珈琲屋の人々
かつて、この商店街を守るために人を殺めてしまった行介。
彼が営む喫茶店「珈琲屋」にやってくる悩める町の人々を描く短編連作集です。
普通の日々を過ごしているように見える人にも悩みはある。
誰にも話せない・・・でも誰かに聞いてほしい。
人の気持ちの美しさも醜さも丁寧に描いています。
きれいに締めくくるわけではなく、うまくいかずに何らかの教訓を残してくれるようなほろ苦さがしみる。
その苦味がコーヒーの美味しさとうまくマッチしています。
行介と冬子の大人の純情も心にジンジン響きます。
私がこのレビューを書いている今日は30度近く、暑いです。
けど、この本を読むとアイスコーヒーじゃなく、苦味のある熱いコーヒーをゆっくり味わって飲みたくなります。
そんな作品です。
コンビニ・ララバイ (集英社文庫)
小さなコンビニのオーナーを軸にした人間ドラマ。全7話入っていますが、最初のカン蹴りの話で、いきなり涙腺が緩んでしまった。ちょっと堅い雰囲気かな?っと思いながら読み始め、ちょっとこれはベタだなあ、と思い、最後には”うんうん、そうだよね、こういう気持ち忘れないようにしたいねえ”なんて思ったり。多少の強引さは気にしない。暖かい気持ちを思い出せれば、いいじゃないですか、それで。と思った。