Lonsdale Boys Club
雑誌で「今年の期待の新人」と掲載され日本盤がリリースされるも、以後日本から捨てられる海外のバンドはすくなくない。
しかし、実は紹介されないバンドのなかにこそ、注目すべきバンドが多いのはロック系の洋楽好きの方はご存知のとおりだろう。
いま、UKではOne DirectionやThe Wanted、The SaturdaysやLittle Mixが大人気である。ことにOne Directionに関しては一時的にUSでも名を挙げ、ファーストアルバムのリリースと同時にUSビルボードでトップという前代未聞の記録を残した。
そしてアジアでは東方神起やKARAなどK-POP勢が、J-POP勢はAKB48や℃-uteなど、実力こそUSやUK勢には敵わないけれど、大変な人気を博していることはご存知のとおりである。
それと同じように、UKではいま、ボーイバンドやガールバンドが沸くように現れている。約10年前Backstreet Boys、98 Degrees、911、Boyzone、Westlifeなどが登場した。それの再来というわけである。
そのなかにおいて、人気を確立できていないバンドは著しく存在感がない。
そんななか、なんと再結成しロンドンオリンピックに出場するなど大人気のTake ThatのフロントマンGary Barlowが立ち上げたレーベルより、大変なバンドが登場した。それがかれらLosdale Boys Clubである。
ロックのごりごり感こそないけれど、さりとて侮れない。
ご存知のとおりGary BarlowはTake Thatの音楽を中心となって作っていて、先日は女王の50周年記念ダイアモンド・ジュビリーのテーマソングを作るなど、王室からも評価を得ている稀代のメロディメーカーである。
その彼が立ち上げたレーベル出身だからか、かれらのメロディセンスは圧倒的である。
以下にリンクを載せておいたので、気になった方はぜひ。
全編この曲のような印象的なメロディばかり。
かれらを知らないなんて人生損をしている!!!
Ready To Go
http://www.youtube.com/watch?v=I2iJqEKy03I
Hired to Kill [VHS] [Import]
邦題:地獄の女囚コマンド (国内VHSソフト化済み)
コブラ(86)で狂信的な殺人集団のリーダー役を演じたブライアン・トンプソン主演作。
中東で囚われた革命家のリーダー(ホセ・フェラー)を救出する為、
元兵士が女コマンド部隊を編成し、独裁国家に戦いを挑むB級戦争アクションで、
適度にお色気、銃撃戦を用意しておりそこそこ楽しめた。
独裁者役のオリヴァー・リード、依頼人役のジョージ・ケネディも作品に雰囲気を出していた。
監督ニコ・マストラキス
ジャッカルの日 [DVD]
一九五四年に始まったアルジェリア戦争は泥沼状態に陥った。当時のフランスは第二次世界大戦の傷も癒えぬまま第一次インドシナ戦争にも敗退した惨状にあり、また相次ぐアルジェリア民族解放戦線の爆弾テロや残虐になる一方の戦争で厭戦感も広がり世論は分裂した。一九五八年、フランスの栄光を体現するシャルル・ド・ゴールが大統領に就任した。アルジェリアの軍人や入植者の末裔(コロン)たちは、ド・ゴールが「フランス固有の国土」のための戦争に一層力を入れてくれると期待したが、ド・ゴールは戦費拡大による破綻寸前の財政などに鑑みアルジェリアの民族自決の支持を発表した。一九六一年の国民投票では過半数がそれを支持し、一九六二年に戦争は終結してしまった。
アルジェリアの現地軍人やコロン達は大混乱のうちにフランスに引き揚げた。彼らは戦争中に秘密軍事組織を結成してアルジェリアでテロ活動を続けており、フランスでも政府転覆を狙って「愛国者として」ド・ゴールに対するテロ活動を行ったが、現役のエリート軍人らによるル暗殺計画はことごとく失敗し、組織の軍人達は逮捕され処刑された。支援者だった企業オーナーらも次第に離れていった。
映画『ジャッカルの日』は、このような背景のもとに、一九六三年、フランス軍のチァリー大佐グループによるド・ゴール暗殺行為で幕を開ける。映画が始まるとコントラバスとティンパニーによる不穏な音楽が流れ、狙撃者たちが、閣議を終えたド・ゴールの車を待ち受ける場面となる。一気に緊張した雰囲気に飲み込まれる。暗殺に失敗し逮捕された大佐は銃殺刑に処せられた。処刑の報を聞いた秘密軍事組織の幹部たちは、オーストリアの潜伏先で、もはや組織は壊滅状態となり、内部の動きは全て察知されてしまうことから、組織外のプロ暗殺者を雇うことを決める。最適の人物として選ばれたのは、本名も年齢も不詳だが、若々しく、狙撃が超一流、要人暗殺の実績も豊富な長身のイギリス人男性である。彼は「ジャッカル」のコードネームで呼ばれることを望んだ。
ジャッカルは大英博物館でド・ゴールの資料を徹底的に調べ上げ、一年のうちに一度だけ、大統領が群衆の前に姿を見せる日があることを発見してそれを決行日と決めた。彼は、アリタリア127便でジェノアに行き、銃作りの名人に狙撃銃を特注する。分解して、車のマフラーの中と松葉杖に格納できるという代物である。銃が完成すると、人気のないモンテモロの森で銃の試射をする。頭大のスイカにペンキで目鼻を書き、木に吊るして照準鏡を覗く。弾がスイカを貫通した位置を見て調節ネジを回し、銃を調整する。調整後、狙撃の際に使う破裂弾をこめ、額に狙いを定めて引き金を引く。スイカが割れ赤い実が飛び散った。暗殺に向けての周到な準備作業に恐怖を感じつつ映画の中に引き込まれていく。
ジャッカルはパスポートや免許証を偽造し、狙撃の際に身に着ける古着や勲章を購入し、白のアルファロメオスポーツで、じわじわとパリに近づいていく。いつの間にか完全に暗殺者本人に感情移入している。とても虚構の世界とは思えなくなってきた。
市内各所で行われる八月二五日のパリ解放記念式典。ド・ゴールは、暗殺の危険を訴える側近の声に耳を貸さず、例年通り市内で行われる式典に出発した。ジャッカルは古着を着て松葉杖をつき、沢山の勲章をぶら下げた傷痍軍人を装い、多数の装甲車まで出動した物々しい非常線を通り抜ける。式典が行われるモンパルナス駅前広場を見渡せるアパートにもぐりこみ、管理人の老婆を気絶させ、狙撃の場を確保した。杖に偽装した狙撃銃を組み立て、破裂弾を充填し照準鏡越しに大統領の頭部に狙いを定めた。最早大統領は絶体絶命だ。一四二分の映画全編はこの瞬間を描くために創られてきた。心臓が止まりそうだ。
引き金が引かれ破裂弾が発射された。その瞬間、ド・ゴールは勲章の授与とキスのために頭を下げ、弾は大統領の後頭部をかすめて道路に着弾した。これは大統領が暗殺されなかったという史実に合わせるための演出であり、映画のストーリーには殆ど意味がない。この映画を見て、この暗殺は完全に遂行されたという印象を受けた。
ジャッカルを演じるのは英国人のエドワード・フォックスである。身長百八十センチ、鍛えられたスリムなボディと金髪、そして沈着冷静な態度。デンマーク人教師や退役軍人への変装の巧みさには舌を巻く。映画公開時、無名であったことも謎の暗殺者役にはまっていた。。殺し屋であるにも拘わらず、犯罪者であることを忘れさせるキャラクターである。
フレデリック・フォーサイスの『ジャッカルの日』は一九七一年に出版された。その十九年年後の一九九〇年にこの本を手にした。難しい英語で読み切るまでに一年以上かかった。それから二十二年経って、映画『ジャッカルの日』を見て、新鮮な驚きを感じている。植民地独立をめぐるフランス国内の政治的対立が、暗殺者と治安当局の血みどろの戦いという形で描かれている。狙撃手は世界第一級で、その手の内がリアルに詳しく映像化され、見る者を闇の世界に引きずり込む。しかし大統領暗殺という陰惨なテーマを扱った映画にも拘わらず、イタリア、イギリス、フランスでの各シーンが実に美しく、部屋の家具や食器類、歴史的建造物や風景にしばしば見とれてしまう。矛盾するようだが、この映画はしばしばエレガントな雰囲気を漂わせる。
非常に興味深い、第一級の映画作品である。 (完)
【VHS発掘隊】薔薇のスタビスキー HDマスター [DVD]
☆過去と現在、或いは夢と現実を人間の意識の流れの境目でとらえ、1950年代末には【セーヌ左座派】と呼ばれて映像芸術の最前線に立っていたフランスの映像作家アラン・レネ監督による実録タッチの犯罪ドラマで、彼の作風は難解=(複雑)で、独善的構成のシロモノが多く、ときには交錯的であり、野心的。それゆえに筆者はA・レネ監督作品に対して苦手意識が招じてしまい、A・レネ監督の特異性は認めつつも、ちょっぴり敬遠せざるを得なかったが、本作はドラマ重視なので、観賞する側にとっては実にありがたいマイルドな構成になっている。※ちなみにA・レネ作品で一番単純明快な映画はイヴ・モンタン主演作『戦争は終わった』でしょうか。少しお話が脱線してしまったが、本作の内容はすこぶる充実しており、1930年代のフランスで暗躍したペテン師〈スタビスキー事件〉を基に、ほかに類を見ない大胆な解釈でA・レネ監督がこの事件を内面的にキチンと描いておられる☆。