ロード・オブ・ザ・リング ― コレクターズ・エディション [DVD]
肌触りという表現が映画に対して適当かどうかはさておき、自分と作品の相性を肌触り(タッチ)で表現するなら、「ロード・オブ・ザ・リング」は生涯のベスト10に間違いなく入るでしょう。暗く、しかしクリヤな映像。そして壮大な物語。どれをとっても最高の感触をもたらす映画なのです。通常であれば原作に忠実でなく、カットされたところが多いと腹が立ったりするものなのですが、原作そのものに冗長なところがあったので、この映画の編集はそれなりに納得できるものになっています。あとキャスティングが良い。原作を読んだときに抱いた登場人物のイメージと必ずしも同じでなくても、誰も彼もが納得できる配役がなされているように思われます。
新版 指輪物語〈1〉旅の仲間 上1 (評論社文庫)
映画を観た人には薦めているのですが、映画のような急激なストーリ展開がいきなりあるわけではなく、しかも序章がまるで研究書か歴史書のように始まるために、とっつきにくいものになっています。実際、私は学生以来3回ほど序章で挫折し、なかなか先へと読み進めることが出来ませんでした。しかしすべて読み終わって言えるのは、それこそが、この作品の最も優れたところでもあるのです。小さなホビットの小さくみえる冒険譚が、壮大な歴史絵巻になっていくさまこそが、巨大な歴史に翻弄される私たち自身にも似て大きな共感を呼ぶのです。
主人公のフロドは何の特別な能力もないままに、その壮大な歴史で最も重要な責務を負い、ほとんど誰の眼にも触れることなく困難な道のりを旅します。そして、任務を遂行した後も、普通の人として村に戻り、普通の人として生きていきます。しかも癒されることのない傷を負いながら。
作者は表向き否定していますが、20世紀前半の大きな2度の戦争のもとで書かれたこの本は、その影響を非常に大きく受けていると言えます。この二つの戦争で特徴的だったのは、戦ったのも傷ついたのも、戦記物語で出てくるような英雄たちではなく、一般のほんとうの普通の人々でした。
これらの戦争を間近で見ていた作者が、主人公を英雄や王の末裔ではなく、何も出来ない、陽気だが小さいホビットたちとしたことは非常に象徴的であると思います。
この作品が19世紀までのロマン文学に一見似つつも、全体としては新しい地平にたどり着き、それが後にファンタジーというジャンルになりえたのは、剣と魔法が描かれているからではなく、まさにこの点なのですから、映画からでは中々見えてこないそんな内容の深化を体験するためにも是非読むことをお奨めします。
ロード・オブ・ザ・リング エクステンデッド・エディション トリロジーBOX【Blu-ray】
特典DISCがDVDなのはUS盤と同じなんですが、価格がUS盤の定価が$120なのに対し日本盤が\28350はぼったくり過ぎかと思います。
考えものですね。
オリジナル・サウンドトラック「ロード・オブ・ザ・リング」
映画のことはまったく知りません。が。これを聴いてびびりました。いったい何億円の予算をこの映画の音楽製作にかけたのだかはしりませんが。
音にうちのめされるというのでしょうか。なんだか音に吹き飛ばされるそういう感触。これは聴くというのではなくて『体感する』なんだかそういう感じです。
鬼気せまるイントロからもう金縛り状態になっていしまいました。展開は見事なもので、軽やかな牧歌的なサウンドに移行して、テンションががクールダウンします。
なんだかこういうサントラというのは、製作なされたかたがたの入魂の作品という、おそろしい魔力が感じられ聴いててぶっとんでしまいます。一瞬バンゲリスの『天国と地獄』を連想してしまいました。
こんなものすごい音楽を作曲できるハワ-ドショアさんという人物は長い期間をかけてこのスコアを書き上げたにちがいありません。
インスピレーションをかなり駆り立てられる音楽です。
10点中10点。見事なオーケストレーションにくらくらします。
ベスト・シネマ・クラシック100
disc1〜2は有名映画で使われたクラシック曲とクラシックではないスター・ウォーズやロード・オブ・ザ・リング、タイタニックなどのテーマも混ぜられています。ジョン・ウィリアムズやモリコーネなどの映画音楽もクラシックの名曲に引けを取らない傑作であるとあらためて気付かされます。
disc3からは映画のテーマ曲は無くなってクラシック曲ばかりになりますが、disc3では主にモーツァルトの曲が収録されています。disc1〜5にモーツァルトの有名曲はだいたい収録されています。
disc4はピアノ曲が集められていてナインマンのピアノ・レッスンの曲で幕開けです。このdisc4が一番のお気に入りです。
disc5は映画の中で使われたオペラ曲が集められています。
disc6はバッハを中心としたバロック曲がメインになります。
discによってカテゴリー分けがされているので、ピアノが気に入ればまた別のピアノのCDに行けばいいし、自分の好みのジャンルや作曲家が見つけやすくなってます。
ほとんどの曲が一度は聞いたことのある有名曲ばかりなので、映画が好きでこれからクラシックを聴いてみようかなと思ってる人には良い入門CDだと思います。