生きること
前作『転々』(2006年)に引き続きNYでレコーディングされた最新作。2008年4月25日リリース。現在のメンバー(巻上公一(vo)、三田超人(g)、坂出雅海(b)、清水一登(key)、佐藤正治(ds))となってから数年を経て、熟成度も増した繊細かつ重厚な、ある種侠気あふれるクールなサウンドに魅了される。即興とソングのミックス加減も絶妙。ここ数年のライブの定番になりつつある「デジタルなフランケン」や「入念」の緻密に改訂されていったアレンジの素晴らしさには唸る。このアルバムのテーマは何と環境問題!しかしそこはヒカシュー。世にはびこるロハス企業とタイアップした商業音楽の生ぬるさのかけらも感じさせない巻上のうたの世界には、30年間ロック、ポップス業界の中にあって常にアウトサイダーであり続ける彼らの生き様の軌跡が見える。怒りも呆れも疑問も赦しも諦観も全て内包しつつ揺るぎない意思を発露させて聴き手の心に迫ってくる「ベトベト」や、誰もが深刻に思いつつでもなかなか口にしない言葉を飄々とキャッチーに歌い上げた「オーロラ」などは、間違いなく今後のヒカシューの代表曲になっていくであろう傑作だ。そして、ジャケット及びブックレットを飾る逆柱いみりのイラストレーションがこのアルバムの世界観そのものを表出していて本当に素晴らしい。
ヒカシュー・スーパー(紙ジャケット仕様)
「ヒカシュー・スーパー」初CD化。いやぁ待ちましたね。
これは1981年に発表されたベストアルバムで、当時はアルバム未収録だったCMやドラマで使用されたシングル曲等が入っているところがポイントでしたが、現在既にCD化されている「ヒカシュー+2」「夏+2」「うわさの人類」の3枚を持っていればオリジナル曲全てカバー出来るので不要かも知れません。
しかし今回のCD化の一番のポイントは、最後の2曲にあります。
1980年に渋谷公会堂で行われたザ・ベンチャーズとのジョイントライブ音源であり、今回初CD化となります。
特に故・加藤和彦と近田春夫のお二人が演奏に参加しているパイクは、私が今まで聞いたパイクの中では最高のものです。
個人的にはこのライブ音源の為だけでも購入の価値がありました。
ツイン・ベスト
1979年にシングル『20世紀の終りに』でデビューした巻上公一率いる日本のバンド、ヒカシューの80年代前半までの代表曲30曲を収録した2枚組ベスト盤。
デビュー当時のヒカシューは所謂テクノ・ポップのバンドとして分類されていましたが、確かにリズム・マシーンやテクノ的なシンセ音を使用しているものの、巻上公一の書くシュールな歌詞や個性的な歌唱もあり、近未来的でありながらも60年代後期のアングラでカオスな雰囲気が渦巻く唯一無二のバンドとして屹立していました。
このアングラでカオスな雰囲気はヒカシューが元々アンダーグラウンドな劇団出身ということもあるのかもしれませんが、初めて彼等の曲『プヨプヨ』を聴いたときの衝撃は未だに忘れられません。YoutubeにUpされている映像を見れば、彼等がいかに異形のバンドであったかが良くわかると思います。
残念ながらヒカシューの初期の作品は現在廃盤状態でなかなか入手することができませんが、これは日本の音楽シーンにおいて大いなる損失としかいいようがありません。現在入手できるCDが輸入盤のベストだけというのは、あまりにも情けない話ですので、ぜひともこの2枚組ベストくらいは再発して欲しいものです。
ヒカシュー
このアルバムに入っている「プヨプヨ」の巻上公一さんの
笑い声を聴くと、幼い子供は「コワイ!」と逃げ、
猫がくせ者はどこだ?という感じであたりを見回します。
そんなトラウマになりそうな不気味でポップな名曲を含んだ
ファーストアルバム。
聴きやすいのに凝っている、粒ぞろいの名曲ばかりです。
ジャケットのアピール度で「うわさの人類」から買って、
挫けてしまわないよう、やはり最初はこれを聴いて欲しい!!
裏ジャケットのコタツに入って睨みつけるメンバーの
姿が、このアルバムのユニークさを見事に表現していると思うのです。
アルバムを気に入ったあなたは早速ライブへGO!!
未だに衰えぬヒカシューの意欲とテンション、
実地に体験してみてください!!
(このアルバムからも必ず演奏してくれます!!)