄暗いカフカの部屋で、いつまでもベッドと鎖の戯れに悶々としているのは彼らのスケールに合わなかった、といった所でしょうか。
以前に比べて「恐怖ロマンチシズム」が薄れたのは残念ですが、曲としての完成度は高く、オーケストラの使い方も上手くなっています。また、インダストリアル・メタルというジャンルからは、いい意味で逸脱し続けているように思います。
そういう観点から言うと、個人的には、民族大移動を思わせる「Reise,Reise」、希望と悲哀のアンビバレントな美しさを持つ「Morgenstern」がお薦めです。
野太い声でやさしく歌うラストの「Amour」も、ちょっと違った意味でお薦めですね。
墜落の夏―日航123便事故全記録 (新潮文庫)
読む場所によっては難しい言葉や専門用語が多く出てくるので、ちょっと女性向きではない(あくまで個人の感想です)気がしましたが、トータルとしてみると★5となりえる作品(というより記録)だった。しかし私には若干ですが違和感がある部分もあったので★4としました。
「遺体」の章で既に充分に事故の惨さや恐ろしさが伝わっているのに「皮膚の剥がれた男性器云々」や「遺体に湧くウジ虫のサイズ」まで明確に出すのは少々いかがなものかと思えた。・・なにかこうムリにグロテスクにして本書を「商業目的としての"色"」を付けたような感じがして少々否めない。私的にはその部分をわざわざ出さなくても充分に伝わっていたので、気持ちの悪さをあえて強調しなくてもいいのでは・・と思えた(しかし事実なんだからしかたがないのだが・・)。
しかし「日航機墜落事故の代表的な一冊」と言えるほど良く調べられているし、特に「落合証言」は機内の様子が手に取るようにわかって、ほんとに恐ろしかった。意外に機内は "静か" だったことが分かり、とてつもなく"長い32分間"だったことが伝わってきます。この証言の最後の部分では読んでいて涙があふれてしまいました・・。とにかくこの「落合証言」を読むだけでも本書を読む価値があるとさえ思えます。
それとコックピットクルーの最後まで諦めない姿勢、フライトアテンダントの乗客への最後の最後までの冷静な対応の凄さ。そして事故後の遺体の鑑定にしても当時DNA鑑定が全くなく必死に事故に携わった警察関係・医療関係者らの苦悩も良く書かれています。
当時この事故に携わった近所の歯医者さんの近くに住んでいたことがあり、治療に行った父に「○○先生が遺体の検視を頼まれて行ったらしいんだけど、1週間くらい食事が喉を通らなかった・・」云々の話を聞かされて子供心に恐ろしさを感じた事を思い出しました。
かれこれ3年ほどマエに山崎豊子さんの「沈まぬ太陽」を読みましたが、コノ期間をおいて読んだことがよりコノ事故の理解を深めることができ、過去の事故では終わらせず、これからの将来に絶対に残さなければならないと強く思うようになった。ニュース等でとりあげられる"8月"だけでなく本書の深い意味を知るためにも是非一読を。
沖国大がアメリカに占領された日―8・13米軍ヘリ墜落事件から見えてきた沖縄/日本の縮図
沖縄以外の人間は日ごろ沖縄に関心がない。沖縄のは観光は好きだが、基地とか言うと避けたくなるのが実情だろう。
そんな人は小林よしのりの「ゴーマニズム宣言 沖縄論」を読んでから、この本を併せて読むといいと思う。読みやすいし、短くまとまっているので、より具体的に沖縄が浮かび上がってくる。全般にいい書き手がそろっているが、特に編者黒澤亜里子の文学論はよかった。
断っておくが、この本は、事故のドキュメントだけじゃない。ドキュメントだけなら、こんなたくさんの執筆者もいらないだろう。最初は、何故、ベルリンやアジア、長崎や広島、歴史、考古学や文学、などが関係あるのか分からなかったが、読むと編者の意図がよくわかる。沖縄って、全てのジャンルに関係のある要所であることがよくわかった。
逆に小林よしのりが、どうしてこんなに多岐にまたがった範囲で沖縄論を書いたのか不思議に思う人は逆にこの本の方が分かりやすいと思う。日本に不安を感じる人も読んでみて下さい。おすすめします。
ジャンボ・墜落 / ザ・サバイバー [DVD]
300人を乗せたジャンボ飛行機が墜落。奇跡的に機長一人が生き残る。
しかし彼は記憶喪失に加え、いろいろな幻覚を見る。
死んだ大勢の乗客が見える・・・。なぜ???
一番ゾっとしたシーン。墜落した原因を調べるため、墜落場所付近上空を飛行機で
機長が散策するシーン。
なんと死んだはずの大勢の子どもたちが飛行機の残骸付近に、輪になって遊んでいる。
機長が驚いて見つめると、黒く焼けただれた子供たちが一斉に機長を見上げて見つめる。
何かを訴えるような表情で・・・。
この映画は無名な上に日本で公開されていません。
高校時代に深夜映画としてTVで偶然みて驚愕した映画です。
ぜひ、ごらんください。