マジンガーZ〔桜多吾作 新編集版〕【下】
TVシリーズ「マジンガーZ」放送同時期、
永井豪さんが「TVマガジン」で連載し、
今はなき「冒険王」で桜多吾作さんが連載していたのが本作品。
ともかく桜多版「マジンガーZ」は自衛隊がよく出てくるし、
リアリティあって映写も生々しい。
光子力研究所が脱走した囚人に占拠され
さやかさんとみさとさんがレイプされかける演出もあって
今考えるとよく掲載できたなぁ〜って考えちゃう。
でもストーリーもアニメと違っているのが好印象。
あしゅら男爵がDrヘルを裏切ってマジンガーZを強奪し
地球の自転を止める「RI計画」で人類に全面降伏を迫ったり、
妖機械獣の攻撃で文字通りくるくるぱー(笑)になってしまった甲児くんが
みさとさんを裸にひん剥いて追い掛け回したり、
一番驚いたのは最終回。新たなる敵、ミケーネ帝国の戦闘獣によって
Zは大破。グレート登場となるんだけど
甲児くんがサイボーグとなってさやかさんの前に現れたのには
初めて読んだのが小学生だったんですがかなり衝撃的でした。
マジンガーZを観て育った世代はもちろんですが、
「エヴァ」が最高傑作と譲らない世代には是非読んでもらいたい。
この作品は大金出しても損はない作品です。
あと、桜多版「グレートマジンガー」、「グレンダイザー」も
出版してもらいたいです☆
グロイザーX BOXセット1 [DVD]
昨年秋よりレンタル版がリリースされ、今回ついにBOXも。いい時代になったものだと思う。原作を担当したのは、マジンガーシリーズの強烈なストーリーのコミカライズを担当していた桜多吾作。一応の主人公は海阪譲だが、真の主人公はヒロインのリタじゃないかと思えるほど、ストーリーはリタの方に比重がある。グロイザーXに乗るリタは、地球を守るために戦っているのではあるが、そのためにはからずもかつての同胞と戦うことになり、「裏切り者」の名を受ける。その心中や察するにあまりある。この設定が、いくつもの名エピソードを生み出した(今回のBOX1では、第7話、第15話など)。飛行形態が通常形態というグロイザーXもユニークで、そのため通常は空中戦がメインというアクションも斬新。惜しむらくは作画のレベルが今ひとつというかふたつ、みっつということで、シナリオががんばっているだけにこれは惜しい。それと、現在、この作品は、どの話数もエンディングのテロップがいっしょというフィルムしか出回っていないようで、正確なスタッフが知りたい身としては残念。今回はちゃんとしたエンディングが収録されていることを祈る。
グロイザーX BOX (2) [DVD]
「マジンガーZ」や「ゲッターロボ」とは一味違う、異色のロボット作品の完結編。
「東映」のダイナミック・プロ作品とは、かなり違った雰囲気が味わえます。
最終回では、数少ない「グロイザーロボ」への変形&活躍もあるので、見所たっぷりです。
飛行形態は、真上から見ても真正面から見ても「X」の字に見えるデザインがナイスです。
グレートマジンガー 2 (アクションコミックス)
その昔、今は無き「冒険王」という雑誌に1974年から一年間連載していた「グレートマジンガー」の復刻版です。
桜多吾作は、永井豪、石川賢とともにダイナミックプロで活躍していた作家で、「釣りバカ大将」などの名作が多数ある人です。
「グレートマジンガー」というと、TVアニメの原案は永井豪ですが、TVバージョン、マンガバージョンには様々なストーリー展開のパターンがあり、どれもすべてが正統派といえるのです。
肝心の永井豪はマンガはTVアニメのタイアップ感覚だったのか、永井豪バージョンのコミックはかなり尻切れトンボ、石川賢もTV版をなぞるようなストーリでしたが(2人とも別の作品に注力していた)、桜多吾作だけはまったく違っていて、TV版とはまったく違ったオリジナルグレートとして描いていました。
ストーリー展開は驚くほど壮大で、人種差別問題、大衆心理、戦争時における悲惨さ、人間の醜さなども描いており、まるで海外の本格SFのようで、子供向けとは思えぬ展開。
グレートという素材を活かしたSF作品を描いた感じです。
エンディングもかなり悲惨で、容赦ないリアリティです。
ちなみに桜多吾作バージョンのマジンガーは「マジンガーZ」、「グレートマジンガー」「グレンダイザー」と3部作になっており、そのすべてのストーリがつながっているため、マジンガー3部作となっています。
桜多吾作はその後はあまりSFを描いていないのですが、このマジンガー三部作に関しては、現代でもこれに匹敵するロボットマンガが無いほど優れた作品になっています。
マジンガーZから、順番に読んでみることをお勧めします。