黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 (講談社+α文庫)
かつての著者のベストセラーの「黄金」シリーズは、いわばデフレ時代の個人の経済的生活設計のあり方を問うた書であったかと思う。
著者の提案を全面的に受け入れ、生命保険は解約し共済に乗り換え、車は売却、、、、、おかげで職場の上司や同僚たちよりは、経済的にはましな生活を送ることができた。
本書は「ではインフレの時代では、個人はどうあるべきか。」を問う書かと思う。
日本では、不幸にしてこの20年近く株価については(大底からはそれなり上昇したが、尚ピークから65%安)デフレの状況にあることもあり、長期的には貨幣価値は低下すると言う歴史的には当たり前のことに対処する術が、失われている可能性が高いのだ。
そこに加えて、「WEB2.0」ならぬ「金融2.0」とでもいう革命的な投資ツールが個人レベルにまで行き渡ったことで、「金融リテラシー」の有無が決定的な将来の差を生むというのが、著者の主張なのだろう。
非常に重く、内容も専門性がそれなり高く、万人向けとは言い難いが、個人投資家必読の書だと思う。
お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 ― 知的人生設計入門
『ゴミ投資家』シリーズをほとんど読んでいたので、かなり初心者向きだと思いました。『ゴミ投資家のための人生設計』『ゴミ投資家のための人生設計(借金編)』をすでにお読みの方は読む必要はありません。内容はほとんどがこの2冊の要約となっていますので、もっと実践的な本をお読みになったほうがいいと思います。
『お金持ち~~羽の拾い方』とありますが、ほとんどが落とし方について書かれています。不動産・保険・税金に関して、如何に自分から羽を落としているのかが良くわかります。そして、お金持ち(法人を含む)がそれをどうやって拾っているのかがわかると思います。人生設計に関する本はこれが初めてという方は、必ず上記の2冊をお読みすることを薦めます。もっとはっきりとした言い方になっていて、もう少し実践的です。PT(永遠の旅行者)や海外投資についてもっと詳しく書かれています。
そういう意味でもこの本は上記2冊の【要約+やわらかく簡単に書いた】本ですので、詳しい方は読まなくてもいいと思います。
(日本人)
引用が多いというレビューが多いのですが、橘さんが引用しているのは、分厚い古典と呼べるようなベーシックな書籍がほとんどです。例えばロバート・ノージック著「アナーキー・国家・ユートピア」、中村元著「日本人の思惟方法」、小熊英二著『「日本人」の境界』、電通総研、日本リサーチセンター編集「世界主要国価値観データブック」というような本です。進化心理学もいろいろな本が引用されていますが、ここにレビューを書いて、引用を批判する人たちや引用の原典に対する著者の理解が浅いと批判する人たちはちゃんと読んで、この本の要約を批判しているのでしょうか。上記の4冊だけでも2000ページを超える分量になります。学問が細分化し、研究が深さを競うようになるに従い、橘さんのように、専門性を横串で束ねて、現代に意味をもつメッセージにする著作者が必要とされているとおもいます。だからこそ彼の本は読まれているのであり、最近よく売れている著者の履歴で本編集者が多いのも納得できます。彼の著作は最初の「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」から一貫してこうした作り方をしています。別に最近の著作から変わったわけではありません。
私は、冒頭の「権威や権力がより尊重されるのは、良いことだと思う日本人はわずか3.2%」で、世界でも異常なほど低いというデータで、書籍の代金の元は取ったと思っています。例えば、アマゾンにあふれる「著者」という権威を否定するレビューの数々や、首相が異常なほど速く交代するというような現象に対する、考えるヒントを与えてくれました。後は橘さんなりにこの傾向がどうして生まれて、日本という社会にどのような影響を与えてきたのかということを、いろいろな文献を引用しながら書ききっています。日本人は、脊髄反射的なほどに権威や権力を否定する人たちがたくさんいるということはずっと感じていましたが、この本を読んで非常にすっきりしました。同じ疑問を持っている人には一読をオススメします。
貧乏はお金持ち──「雇われない生き方」で格差社会を逆転する (講談社プラスアルファ文庫)
一般にマスコミ的文脈で「弱者」とされる中小個人自業主がいかに経済的恩恵を受け、サラリーマンは搾り取られているのか。 これほどまで具体的な仕組みを知らされると、できるなら自分もマイクロ法人化してと考えるが、以前「黄金の羽」を読んだ時も一時そんな気分になって知らぬ間に忘れていた。一定以上の年齢で組織に属していれば、誰しも肩書きがあったり部下がいたりするものだが例えば会社と委託契約するとして、肩書きは平社員以下、部下ゼロとなるのが普通ではないか?果たしてそんな事が現実的だろうか? 失う物が無い人かもしくは極めて特殊なプロフェッショナルだけが自由な黄金の羽を手に入れられる可能性があるという事か。 組織の中で一匹狼を気取るのはたやすくても、本当の狼になれる者は少ない。