ウロボロスの純正音律
今までのウロボロスシリーズの中では最も正統な本格推理になっている。不可能興味、論理的な推理合戦、豊富な薀蓄等、ミステリーの醍醐味が盛りだくさんである。しかしラストの謎解きがなあ・・・。ちょっと無理があるよなあ。それでも久々に竹本健治らしいミステリーを楽しませてもらいました。
モノノ怪 四之巻 「鵺」 [DVD]
どの作品も大好きですが
鵺に関しては、鵺がモノノ怪に至る経緯等が
最後に「やられた!(良い意味で)」感がよく、
とてもよかった作品です。
(あまり話すと本当にネタバレになるので口惜しいですが」、)
モノノ怪になるものは「人」だけでない
思いが強いものは何にでもなる。
小さいころに人形が怖かったことを思い出したりしました。
薬売りの所業をすべて見て、聞いて
「なるほど」と思える作品です。
また今までの鮮やかなカラーと違い、
白黒メインにしたのは香りをイメージしてるのだと
細かいこだわりにまたうっとりしました。
DVD発売楽しみに待っています。
キララ、探偵す。 (文春文庫)
……竹本健治も、もう五十歳を越えたんだよなあ。かつて早熟の天才として名を馳せた作者だが、年々その作品のレベルが落ちているのは、もう歳だからか。そんなことを思いつつ、一読。
……違う方向にぶっとんじゃいました。これってエロ小説ですか? いや確かに俺は「ウロボロスの偽書」のエロシ−ンをオカズにしたことがありますよ。けど先生、公衆の面前でアナル責めですかー!?
2ちゃんでは、「出来損ないのライトノベルのよう」と酷評されているが、ミステリとしての謎解きはそんなに悪くはない。ただ、人物描写がなあー。死語ばっかだし。メイドが探偵?と思って何の予備知識も無く本書を手に取った読者(普段多くのラノベを読んでいる人)は不満だらけだろうなーと思う。
竹本ファン以外が読んで素直に楽しめるかは疑問。
クー (ハルキ文庫)
退廃的な閉塞感につつまれた未来世界を舞台にワイルドな魅力をもった美女・クーを巡って繰り広げられる暴力とエロス。
父親によって入れられた訓練施設での教育と訓練によって鍛え上げられた肉体と格闘能力をもったヒロインですが、性においてどうしようもなく女性のモロさのような一面を見せます。
クーに絡んで登場する男性と、ほぼ性的な関係をもってしまうので、そのエロスの方に観点がよりがちになってしまいますが、男性から見たときのクーに対する価値観も様々でこの辺が筆者のドラマに対する筆力を感じさせてくれます。
クーには秘められた超能力があるのですが、これが発現するシーンもかなりきわどい感じで、SFというカテゴリーでいいんだろうか……と考えてしまいます(笑
狂い壁 狂い窓 綾辻・有栖川復刊セレクション (講談社ノベルス)
初めて読む作家さんです。
読み始めの1章は、1編ごとのくぎりがわからず
短編集??っと、首をかしげることも。
登場人物さえも、一体誰が誰なのかもわからず
正直、読み進めるのがしんどくて、途中で投げだしそうになりながらも
「樹影荘」の間取り図に、興味を惹かれて読み進む。
これが2章目あたりから、登場人物がハッキリとしてきて
色々な展開を見せ始める。
トイレの血文字、廊下の血痕、中庭の骨…。
1章の伏線が、次々に明かされていく。
住人が死に、火事が起こり…。
入居者達の、過去が浮き彫りになって行く。
全体的に、妙な雰囲気で狂気に満ちている。
私なら、絶対にこんなところに住みたくない場所。
ストーリー的には、面白いのかと問われれば
素直に頷けないけど、この不思議な世界は印象深い。
好みが分かれるとは思うけど、好きな人には好きな世界なんだろうなと
思うと、妙に納得もする。