Strong Persuader
ロバート・クレイはシティ・ブルースとかジャンルに属するらしいのですが、古くからのブルースファンから見れば、AORなのかも知れない。
ところが、歌もうまいしギターもうまい・・・。全体が洗練され過ぎているから軽く聞こえるのかも知れません。
しかし、この人が泥臭く演奏したり歌ったりしても受けないだろうと感じます。
別のアルバムでアルバート・コリンズとの競演(ギター・バトル)もありますが、一方の泥臭さに押され気味であったと記憶しています。
ロバート・クレイの初期の作品は似たような感じで泥臭いブルースはちょっと・・と言った方には良いと思います。
ドンデスタン
'91年にリリースされた安らぎと美しさを兼ね備えた秀作です。奥様の描かれたジャケットが印象的ですが、これに惹かれて買ったのがWyattとの最初の出会いでした。
抽象的な水彩を思い浮かべさせるような印象的な繊細さや透明感を感じる音作りはやはり彼独特のものです。前衛Jazzや現代音楽的な要素を織り込んだ凝った音作りは彼の作品に欠かせないところですが、本作では他の作品に比べて控え目の観を持ちます。ここでは彼のピアノとヴォーカルが主役であり、彼のピアノが好きな方には特に大切にされそうです(私もその一人です)。
なお、この紙ジャケ版では曲順が'91年リリース時に戻っているため(意図は現時点では判りませんが)、ラストに登場して更に印象的なんですが、突如、軽快なピアノとユニゾンで歌い出される"Dondestan"にはハッとする新鮮さを感じます。このメロディを耳に残したまま、ついもう一度最初の"Costa"から聴きたくなる不思議な感覚を憶えます。
また、"Worship"の穏やかな表情や"Catholic architecture"の静かな佇まいなども魅力的ですから、コアなファンの方のみならず、より多くの方に好かれそうなスタンスを持っていると思います。
何度か聴いているうちにジャケットに描かれた風情とのマッチングにほっとした気持ちになってくる、身近に置いておきたい親しみを感じてしまう一枚です。
ハウ・トゥ・ビカム・クレアヴォヤント
レイドバックをフィードバックと間違えるような頭&耳の悪いリスナーには嫌われる作品かも知れないが、ロビー&クラプトンの絶妙な絡み、そしてロビーの作曲能力の素晴らしさが存分に堪能できる。トレント・レズナー、トム・モレロというモダン・ロックの巨頭が参加していることからも分かるように、ロビーがいかに現在進行形のアーティストたちにも多大な影響を与えたのか。そして13年という長い沈黙の間に、すっかり様変わりしたロック・ミュージックの中でさえ、彼が作り上げる音楽がいまだにその存在感を保っている事、それこそが何よりも嬉しい。